41 / 90
第三章 Eduardo's Suffering
10話
しおりを挟む
10
「ヘーイ、キーパー! ここは俺だよ! 俺、俺! 俺にちょうだーい!」
キーパーが立ち上がってすぐ、エドが頭上で右手を振りながら、ぴょんぴょんと跳び跳ね始めた。叫び声は、どこまでも無邪気だった。
少し周囲を見渡した後に、キーパーは大きく蹴り出した。高く上がったボールが、エドの少し手前へと落ちていく。
落下点を読みながらエドは引き、中の桐畑にダイレクトでパスをする。
マークを振り切った桐畑は、ちょんと右側にボールを遣った。前に進むかのような蹴り真似を入れると、3番の重心がわずかに傾く。
桐畑は直ちに、右足の外側でエドにキック。来た! という風な喜色のエドは、左足で大きくドリブルを始める。
だが3番は、機敏に反応した。身体をぐっと前に倒して、スライディングを掛ける。
エドは、ぎょっとした面持ちになった。次の瞬間、3番の脛に左足が掛かり、胸を地面に突いた体勢でずさーっと倒れ込んだ。
3番の足の爪先が、ボールを押さえた。瞬時に立ち上がった3番は、近くの選手にパスを出した。
(際どいが、ボールに行ってるしノー・ファールだ。ってか今のタックル、エドに匹敵する神速反応だよな。ポルトガルは、マルセロだけじゃないってか。そう来なくちゃあ面白くねえよなぁ)
気を引き締める桐畑は右手を口に当てて、エドに注意を促す。
「エドー! マルセロも半端ないけど、お前のマーカーもかなりの遣り手だぜー! 足だけじゃなくて頭もフル回転させて、賢ーくプレーをしてこうやー!」
グラウンド中に、ぴりっとした声が響いた。桐畑は、元気がいっぱいの返事を予期していた。
しかし、エドは倒れた姿勢のままだった。心なしか、身体がふるふると震えているようにも見えた。
少し引っ掛かる桐畑だったが、すぐに向き直って、ボールの行方を追い始める。
「ヘーイ、キーパー! ここは俺だよ! 俺、俺! 俺にちょうだーい!」
キーパーが立ち上がってすぐ、エドが頭上で右手を振りながら、ぴょんぴょんと跳び跳ね始めた。叫び声は、どこまでも無邪気だった。
少し周囲を見渡した後に、キーパーは大きく蹴り出した。高く上がったボールが、エドの少し手前へと落ちていく。
落下点を読みながらエドは引き、中の桐畑にダイレクトでパスをする。
マークを振り切った桐畑は、ちょんと右側にボールを遣った。前に進むかのような蹴り真似を入れると、3番の重心がわずかに傾く。
桐畑は直ちに、右足の外側でエドにキック。来た! という風な喜色のエドは、左足で大きくドリブルを始める。
だが3番は、機敏に反応した。身体をぐっと前に倒して、スライディングを掛ける。
エドは、ぎょっとした面持ちになった。次の瞬間、3番の脛に左足が掛かり、胸を地面に突いた体勢でずさーっと倒れ込んだ。
3番の足の爪先が、ボールを押さえた。瞬時に立ち上がった3番は、近くの選手にパスを出した。
(際どいが、ボールに行ってるしノー・ファールだ。ってか今のタックル、エドに匹敵する神速反応だよな。ポルトガルは、マルセロだけじゃないってか。そう来なくちゃあ面白くねえよなぁ)
気を引き締める桐畑は右手を口に当てて、エドに注意を促す。
「エドー! マルセロも半端ないけど、お前のマーカーもかなりの遣り手だぜー! 足だけじゃなくて頭もフル回転させて、賢ーくプレーをしてこうやー!」
グラウンド中に、ぴりっとした声が響いた。桐畑は、元気がいっぱいの返事を予期していた。
しかし、エドは倒れた姿勢のままだった。心なしか、身体がふるふると震えているようにも見えた。
少し引っ掛かる桐畑だったが、すぐに向き直って、ボールの行方を追い始める。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない!~
伊吹美香
恋愛
ウエディングプランナーとして働く菱崎由華
結婚式当日に花嫁に逃げられた建築会社CEOの月城蒼空
幼馴染の二人が偶然再会し、花嫁に逃げられた蒼空のメンツのために、カモフラージュ婚をしてしまう二人。
割り切った結婚かと思いきや、小さいころからずっと由華のことを想っていた蒼空が、このチャンスを逃すはずがない。
思いっきり溺愛する蒼空に、由華は翻弄されまくりでパニック。
二人の結婚生活は一体どうなる?
遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。
でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。
就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。
そこには玲央がいる。
それなのに、私は玲央に選ばれない……
そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。
瀬川真冬 25歳
一ノ瀬玲央 25歳
ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。
表紙は簡単表紙メーカーにて作成。
アルファポリス公開日 2024/10/21
作品の無断転載はご遠慮ください。
【第一部完結】科学で興す異世界国家 ~理不尽に殺された技術者は第三王子に転生し、科学で王座に至る~
Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。
それでも、組織の理不尽には勝てなかった。
——そして、使い潰されて死んだ。
目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。
強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、
因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。
武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。
だが、邪魔する上司も腐った組織もない。
今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。
石炭と化学による国力強化。
情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。
準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。
これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、
「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、
滅びの未来を書き換えようとする建国譚。
※1話から読んでも大丈夫。ただ、0話を読むと「あのシーン」の意味が変わります。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
隣人はクールな同期でした。
氷萌
恋愛
それなりに有名な出版会社に入社して早6年。
30歳を前にして
未婚で恋人もいないけれど。
マンションの隣に住む同期の男と
酒を酌み交わす日々。
心許すアイツとは
”同期以上、恋人未満―――”
1度は愛した元カレと再会し心を搔き乱され
恋敵の幼馴染には刃を向けられる。
広報部所属
●七星 セツナ●-Setuna Nanase-(29歳)
編集部所属 副編集長
●煌月 ジン●-Jin Kouduki-(29歳)
本当に好きな人は…誰?
己の気持ちに向き合う最後の恋。
“ただの恋愛物語”ってだけじゃない
命と、人との
向き合うという事。
現実に、なさそうな
だけどちょっとあり得るかもしれない
複雑に絡み合う人間模様を描いた
等身大のラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる