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しおりを挟むノブユキはペンを置き、視線をこちらに戻した。
「最初にリツコちゃんの眼を見せてもらおうとしたときは単純に〝新たな異分子データがほしい〟という興味だった。もちろん断られたら引くつもりで打診したんだが……リツコちゃんをかばおうとするハルを見て、何としても見せてもらいたいと思い直したんだ」
あたしの異彩がコンピュータによる制御に影響を及ぼすかもしれない。仮にその可能性があるなら、ハルとユイカのためにも放置しておくわけにいかない。そう考えたノブユキはあたしの部屋を訪れた。
実際に異彩を見て、いくつか質問も投げかけたが、コンピュータの制御に関与するか否かのヒントは得られなかったらしい。
「改めて『眼を詳しく調べさせてほしい』と頼むつもりだったんだが、悠長にしていたらハルの制御が完全崩壊する可能性もある。まずはそれを阻止しなければと思い、しばらくコンピュータと睨めっこしていたんだ。しかし……ハルが倒れたのを見て、ふと疑問が湧いた。〝ハルは今、幸せなのだろうか〟とね」
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