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しおりを挟む「なんか、管理人さんってせっかちだよね。もう少しゆっくり行動してもいい気がするけど」
「せっかちというわけではなく、時間を浪費したくないだけです。〝時は金なり〟という言葉もあるでしょう?」
「言いたいことは分かるけど……管理人さんの場合、こだわりすぎって感じがするんだよね。まぁそれが悪いとは言わないけどさ」
スマホをポケットに戻したハルは、さらりと前髪を掻き上げた。貼り付けたような営業スマイルに戻っている。
「以前、母が死んだという話をしましたよね」
「……そだね」
「人間、いつどんな瞬間に死んでしまうか分からない――未来なんて呆気なく閉ざされてしまうんです。今日を生きていることだって当たり前じゃない。だからこそ一分一秒を無駄にせず、自分のやりたいこと、やらなければならないことに最善を尽くしたいんですよ」
母親を失うことがどれだけ辛かったか。
その気持ちを理解できるなんておこがましいことは言えないが、ハルが〝今を懸命に生きたい、後悔したくない〟と考えていることは伝わってきた。しかし――。
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