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第2章 血の追求者
2-19:ギリギリの心理戦
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そして菫に杖の先端を向けて動かないように威圧をかける。
時光と舞香も菫の傍まできて囲うようにして逃げられなくする。
「どうやらここに来て先ほど自分で打った注射の反動が来たようですね。その薬品も新薬というわけですか?」
恵の問いに少し疲れたように答える。
「ええ。名前こそ珍しくはありませんがこの薬品も改良を重ねていたものの一つです。副作用としてはご覧の通り、疲労が一気に降りかかり動けなくなってしまうことです」
「一体何故そのような薬品を?下手すれば自分の命に関わることではないのですか?」
今も薬品を投与したことに理解出来ない舞香の質問に皮肉交じりに答える。
「医療に携わったことのない方からすればそうでしょうね。でもそうならないように調整した上で薬品の投与を試してみました。そうでなければこんな真似はしません。少し考えれば簡単に辿り着く結論だと思いますよ」
内心腹を立てた舞香は怒りを抑え聞き流した。
「では回りくどい言い方なしに、このような騒動を起こしたからには目的を聞かせていただきますよ」
釘を刺すように時光が言うと観念したのか気を緩めて話を始める。
「過去に40代の男性が仮釈放される際に薬品を投与した事例はご存じですか?」
「はい。村富警視監から話をされて結果的にその男性は救急搬送されて長時間に及ぶ手術を行ったそうですが亡くなってしまった事例ですよね?」
おさらいのため時光が簡潔にそう述べると、
「そうです。その事例以降、釈放・仮釈放される方は薬を投与されることなく牢獄から出るわけですが、悲しいことにほとんどの方が再び犯罪に手を染めて牢獄に戻るのが現実です」
改めてその話を受けて耳を塞ぎたくなる内容だが目を背けるわけにはいかなかった。
日々起こる犯罪を含めて捜査官としてはもちろん、一人の人間として向き合うことで再認識させられることが多くある世の中、自分一人が苦しんでいるわけではない。
菫も時光たちと立場は違っても医療に携わった人として見逃せなかったのだろうと考えられる。
「確かに東雲さん、貴女の言う通り出所した犯罪者が再び牢獄に入れられる現実が見受けられるのが、ひと昔から変わっていないことですが、それを踏まえてでも罪のない人、それこそ大勢の人に薬を投与する必要がありますか?」
時光は諭すように純粋に疑問を菫にぶつけると、
「それはもちろん。この薬の結果次第で多くの人の命が守られるだけではなく、身近にいる大切な人の命が奪われることなく過ごせる日常が実現出来るかもしれませんからね。それに犯罪者を一人でも多く減らしていくための一つの手段として使われるのであれば喜ばしいことだと考えていますよ」
その言葉を聞いて恵がこう切り返す。
「いつかその犯罪者の気持ちが壊れても平気だと言うつもりですか?」
少し不思議に思ったのだろうか嘲笑うように答える。
「犯罪者の気持ちですか?それはまた見え透いた建前を言うのですね。確かに犯罪者であろうと人だということに変わりはありません。しかしその者たちはたとえどんな理由があろうと決してやってはならないことに手を染めて反省しようとしないただのエゴイストです。そんな人を社会に放り出したらどうなるのか言われなくても容易に想像出来るはずです。それでも何もせずにただ指を加えたまま見過ごすということですか?」
まるで人の気持ちの中に侵入するかの如く厳しいところを指摘して反論させないような口調で責めてくる。
それに臆せず時光が慎重に切り込む。
「悔しいですが捜査官や建前なしに申し上げるならば俺もそう考えていますよ」
「時光クン!」
「先輩!」
舞香と恵が止めに入ろうとするが、右手で待ったをかけるように言葉を遮り思ったことを伝える。
「でもそれでは駄目です。当然ですが人間には限界があります。薬を投与して人の気持ちを支配するとか変えようとか断言は出来ませんが高確率で破綻するとも考えています。今貴女が成し遂げようとしていることが特に」
そう言い切ったところで菫はクスッと笑い言葉を返す。
「どうやらご自身で言っていることがどれほど軽々しいことなのか理解出来ていませんね。その言葉一つ一つが後に思っている以上に重くのしかかることが」
最後の悪あがきともとれる言動だが舞香と恵が仕留めに入ろうとする。
しかし時光が両手を広げて止めに入り菫を連行しようとする。
「聞きたいことが山積みなので警視庁の方で聞かせていただきますよ」
「そうですね。着いたら今すぐに」
含みのある言葉に不敵な笑みを浮かべた瞬間だった。
「「「っ⁉」」」
時光たちの足元に振動が生じて次第に大きくなる。
気が付けば身動きが取れなくなり足元が安定しない状況になってしまった。
それだけではなく背筋がゾッとする感覚に陥り体を少し傾け後ろを見るとそこにはかつてのメンバーが立っていた。
「若弥!」
怒りを滲ませ時光が叫ぶと若弥は嬉々としてその様子を見ていた。
「やあ皆久しぶりだね。元気だったかな?」
明らかにわざとらしくそう言うと舞香も怒りに身を任せて訴える。
「若弥クン、今自分がしていることわかっているのかな!」
「うん、わかっているさ。その上でこうして立っているわけだからね」
さらっと他人事のように言う態度に恵も噛みつくように言い出す。
「よくもそんな身勝手な行動が出来て情けないと思わないのですか!」
「言いたいこと、言い残すことはそれだけかな?悪いけど、お喋りしに来たわけじゃないからね。それじゃあ皆バイバイ」
力を最大限にまで高めて時光たちを全力で殺しにかかろうとする時だった、
「蛇空!」
不規則な軌道だが凄まじい速度の斬撃が若弥を目がけて飛ばして来る人物が現れた。
「おおっと危ない。やはり出し抜くことは無理か」
「怜司!」
ギリギリのところで躱し嬉々とした態度を崩さず怜司を見やる若弥に対して、氷のように冷たく鋭い視線を飛ばす怜司、助けに現れた怜司の名前を叫び、間一髪のところでホッとして気が抜ける時光たち。
今や怜司の様子は若弥を本気で切り殺しにかかるほど恐ろしい形相である。
「怜司君だけならまだしもボロボロの状態とはいえ時光君たちも相手に含めるとさすがに厳しいかな。今日のところはこれくらいにしておくよ。それじゃあ」
そう言って若弥はそそくさと姿をフッと消していなくなってしまった。
その間、既に菫の姿もそこにはなかった。
「くっ!」
時光がボロボロになりながらも若弥を追いかけようとするが怜司が止めに入る。
「時ちゃん落ち着け。奴を追いかけるだけ時間の無駄だ。それにもし追いつけたとしても、まともに相手をしてくれるわけでもない。万が一に戦闘になったとして今の状態で勝てるか?」
「そ、それは…。っ!…。悪かった、さすがに今のままじゃ倒せないな」
言葉に詰まったかと思えば左腕に負った怪我がズキリとして痛みを堪える。
「時光クン大丈夫かい⁉さすがにそれはマズイよ」
「ああ舞香さん、ありがとう。後で綾菜さんか歩果さんに治療してもらうよ」
「舞香は少し慌てて時光に寄り添うと、それを時光は優しく宥める。
「ここへ来ていただき本当に助かりましたが、どういった手段で若弥さんが来ることが予想出来たのですか?」
恵の疑問に怜司が頷き答える。
「それについては朱実さんの直感とでも言うべきか、こうなるんじゃないかと予感でもしていたのか、いずれにしても昨日に私と岩方警視長にその考案を提示してくれたおかげで対応が間に合ったんだ。朱実さん、私に提示した内容を時ちゃんたちにもお願い出来るかな?」
『わかった。今からその情報を流すから待ってね』
インカムでそう頼まれた朱実が了承すると、時光たちの足元に魔法陣が展開されてその考案が脳内に送り込まれて来る。
その内容とは次の通りである。
――引き続き街中で重軽症問わず異変のある人々に関しては医療機関あるいは場合によってシェルターに搬送するように説得を続けて一人でも多くの人を可能な限り救助すること。
一人では手に負えないと判断した場合は警視庁の捜査官の支援を得てこなせるだけの数に絞り被害を最小限にとどめることを目標に捜査することが妥当だと考えている。
あまり考えたくない可能性を提示するとなれば時光君、舞香さん、恵さん、いずれかの人の前に小堂君が何らかの形で出現した場合には直ちに今取り組んでいる捜査を中断して救出に向かうことを最優先事項とする。
もし小堂君との戦闘になった場合には周囲の状況にもよるが最悪その場で小堂君の抹殺をお願いとする――
最後の一文あたりで時光たちの言わんとすることが伝わってきたので怜司が再度説明する。
「嫌というほど確認させられることだが、あくまで若弥の抹殺は最終手段で前提としては捕獲して今までしてきたことを本人の口から説明してもらうこと。しかし周囲の罪のない人の命を巻き込み脅かす動きがあれば容赦なく抹殺することも然り。皆の感情に温度差があるかもしれないけど、少なくとも若弥が本部の一員として戻って来るという気持ちは捨てて敵として見た方が今後の捜査にも影響が及ぶことなく済むというのが率直なところだよ」
頭ではわかっているが、いざ行動で示すとなると時間がかかることも事実で最善の段取りもつけられていない状況である。
時光たちの様子を察しつつ話を続ける。
「では若弥の襲撃もなくなって私は街中にいる人々の救助に戻るから不都合なことがあれば連絡の方をよろしく」
「わかった。助けに来てくれてありがとう」
「礼には及ばないよ。当然のことをしたまでだから。それじゃあ朱実さん東京の現場までお願い」
『わかった。引き続き救助活動の方を気をつけてね』
時光の申し訳なさそうな言葉にも気にすることなく怜司は朱実の展開した魔法陣に踏み入れてその場を後にした。
「さて悔しいけど今日のところは引き上げて医療機関に行って状況を確認しに行こうか」
「そうだね。時光クン自身の怪我も治療しないとあれから随分、時間が経っているからマズイんじゃないかな?」
時光の発言に舞香が賛同すると共に怪我のことを指摘する。
「私が偉そうに言えた立場ではありませんが先輩、無茶し過ぎですよ」
「ははっ。返す言葉がないよ、気をつけるよ」
恵の言葉に時光は苦笑いで返す。
怪我の治療と共に搬送されている人々の状況を確かめに行く時光たちである。
時光と舞香も菫の傍まできて囲うようにして逃げられなくする。
「どうやらここに来て先ほど自分で打った注射の反動が来たようですね。その薬品も新薬というわけですか?」
恵の問いに少し疲れたように答える。
「ええ。名前こそ珍しくはありませんがこの薬品も改良を重ねていたものの一つです。副作用としてはご覧の通り、疲労が一気に降りかかり動けなくなってしまうことです」
「一体何故そのような薬品を?下手すれば自分の命に関わることではないのですか?」
今も薬品を投与したことに理解出来ない舞香の質問に皮肉交じりに答える。
「医療に携わったことのない方からすればそうでしょうね。でもそうならないように調整した上で薬品の投与を試してみました。そうでなければこんな真似はしません。少し考えれば簡単に辿り着く結論だと思いますよ」
内心腹を立てた舞香は怒りを抑え聞き流した。
「では回りくどい言い方なしに、このような騒動を起こしたからには目的を聞かせていただきますよ」
釘を刺すように時光が言うと観念したのか気を緩めて話を始める。
「過去に40代の男性が仮釈放される際に薬品を投与した事例はご存じですか?」
「はい。村富警視監から話をされて結果的にその男性は救急搬送されて長時間に及ぶ手術を行ったそうですが亡くなってしまった事例ですよね?」
おさらいのため時光が簡潔にそう述べると、
「そうです。その事例以降、釈放・仮釈放される方は薬を投与されることなく牢獄から出るわけですが、悲しいことにほとんどの方が再び犯罪に手を染めて牢獄に戻るのが現実です」
改めてその話を受けて耳を塞ぎたくなる内容だが目を背けるわけにはいかなかった。
日々起こる犯罪を含めて捜査官としてはもちろん、一人の人間として向き合うことで再認識させられることが多くある世の中、自分一人が苦しんでいるわけではない。
菫も時光たちと立場は違っても医療に携わった人として見逃せなかったのだろうと考えられる。
「確かに東雲さん、貴女の言う通り出所した犯罪者が再び牢獄に入れられる現実が見受けられるのが、ひと昔から変わっていないことですが、それを踏まえてでも罪のない人、それこそ大勢の人に薬を投与する必要がありますか?」
時光は諭すように純粋に疑問を菫にぶつけると、
「それはもちろん。この薬の結果次第で多くの人の命が守られるだけではなく、身近にいる大切な人の命が奪われることなく過ごせる日常が実現出来るかもしれませんからね。それに犯罪者を一人でも多く減らしていくための一つの手段として使われるのであれば喜ばしいことだと考えていますよ」
その言葉を聞いて恵がこう切り返す。
「いつかその犯罪者の気持ちが壊れても平気だと言うつもりですか?」
少し不思議に思ったのだろうか嘲笑うように答える。
「犯罪者の気持ちですか?それはまた見え透いた建前を言うのですね。確かに犯罪者であろうと人だということに変わりはありません。しかしその者たちはたとえどんな理由があろうと決してやってはならないことに手を染めて反省しようとしないただのエゴイストです。そんな人を社会に放り出したらどうなるのか言われなくても容易に想像出来るはずです。それでも何もせずにただ指を加えたまま見過ごすということですか?」
まるで人の気持ちの中に侵入するかの如く厳しいところを指摘して反論させないような口調で責めてくる。
それに臆せず時光が慎重に切り込む。
「悔しいですが捜査官や建前なしに申し上げるならば俺もそう考えていますよ」
「時光クン!」
「先輩!」
舞香と恵が止めに入ろうとするが、右手で待ったをかけるように言葉を遮り思ったことを伝える。
「でもそれでは駄目です。当然ですが人間には限界があります。薬を投与して人の気持ちを支配するとか変えようとか断言は出来ませんが高確率で破綻するとも考えています。今貴女が成し遂げようとしていることが特に」
そう言い切ったところで菫はクスッと笑い言葉を返す。
「どうやらご自身で言っていることがどれほど軽々しいことなのか理解出来ていませんね。その言葉一つ一つが後に思っている以上に重くのしかかることが」
最後の悪あがきともとれる言動だが舞香と恵が仕留めに入ろうとする。
しかし時光が両手を広げて止めに入り菫を連行しようとする。
「聞きたいことが山積みなので警視庁の方で聞かせていただきますよ」
「そうですね。着いたら今すぐに」
含みのある言葉に不敵な笑みを浮かべた瞬間だった。
「「「っ⁉」」」
時光たちの足元に振動が生じて次第に大きくなる。
気が付けば身動きが取れなくなり足元が安定しない状況になってしまった。
それだけではなく背筋がゾッとする感覚に陥り体を少し傾け後ろを見るとそこにはかつてのメンバーが立っていた。
「若弥!」
怒りを滲ませ時光が叫ぶと若弥は嬉々としてその様子を見ていた。
「やあ皆久しぶりだね。元気だったかな?」
明らかにわざとらしくそう言うと舞香も怒りに身を任せて訴える。
「若弥クン、今自分がしていることわかっているのかな!」
「うん、わかっているさ。その上でこうして立っているわけだからね」
さらっと他人事のように言う態度に恵も噛みつくように言い出す。
「よくもそんな身勝手な行動が出来て情けないと思わないのですか!」
「言いたいこと、言い残すことはそれだけかな?悪いけど、お喋りしに来たわけじゃないからね。それじゃあ皆バイバイ」
力を最大限にまで高めて時光たちを全力で殺しにかかろうとする時だった、
「蛇空!」
不規則な軌道だが凄まじい速度の斬撃が若弥を目がけて飛ばして来る人物が現れた。
「おおっと危ない。やはり出し抜くことは無理か」
「怜司!」
ギリギリのところで躱し嬉々とした態度を崩さず怜司を見やる若弥に対して、氷のように冷たく鋭い視線を飛ばす怜司、助けに現れた怜司の名前を叫び、間一髪のところでホッとして気が抜ける時光たち。
今や怜司の様子は若弥を本気で切り殺しにかかるほど恐ろしい形相である。
「怜司君だけならまだしもボロボロの状態とはいえ時光君たちも相手に含めるとさすがに厳しいかな。今日のところはこれくらいにしておくよ。それじゃあ」
そう言って若弥はそそくさと姿をフッと消していなくなってしまった。
その間、既に菫の姿もそこにはなかった。
「くっ!」
時光がボロボロになりながらも若弥を追いかけようとするが怜司が止めに入る。
「時ちゃん落ち着け。奴を追いかけるだけ時間の無駄だ。それにもし追いつけたとしても、まともに相手をしてくれるわけでもない。万が一に戦闘になったとして今の状態で勝てるか?」
「そ、それは…。っ!…。悪かった、さすがに今のままじゃ倒せないな」
言葉に詰まったかと思えば左腕に負った怪我がズキリとして痛みを堪える。
「時光クン大丈夫かい⁉さすがにそれはマズイよ」
「ああ舞香さん、ありがとう。後で綾菜さんか歩果さんに治療してもらうよ」
「舞香は少し慌てて時光に寄り添うと、それを時光は優しく宥める。
「ここへ来ていただき本当に助かりましたが、どういった手段で若弥さんが来ることが予想出来たのですか?」
恵の疑問に怜司が頷き答える。
「それについては朱実さんの直感とでも言うべきか、こうなるんじゃないかと予感でもしていたのか、いずれにしても昨日に私と岩方警視長にその考案を提示してくれたおかげで対応が間に合ったんだ。朱実さん、私に提示した内容を時ちゃんたちにもお願い出来るかな?」
『わかった。今からその情報を流すから待ってね』
インカムでそう頼まれた朱実が了承すると、時光たちの足元に魔法陣が展開されてその考案が脳内に送り込まれて来る。
その内容とは次の通りである。
――引き続き街中で重軽症問わず異変のある人々に関しては医療機関あるいは場合によってシェルターに搬送するように説得を続けて一人でも多くの人を可能な限り救助すること。
一人では手に負えないと判断した場合は警視庁の捜査官の支援を得てこなせるだけの数に絞り被害を最小限にとどめることを目標に捜査することが妥当だと考えている。
あまり考えたくない可能性を提示するとなれば時光君、舞香さん、恵さん、いずれかの人の前に小堂君が何らかの形で出現した場合には直ちに今取り組んでいる捜査を中断して救出に向かうことを最優先事項とする。
もし小堂君との戦闘になった場合には周囲の状況にもよるが最悪その場で小堂君の抹殺をお願いとする――
最後の一文あたりで時光たちの言わんとすることが伝わってきたので怜司が再度説明する。
「嫌というほど確認させられることだが、あくまで若弥の抹殺は最終手段で前提としては捕獲して今までしてきたことを本人の口から説明してもらうこと。しかし周囲の罪のない人の命を巻き込み脅かす動きがあれば容赦なく抹殺することも然り。皆の感情に温度差があるかもしれないけど、少なくとも若弥が本部の一員として戻って来るという気持ちは捨てて敵として見た方が今後の捜査にも影響が及ぶことなく済むというのが率直なところだよ」
頭ではわかっているが、いざ行動で示すとなると時間がかかることも事実で最善の段取りもつけられていない状況である。
時光たちの様子を察しつつ話を続ける。
「では若弥の襲撃もなくなって私は街中にいる人々の救助に戻るから不都合なことがあれば連絡の方をよろしく」
「わかった。助けに来てくれてありがとう」
「礼には及ばないよ。当然のことをしたまでだから。それじゃあ朱実さん東京の現場までお願い」
『わかった。引き続き救助活動の方を気をつけてね』
時光の申し訳なさそうな言葉にも気にすることなく怜司は朱実の展開した魔法陣に踏み入れてその場を後にした。
「さて悔しいけど今日のところは引き上げて医療機関に行って状況を確認しに行こうか」
「そうだね。時光クン自身の怪我も治療しないとあれから随分、時間が経っているからマズイんじゃないかな?」
時光の発言に舞香が賛同すると共に怪我のことを指摘する。
「私が偉そうに言えた立場ではありませんが先輩、無茶し過ぎですよ」
「ははっ。返す言葉がないよ、気をつけるよ」
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