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しおりを挟む「ノブおじさんって、人間関係にトラウマでもあるんですか?」
「トラウマなんてものはないよ。ただ〝人間は生まれた瞬間から不平等だ〟と虚しく感じたことはあるね」
「……不平等?」
「犯罪者やヒトを貶めるような人間がのうのうと生きていて、真面目に生きている人間が突然の病に倒れたり事故に遭ったりするだろう? 世界なんてものはどうしようもなく理不尽で狂っているのさ」
暗に管理人兄妹の母親の境遇を指しているのだろうか。
ノブユキの言っていることが理解できないわけではないが、突然こんな話題を始めた理由は何だろう。問いただそうと思ったものの、先にノブユキが口を開いた。
「実はリツコちゃんに頼みがあるんだ」
「……頼み?」
「あぁ。お前さんの異彩を調べさせてくれないか?」
唐突な申し出に戸惑う。
「いきなり何なんですか?」と問い返すと、ノブユキは無精ひげをさすりながら微笑んだ。
「以前、俺は医療従事者だって話をしただろう? ぜひお前さんの不思議な左目を調べてみたいんだ」
「具体的に何をするんですか?」
「そうだねぇ……。まずは裸眼を見せてもらうこと、いくつか質問させてもらうことくらいでいいかな。いずれ踏み込んだ検査もさせてくれればありがたいが、そのへんはお前さんの気持ち次第だね」
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