私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

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はじまりはじまり。小さな冒険?

226、誇らしさ。

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「セシリアと同じくらいか?…はじめまして、セシリアの兄のヴィンセントだ」

「ユージアです。はじめまして」


寝起きで完全に寝ぼけまなこのユージアの頭をわしゃわしゃと撫でると、その奥に並んで寝ているシュトレイユ王子とカイルザーク、エルネストを順に視界に入れ、目を細めるようにして笑う。


「じゃあ、あとの子達が新しい弟達か……可愛いな。セシリアはお姉ちゃんになったんだもんな、ちゃんと守ってあげるんだぞ?」

「はい!」

「レイも……寝てるだけだな…よし、改めてだけど、みんなも怪我は無いね?」


無いですよ。と頷いて見せるわけだけど……本当に寝てる間に何があったのか、謎すぎる。
反乱が起きたとか言ってるし、黒いのが暴れ回ってると言うのもの……あ、でもこの黒いのって、私が寝る前にお話しした犬達…えっと、ヘルハウンドやブラックドッグ達のことなんじゃないかな?っていうのは、なんとなく察した!

一般的にはブラックドッグやチャーチグリムって呼ばれる子達……彼らは墓荒らしに容赦しないから。
まぁ盗む人達が悪いんだけどね。
むしろ人に反撃をされて、あの子達が怪我をしないうちに収束してくれればいいと思う。

普段は大人しくて勤勉で、とても優しい妖精だからね。


「さて、申し訳ないけど一晩はここで過ごしてから、王宮に戻るよ」


また、お泊まりコースになってしまった。
おうちでゆっくり寝たいですよ。
さっきまで寝てたけどさ!

王族とか公爵令嬢って、こういうことが当たり前にあるような暮らしが基本なのかな?
なんかシシリーとして魔導学院にいた時の方が、孤児だったけど平和だった気がするよ?

こちらに来る前は10代の姿だったのだろうユージアが、身体が縮んだ為にだぼだぼになってしまったドレスシャツの両袖を器用にまくり上げて、自分の腕がしっかり出るように調整していると、奥の部屋からフレアがユージアに向かって手招きをしている。
それに気づいたユージアは、ベッドから転がり落ちるようにして降りると、奥の部屋へと消えて行った。

本当にフレアは……あの奥の部屋で何してるんだろう?


「ちなみにここは、王宮の地下にある…避難所みたいな部屋だよ。外部からは独立していて、王族しか出入りはできない……あぁ、鍵が王族の血筋なんだ。ま、王族と同行すれば誰でも入れちゃうんだけどね」


だから、王族に協力者がいたらアウトなんだけどさ。と、肩を竦めて見せる。
そうしながら……というか、ヴィンセント兄様、私を離す気がないね?私を抱えたままソファーへ戻る。
奥の部屋の様子を見に行きたいんだけどなぁ。

それとやっぱり、情報が色々足りない。
睡魔に負けてしまったのが悔しい。
っていうか、寝たあとに何が起こったのよ……。

でも、今回は大人達がいてくれてるから、怖くない。
きっと、事が落ち着いても、詳細を話してはもらえないのだろうけど。
説明するにしても、子供には話せない内容になってしまう悪事…そもそも子供に大人の悪事は話したくないか。


「昔にとんでもない規模の魔物氾濫スタンピードがあったときに作られたものらしくてね。まぁ古代の魔道具アーティファクトの一種らしいね。貴重ではあるのだけど使えるのがここの王族だけだから、解析のしようもないし、今もそのまま非常時に備えてと、使われてるんだ」


大型の魔道具マジックアイテム、あ、今で言うと古代の魔道具アーティファクトになるんだっけ。
ここまでのサイズになるともうね、前世にほんの大型家電…うーん、パソコンなんかで全部管理できちゃってる大きな施設って感じだよね。

ただ動力が電気じゃなくて魔力。規模の大きいものだと魔石じゃ賄いきれなくて、地脈から供給されるようにしてたりするんだけどね。
回線も有線よりは無線、つまりWi-Fiとかブルー…なんだっけ?なんかそういう線を繋がなくても操作できちゃう無線……私としてはあんまり意味も違いもさっぱりだったんだけど。でも、便利だったよ。

そんな感じの高性能な事が、魔法という不可思議な力で昔は可能になっていた。
それでも完全に自由というわけではなくて色々と、制約や縛りがあったりはするんだけどね。


「本来ならね、成人を迎えたあたりで、こういう緊急避難所アーティファクトがあるよって教えてもらうんだけど、レオン王子もセシリア達も、ずいぶん早まっちゃったねぇ」


優しげにふわりと笑うヴィンセント兄様。
実際使用しながらの説明になる、ということは珍しいらしい。
それだけ今が緊急時という事なのだろうけどね。

一応この施設、入口はどこでも……えっと王城じゃなくて城下町も込みで王都の中でも、条件を満たせば、使えるのだそうだ。
逆に出口も王都の城下町くらいまでは作れるそうで。
本当に緊急時、最長で王都の外にも設定はできるが、実際はそこまで非常時になった事がなくて、使った事例が無い。なので、設定は変えないことになってるそうだった。


「ちなみにこの王家の血筋が鍵になっているのも、ちょっと不思議な法則があって。直系となる王家は王妃以外は使える。ここに例外が一つあって…王との間に子をもうけている王妃であれば、使える。だから今の王妃は使える。それと親族。王の兄妹は使える。その配偶者は使えない……えっと、アルフレド宰相とうさんは使えない。王の兄妹達の子供…つまりセシリアや私達だな、これも使える。ただ、例えばだが私達に子供が生まれても、その子達は使えない」


これも不思議な事に、直系とは言いつつもどう判別されるのか国王になったのが次男や三男でも、それこそ王女でも、その鍵の法則はしっかり受け継がれてきたそうだ。

……シシリーわたしの研究室では予算も人材も足りないから、全く手はつけなかったけど、確かにこういう大型施設の研究をしていた研究室がいくつかあった。


(まぁうちとしてはそもそもが畑違いという事もあって、研究室同士としても全く絡みがなかったのだけどね)


毎年かなり高額な予算を手にしていて、羨ましくは思っていたけど、実際にこういう作品を見てしまうと……私でも予算を多めに振り分けたいと思ってしまう。
しかもその成果それが1000年以上経った今も大事に使われ続けているというのも…シシリーじぶんが作ったわけでもないのに、とても誇らしくなる。


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