魔法犯罪の真実

水山 蓮司

文字の大きさ
11 / 56
第1章 始まりの壁

1-10:今後の試練

しおりを挟む
「クッ!駄目だ…。こんなんじゃ…」
 時光はメンバーと合流せず一人だけ本部に戻り地下トレーニングルームで素振りをする。
 トレーニングルームの広さはメンバー全員が入っても存分に自分たちの体を動かせるだけの広さを設計している。
 そんな中、思い通りの素振りの出来ていなさに情けない気持ちや反省の気持ちや後悔の念があり、何千回、何万回と素振りしても気持ちの整理がついていなかった。
 素振りの手を止めると静かにドアが開き、水色コートの青年が入って来た。
 時光はそれに気付き振り向くことなく話かける。
「一体いつからドアの前にいたんだ?」
 落ち着いた口調で尋ねると水色コートの青年は静かに告げる。
「時ちゃんがここへ来て素振りを始めて数分経ったあたりからだよ。それからずっと様子見していたよ」
「ほぼ初めからか…。それだったら遠慮なく入ってくればいいのに」
「いや、真意を確かめるために長めに素振りをしているところを見ておきたかったんだよ」
 この時点で悟られていると思った時光はそれでも水色コートの青年に問いかける。
「それで結果としてどう見えた?」
 容赦のない、それでも柔らかい口調で答える。
「自分の望んでいない結果を出してしまいその後悔がにじみ出ているだけではなく、力任せに問題を片付けてしまったことを引きずっているように見えたよ」
「そうか…。やっぱりそう見えていたか…」
 ここで一息ついて話を続ける。
「どういう顔して話せばいいかわからないから、今から話することもこのままで構わないかな?」
「話せるところまででいいよ」
 静かにそう告げると時光は今まで起きたことを全て話した。
 その際、水色コートの青年は一切口を挟むことなくじっと話を聞いた。
 時光が途中で言葉に詰まった時「大丈夫かい?」と気にかけると「ああ大丈夫だ」と返答して話を続けた。
 話が終わり水色コートの青年は考え込むようにして告げる。
「時ちゃん、聞いてもいいかな?」
「何だ?」
「時ちゃんは一体に戦っている?」
「…っ⁉」
 今も気持ちの整理がついていないため質問の意味に混乱する。
 それを見て、自分の言い方が悪かったことを悟り訂正して改めて時光に質問する。
「言い方が悪かったようだね、申し訳ない。何のためではなくに戦っている?」
 訂正された方を聞いて落ち着きを取り戻し考えること数分経ち、
「それは自分を含めメンバーや罪のない人を助けて犯罪者を捕らえること、俺はそれを心がけて戦っているよ」
 それを聞いた水色コートの青年は更にこう告げる。
「確かに自分や周囲にいる友人や家族、その罪のない人を助けることは大切だよ。多くの犯罪が発生すればそれだけ被害も拡大してくる」
 ここで一旦言葉を止め、次に確信つく鋭い言葉を時光に放つ。
「それじゃあ今回の任務で周囲の人はとにかく、そこに「自分」は含まれていたかな?」
「…っ!」
 改めて言われるとそこには確かに痛いものがあった。
 今回の任務は廃棄工場を壊し回っている犯人の捕獲、想定外は「筋力増強薬」を使用され、それに対応し切れず、みすみす恵に相手の技をくらわされてしまったこと。罪のない一般の人が周囲にいなかったことが唯一の幸いだった。
 違法薬を使用された条件下において上手く立ち回れたかどうか、結果として恵が苦しめられたところを見せつけられて力任せに相手を重傷を負わせてしまった。
 それを踏まえてでも相手が誰であろうと自分の身を捨ててまで戦っていたかもしれなかったという結果に至った。
(結局俺は自分勝手でやっていたのか!…)
 グッと拳を握り内心強く言い聞かせた。
 その様子を見て更に水色コートの青年は厳しく追求する。
「周囲を守るにあたりそこに「自分」が含まれておらず結果それで周囲の人に悲しませるようなことがあってはそれはただの自己満足にしか過ぎない。そのような戦い方を続ければ間違いなく命を落としかねないよ。周囲の人を守りそこに「自分」も含まれて生きることによって初めて「人を守る」と言えるのだと私は思うよ」
 そう言い切ったところで次は自嘲じちょうする。
「普段、本部にいる皆を任せて自分ばかり自由でいられる私が偉そうなことを言える立場ではないけど、時ちゃんにはそうなってほしくないからね」
 散々な言われようだがクスッと笑い言い返す。
「総監から別の任務をこなしている人が言う台詞か?」
「私はただ自分のしていることが正しいとありたいために証明し続けているだけさ」
 水色コートの青年も口をほころばせた。
「お前って本当に不思議だな」
「そちらこそ」
 ここで時光は深呼吸してようやく水色コートの青年に振り向き告げる。
「今から差し支えなければ手合わせを願いたいが大丈夫か?」
「私は構わないよ。もちろん容赦はしないよ」
「それで頼む」
 置いてあった竹刀で競り合う2人だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...