魔法犯罪の真実

水山 蓮司

文字の大きさ
41 / 56
第2章 血の追求者

2-07:捜査・新宿エリア

しおりを挟む
「コレといって今のところ変化や連絡がありませんね」
「そうだね。でもそれだけ今は穏やかと言ってもいいんじゃないかな?極端に街中で騒動が勃発されてもそれはそれで困るし」
「確かにそれは言えていますね」
 新宿エリアを巡回する舞香と恵、このエリアも駅付近を中心に人通りの多いところを回っているが道行く人に今のところ変化が見られない。
「今回の注射の件でどういう人物なのか、気になるところではあるけど私その人と性格合いそうにないかも」
「と言いますと?」
 恵が尋ねると舞香はあからさまに毒を吐く。
「だってあれだけ正確なところに注射を打つくらいだからきっと、私生活でも少しものがズレただけでも文句を言ってきそうだなと思って、だからもし遭遇しても避けたいなぁって」
「その意見に賛成です。私も口うるさく言ってくる方が苦手なので性別問わず出来れば会いたくないです」
「アハハッ言うね。恵ちゃんにそこまで言うとは少し驚いたよ」
「意外でしたか?隠していたつもりはなかったんですけどね」
 少し照れて言うと、
『はい2人とも話が盛り上がっているところ申し訳ないけど遊びに来ているわけじゃないからね』
 念話で2人の間に割って入る真奈が注意する。
「わかっているさ。新宿エリアは見ての通り、今のところ特別変化が起きているように見えないけど、時光クンや志穂や美穂のいるエリアはどんな状況かな?」
 舞香にそう尋ねられて各エリアを回っている3人の状況を伝える。
『そうね。まず時光のいる吉祥寺エリアは確認出来た数が女性3名と男性1名、志穂と美穂がいる渋谷エリアで女性が6名で注意レベルの確認がとれているわ。幸いにも貴女たちのいる新宿エリアはまだそのレベルに至る人は確認出来ていないわ』
 2人は内心ホッとして気持ちを切り替え、恵が尋ねる。
「では引き続き巡回は続けますが、先輩か志穂さんと美穂さんのいるエリアで注意レベルの他に何か変わった意見はありますか?」
 すると真奈が2人にこう持ち掛ける。
『それについてだけど2人とも背後に張り付いたような感覚はなかった?』
「張り付いたような感覚?」
 舞香が繰り返し言葉で真奈に投げかけると、
『というのも時光が現場に到着して数十分経ってそう言葉にしていたから。具体的な比喩表現がなかったからそうとしか言えないけど改めてどうかな?』
 2人は顔を合わせて答える。
「現場に着いて結構時間が経つけど私たちのエリアからは時光クンの言っていた感覚はないよ」
「舞香さんと同じく。あればお伝え出来たかもしれなかったんですが…。仮にもしその気配の正体が判明したとしてどう対処しますか?」
 際どい質問に悩み答えを出す。
『私の独断だけど、相手から何も仕掛けてこない限りは手を出さずに泳がせてみて。もし命を脅かすほどのことをしてくれば、それに応じた力で防ぐ形をとって周囲の人に被害が及ばないようにお願い出来るかしら?』
「簡単に言ってくれるようだけどやるのは私たちだよ」
『無神経で申し訳ないと思っているわ。でも出来ると信じているから』
 強めに毒づく舞香の言葉に、しょぼんと言う真奈であるが、
「なんてね、ちょっと意地悪言ってみただけ。そんなしょぼくれなくて大丈夫だよ」
『相変わらず舞香は意地悪なんだから』
「フフッ」
 2人のやり取りを見ていた恵がふと目の前を歩く女性を目にした。
 足元がふらついているのが見てとれた。
 比較的距離が近かったため、悟られずに念話で修助に確認する。
『修助さん、今私たちの目の前にいる女性ですが確認お願い出来ますか?』
『大丈夫。恵さんの見立て通り、その女性から17%の注意レベルの数値が確認出来たよ。恵さんが気付くよりも早く綾菜さんが救急を手配したから後は女性の説得をお願い出来るかな?』
『わかりました』
 舞香も状況を察して女性の説得に入る。
「あのすいません、今お時間よろしいですか?」
「……あっ、はい…」
 恵が声をかけると、わかりやすく反応が遅れて女性が返事する。
「突然で申し訳ありませんが医療機関で検査を受けていただきたいのですが、ご都合は大丈夫ですか?」
 舞香が単刀直入に話を持ちかけると女性は頭を下げる。
「はいお願いします。今自分でも連絡を入れようかと思っていたところなので助かります」
「確認のため近日中に注射をされているようでしたら打った方の腕を見せていただけますか?」
「ええ…。どうぞ」
 恵の要求に応じた女性は左腕を見せる。
 ほとんど注射跡はなく確認しづらいが証拠はあった。
「ちなみに注射を打った目的といつ頃なのかお聞かせ願えますか?」
「はい…。打った目的は予防接種のために2~3日前に近くの総合病院で…」
「わかりました。お聞かせいただきありがとうございます」
 舞香の質問にも応じて改めて女性は頭を下げ、その数分後に救急車が到着する。そこに、
「歩果⁉医療機関で待機しているはずじゃなかったの⁉」
 車内に同行していた歩果が出てきた。
「私もそのつもりでしたが絵実先生が医療機関に搬送される直前と着いてからの状態を確認してきてほしいということで来ました」
 まずは自分の経緯を説明した後にこう伝える。
「近々先生からお呼びがかかりメンバーに大切なお話があるそうで、結論から言えば今回複雑な事情が絡んでいる可能性が高いとのことです。医療機関はもちろん、捜査機関という立場でも」
 表情が穏やかではないところを見て深くは追求しなかった。
「嫌でも今後ハッキリわかる、そういうことだね?」
「ええ、今はその解釈で助かります。ではこちらにいる女性を連れて行きますのでまた」
 舞香の短い答えに頷き歩果は女性を優しく救急車の中に誘導してその場を後にした。
「嵐の前の静けさといったところですね」
「うん。悪い方向に傾かなければそれがいいんだろうけど怪しくなってきたね」
「もしそうなっても返り討ちにしましょう舞香さん」
「もちろんそのつもりだよ。さて引き続き調査していこう」
「はい」
 こうして時間の許される限り新宿エリアを見まわる2人であった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...