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第2章 血の追求者
2-16:VS東雲菫 パート2
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「不都合なことはありませんがそう簡単に情報を話すようなことはしません。私を屈服させられる力を示していただかない限りは!」
言い放つと同時に両手からクナイのように注射器を時光に目がけて投げ飛ばす。
時光はそれを躱すが、それを理解した上で菫はパンッと手を合わせて注射器を爆散させその中に含まれていた透明の液体を拡散させた。
ここでも更にまきびしの如く大量の白い錠剤薬を放ち拡散させた液体に溶かし霧を作った。
(これは一体…)
注意を払いつつ菫の動きに警戒して時光は構え続ける。
視界は白く濁り見えづらいが確認出来ないほどではなかったので近くにいた捜査官が騒ぎに気付き道行く人の避難誘導をしていた。
「これはどういうつもりですか?自分が何をしているのか理解した上でやっているのですか?」
時光は口元を覆いながら語気を強くして訴えると菫は、さもありなんと言わんばかりの態度で答える。
「ええもちろん。でなければこのようなやり方は致しませんし、くどいやり方よりも明白でよろしくて?」
「ようはこれで心置きなく周りから妨害されることなく叩き潰せると?」
「その通りです。乱暴なやり方かもしれませんが、人に怪我を負わせることなく手っ取り早く退かすにはこの方法が妥当かと思いますけどね」
「くっ!」
一枚も二枚も相手の言い分が上手なことに悔しさしかないが、まともに相手をしていたのではキリがないので気持ちを落ち着かせるために怒りを抑えた。
「では改めて参ります」
そう言って時光の正面を攻めようと見せかけ、またいつの間にか背後に回っては注射器で時光に刺し迫る。
だが時光も負けじと素早く躱し、持っている注射器を蹴りで弾き飛ばす。
「フフッ、少しはやるようですね。ですがそれだけでは私は倒せませんよ」
菫の攻撃は止まらず隙がなかなか見つからず、攻撃を防ぐだけで精一杯である。
(マズイな…。このままだとペースを持っていかれる…)
達人の持つ力とは別の類の強さを菫は持っている。
達人の時は自分の放った力を受け流されて状況によってその力を利用し、自分のところに返してくるバランス型に対して、菫は自分の攻撃パターンを相手に絞らせず考える時間さえ与えない超攻撃型タイプである。
ただ攻めるだけではなく利用出来るものがあればそれを最大限利用するという要領も持ち合わせているので時光からしてみれば極めて相性の悪い相手だと言える。
また刀を出さず素手で挑んでいるのも菫の動きが早すぎるため、最小限の刀の一振りでさえ何処かで隙を作らせてしまうため今回、武術で挑んでいるのも理由の一つである。
防戦一方というのも早々に限界が来ると思った時光は攻めに転じる。
「陽炎拳!」
炎を纏わせた拳撃が菫に勢いよく飛ぶ。
だが菫はそれを難なく外科医が手術で使うメスで目に見えない速度でスパスパ切り裂き、炎の勢いを拡散させる。
その隙をついて菫の背後に回り、
「旋炎牙!」
先ほどよりも威力はないが速度あるアッパーカットの軌道を描く炎の拳撃をくらわそうとかかるが、ものの見事に竜巻の如く回転して攻撃の勢いを抑えられた。
「なかなかの速度ですが、まだまだ甘いですわね。まさかこれで本気とは言わないですよね?」
(何でもお見通しなのか!)
他にも攻撃を繰り出そうと思えばいくらでもあるが、それをしたことで手の内が全て明らかになり攻撃が一切通用しなくなると時光は悟った。
その後も防戦が続き。菫は容赦なく時光の体力や行動をジリジリ削るように攻め続ける。
時間が経つにつれて菫の動きに余裕が出てきたのか、時光の仕掛けてくる攻撃に対して踊るように躱し、手の平で遊ばせているようにも見えた。
時光は食らいつくので精一杯で一瞬でも気を抜けば痛烈な一撃を受けるかもしれないという紙一重の状況に追い込まれている。
やがて時光の息が少しずつ上がり始めてきた時に僅かながら足元が崩れ落ちそうになる。
菫はその一瞬を見逃さなかった。
「ふっ!」
放たれたメスを強引に躱そうとするも躱し切れず、ザクッと左腕に怪我を負う。
ジリジリと痛みが濃く滲み出てきた部分に手で抑え堪える。
(まさかここまでとは…)
同時に動きが鈍くなってきたことの変化にも少しずつ実感する。
「どうやら薬の効果が出始めてきましたね」
「一体何を?」
時光の疑問に隠すことなく答える。
「最初に仕掛けた液体に大量の錠剤ですが、直接あるいは間接的に時間差はありますが共通して対象者の動きを一時的ですが止めることが出来る「身停止薬」を投与させていただきましたよ」
「よくもそんな平気で悪用出来たものですね。恥ずかしいと思わないのですか?」
皮肉気にそう言ってみせるも、
「確かに使い方は間違っているかもしれませんが、自分の身を守るため、周囲に被害が及ばないための薬でもあるので全てが悪いとは思っていませんよ。それとも命の危機が迫っても使うなと貴方は言うつもりですか?」
「いいえ。言い分は間違っていないと思います。だが俺が指摘しているのはそこではなく、罪のない一般の方に対してそのような薬の使い方をして恥ずかしくないかと聞いています。改めてそこをどう解釈しているのですか!」
今までよりも極めて強めの口調で訴える時光に菫も固い口調で答える。
「個人差によって効き目が異なる結果が出ることは言うまでもなく、その落差をなくすために薬の効果を確かめます。それはヒトや動物で確かめ、初めてその薬を試験的に導入して、より安全が確保されて実用段階まで持っていくことが出来ます。口で言うには簡単ですがこれが何を示しているかご存じですか?」
追い詰めようと思ったことが逆に追い詰められる形となる。
しかし引くわけにもいかず強気の姿勢で答える。
「つまりは研究した結果によってもたらされる薬の効果次第で自由に投与出来ると言いたいのですか?」
「その通りです。新薬というのは年数以上に完成されるまで時間がかかるものだと考えています。それに携わる方にしかわからないことです」
「それが今、周囲で起きていることですか?」
「そう、今まさにその薬の効果を確かめている段階です。かつて犯罪者に投与した薬を改良に改良を重ねていたものを」
昨日に良歌が話していた例の40代の男性に投与した薬のことについて思い出す。
その事例によって薬の投与は禁止され2度と監獄から釈放または仮釈放される人に投与されることはなかった。
結果、ほとんどの人が再び逮捕される形となっているのは言うまでもない。
そこに着目して菫は今まで自分が学んできたものをもとに、薬の改良に時間を費やし、先人たちの失敗を払拭しようと挑んでいるとも捉えられる。
見方によって菫のやっていることは犯罪抑制に役立てるかもしれない心強く頼もしいことをやっている人だと思える人もいる。
言い放つと同時に両手からクナイのように注射器を時光に目がけて投げ飛ばす。
時光はそれを躱すが、それを理解した上で菫はパンッと手を合わせて注射器を爆散させその中に含まれていた透明の液体を拡散させた。
ここでも更にまきびしの如く大量の白い錠剤薬を放ち拡散させた液体に溶かし霧を作った。
(これは一体…)
注意を払いつつ菫の動きに警戒して時光は構え続ける。
視界は白く濁り見えづらいが確認出来ないほどではなかったので近くにいた捜査官が騒ぎに気付き道行く人の避難誘導をしていた。
「これはどういうつもりですか?自分が何をしているのか理解した上でやっているのですか?」
時光は口元を覆いながら語気を強くして訴えると菫は、さもありなんと言わんばかりの態度で答える。
「ええもちろん。でなければこのようなやり方は致しませんし、くどいやり方よりも明白でよろしくて?」
「ようはこれで心置きなく周りから妨害されることなく叩き潰せると?」
「その通りです。乱暴なやり方かもしれませんが、人に怪我を負わせることなく手っ取り早く退かすにはこの方法が妥当かと思いますけどね」
「くっ!」
一枚も二枚も相手の言い分が上手なことに悔しさしかないが、まともに相手をしていたのではキリがないので気持ちを落ち着かせるために怒りを抑えた。
「では改めて参ります」
そう言って時光の正面を攻めようと見せかけ、またいつの間にか背後に回っては注射器で時光に刺し迫る。
だが時光も負けじと素早く躱し、持っている注射器を蹴りで弾き飛ばす。
「フフッ、少しはやるようですね。ですがそれだけでは私は倒せませんよ」
菫の攻撃は止まらず隙がなかなか見つからず、攻撃を防ぐだけで精一杯である。
(マズイな…。このままだとペースを持っていかれる…)
達人の持つ力とは別の類の強さを菫は持っている。
達人の時は自分の放った力を受け流されて状況によってその力を利用し、自分のところに返してくるバランス型に対して、菫は自分の攻撃パターンを相手に絞らせず考える時間さえ与えない超攻撃型タイプである。
ただ攻めるだけではなく利用出来るものがあればそれを最大限利用するという要領も持ち合わせているので時光からしてみれば極めて相性の悪い相手だと言える。
また刀を出さず素手で挑んでいるのも菫の動きが早すぎるため、最小限の刀の一振りでさえ何処かで隙を作らせてしまうため今回、武術で挑んでいるのも理由の一つである。
防戦一方というのも早々に限界が来ると思った時光は攻めに転じる。
「陽炎拳!」
炎を纏わせた拳撃が菫に勢いよく飛ぶ。
だが菫はそれを難なく外科医が手術で使うメスで目に見えない速度でスパスパ切り裂き、炎の勢いを拡散させる。
その隙をついて菫の背後に回り、
「旋炎牙!」
先ほどよりも威力はないが速度あるアッパーカットの軌道を描く炎の拳撃をくらわそうとかかるが、ものの見事に竜巻の如く回転して攻撃の勢いを抑えられた。
「なかなかの速度ですが、まだまだ甘いですわね。まさかこれで本気とは言わないですよね?」
(何でもお見通しなのか!)
他にも攻撃を繰り出そうと思えばいくらでもあるが、それをしたことで手の内が全て明らかになり攻撃が一切通用しなくなると時光は悟った。
その後も防戦が続き。菫は容赦なく時光の体力や行動をジリジリ削るように攻め続ける。
時間が経つにつれて菫の動きに余裕が出てきたのか、時光の仕掛けてくる攻撃に対して踊るように躱し、手の平で遊ばせているようにも見えた。
時光は食らいつくので精一杯で一瞬でも気を抜けば痛烈な一撃を受けるかもしれないという紙一重の状況に追い込まれている。
やがて時光の息が少しずつ上がり始めてきた時に僅かながら足元が崩れ落ちそうになる。
菫はその一瞬を見逃さなかった。
「ふっ!」
放たれたメスを強引に躱そうとするも躱し切れず、ザクッと左腕に怪我を負う。
ジリジリと痛みが濃く滲み出てきた部分に手で抑え堪える。
(まさかここまでとは…)
同時に動きが鈍くなってきたことの変化にも少しずつ実感する。
「どうやら薬の効果が出始めてきましたね」
「一体何を?」
時光の疑問に隠すことなく答える。
「最初に仕掛けた液体に大量の錠剤ですが、直接あるいは間接的に時間差はありますが共通して対象者の動きを一時的ですが止めることが出来る「身停止薬」を投与させていただきましたよ」
「よくもそんな平気で悪用出来たものですね。恥ずかしいと思わないのですか?」
皮肉気にそう言ってみせるも、
「確かに使い方は間違っているかもしれませんが、自分の身を守るため、周囲に被害が及ばないための薬でもあるので全てが悪いとは思っていませんよ。それとも命の危機が迫っても使うなと貴方は言うつもりですか?」
「いいえ。言い分は間違っていないと思います。だが俺が指摘しているのはそこではなく、罪のない一般の方に対してそのような薬の使い方をして恥ずかしくないかと聞いています。改めてそこをどう解釈しているのですか!」
今までよりも極めて強めの口調で訴える時光に菫も固い口調で答える。
「個人差によって効き目が異なる結果が出ることは言うまでもなく、その落差をなくすために薬の効果を確かめます。それはヒトや動物で確かめ、初めてその薬を試験的に導入して、より安全が確保されて実用段階まで持っていくことが出来ます。口で言うには簡単ですがこれが何を示しているかご存じですか?」
追い詰めようと思ったことが逆に追い詰められる形となる。
しかし引くわけにもいかず強気の姿勢で答える。
「つまりは研究した結果によってもたらされる薬の効果次第で自由に投与出来ると言いたいのですか?」
「その通りです。新薬というのは年数以上に完成されるまで時間がかかるものだと考えています。それに携わる方にしかわからないことです」
「それが今、周囲で起きていることですか?」
「そう、今まさにその薬の効果を確かめている段階です。かつて犯罪者に投与した薬を改良に改良を重ねていたものを」
昨日に良歌が話していた例の40代の男性に投与した薬のことについて思い出す。
その事例によって薬の投与は禁止され2度と監獄から釈放または仮釈放される人に投与されることはなかった。
結果、ほとんどの人が再び逮捕される形となっているのは言うまでもない。
そこに着目して菫は今まで自分が学んできたものをもとに、薬の改良に時間を費やし、先人たちの失敗を払拭しようと挑んでいるとも捉えられる。
見方によって菫のやっていることは犯罪抑制に役立てるかもしれない心強く頼もしいことをやっている人だと思える人もいる。
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