迷★探偵ノアの創作事件簿

双葉

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【容疑者4:同期モデル】

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 ノアの気持ちも落ち着いたところで、モデル・ケリーの証言をお聞きください――










ノア
「マリアとケリーは今回の写真集だけでなく、《シャイニー・カンパニー》という深夜番組にもセットで出演してたよな」


ケリー
「視聴率が取れなくて1ヶ月で終わったけどね。でもあれは深夜枠のせいで、ゴールデンなら絶対イケてた。マリアはタレント活動に乗り気だったけど、あたしはやっぱり歌の実力を見てほしいから――」


ノア
「こんなときに自分の仕事の話? 事務所の仲間が殺されたっていうのにドライすぎじゃね?」


ケリー
「……別にあの子、仲間なんかじゃない」


ノア
「どういう意味?」


ケリー
「あたしとあの子、事務所ではツートップって呼ばれてたんだけど。大きな仕事はほとんどマリアに渡ってた。社長に気に入られてたのよ」


ノア
「扱いの差でマリアを恨んでたの?」


ケリー
「違う! 最初に言ったけど、あたしはそもそもモデル業に興味があったわけじゃないし。大金を稼ぐために事務所入りしたあたしと、目立ちたがりで人気者になりたいマリア――気が合うはずもない。お互い目指している場所が全然違うんだから」


ノア
「ふーん……」


ケリー
「何よ、その疑いの眼。あたしがマリアを殺したとでも言いたいの? 証拠もないのに疑うなんて最低。あたしにやましいことなんて微塵もない」


ノア
「じゃあ訊くけど。事件があった日、ケリーはどうして楽屋の缶コーヒーに触ったの?」


ケリー
「撮影の休憩時間、飲み物が欲しくてマリアの楽屋に行ったの。テーブルに置いてあったミルクティーをもらおうとしたら、マリアに『それは私のだから他のやつにして』と言われて……。ミルクティーは2本あったんだから1本寄越しなさいって話よね。ケチな子」


ノア
「ここまでの聞き込みからなんとなく予想はついてたけど。ケリー、マリアの楽屋に置いてあった缶コーヒーを飲んだんだな?」


ケリー
「そうよ。体重セーブのこともあって、あたしのマネージャーは水しか用意してくれなかったから……マリアの楽屋から甘いドリンクをもらおうとしたわけ。飲み終えた缶はスタジオ内にある自販機横のゴミ箱に捨てた。缶を捨てられる場所、スタジオ内にはそこしかないから」


ノア
「ケリーがコーヒーをもらったときには、2種類の缶が置いてあった?」


ケリー
「えぇ。1本はミルク入り、もう1本は砂糖入り。選んだのは甘い方――砂糖入りコーヒー。両方手に取って原材料名を確認した」


ノア
「でもさ。そのときミルク入りの方をもらってたら、マリアじゃなくケリーが死んでいた……という可能性もあるよな? 毒が仕込まれたのがいつだったのかにもよるけど」


ケリー
「そうかもね。と言ってもあたし、砂糖の入ってないコーヒーは飲めないから。あたしが自分から問題のコーヒーを飲んで死ぬことはなかったと思うけど」


ノア
「ちなみに、マリアとはプライベートまで親しい関係だったわけじゃない?」


ケリー
「さっきも言ったように、同じ事務所の同期というだけ。あくまでビジネス上の付き合い……はっきり言えばどうでもいい相手ね。仕事の中で言い合いになることは多々あったけど、尾を引くような大きい喧嘩をしたことは一度もない。おそらくマリアも、あたしのことをライバルだなんて思っていなかったはず」

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