異分子マンション

カナデ

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 ユイカとハルが一緒にいる。
 この場所に自分が入っていったら、また面倒なことになるかもしれない。二人に気付かれないよう、そっと離れようとしたが――ふと違和感を覚えた。

 二人の距離が随分と近い。
 まるで抱き合う寸前……。

 ハルはユイカの頭を撫で、彼女に顔を寄せた。
 そして――二人の唇が重なった。

 自分の目を疑いたくなる光景。
 心臓が激しく音を立て、呼吸が止まりそうなほど息苦しくなった。

 それと同時に、見てはいけないものを見てしまったという後悔が襲ってきた。

 どうして?
 それだけしか頭に浮かんでこない。

 胸が締め付けられる感覚から逃げようと、静かに図書室を離れた。コンビニに入っても動悸がおさまらない。カウンターに寄りかかり、心臓付近に手を当てた。痛くて、苦しくて、自分でも何が何だか分からない。

 ハルとユイカがキスをしていた――そのシーンが頭にこびりついて離れない。

 後方から足音が聞こえる。
 恐る恐る振り返ると、無表情のユイカが立っていた。ハルの姿はない。

 沈黙が怖く、何か言わなければと必死で頭を回転させたが、焦るばかりで考えがまとまらなかった。

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