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しおりを挟む「妹が大変失礼しました。よく言って聞かせますから」
「別にいいよ。でも……あたし、あの子に嫌われちゃったかな」
「そういうわけではないと思います。妹は僕と叔父以外の人を信じるのが怖いと……そう話していたことがありますから。おそらく幼少期からのトラウマなのでしょう」
ハルはもう一度、深々とお辞儀をした。
「明日ストラップを見付けていただいたお礼をする約束でしたが、延期させていただいてもよろしいですか? 今の妹を残して食事に出掛けるのは……」
「もちろん構わないよ。二人で出掛けるのをユイカが嫌がるなら、シュンスケとかアンズとか誘って行けばいい」
「いえ、これまでどおり二人で行きましょう。妹にも理解してもらいます」
「そんな無理しなくていいよ?」
「無理などしていません。住人の皆さまと過ごす時間は僕自身の希望で作っていると、前にも言いましたよね? 僕は、本当は……」
「……何?」
「僕は、リツコさんと二人でお食事する時間が好きなんです」
きゅっと、心臓付近を掴まれたような感覚に見舞われた。
でも嫌な感じではない。
不思議な気分を持て余し、視線を横に流した。
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