私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

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はじまりはじまり。小さな冒険?

264、いただきます!。

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大衆食堂のようなテーブルのセッティングに、目をキラキラとさせているレオンハルト王子とシュトレイユ王子。
そんなに珍しいのかな?

お昼のメニューはジャーマンポテトとサラダとパン。
パンが焼きたてなんだよね。
まだほんのりと全体が温かくて、なんともいえない贅沢。


(ていうか、完全に冷ましてないパンって美味しいんだけどさ、必要以上にふわふわと柔らかくて、切るの大変なんだよね。よく切れたよなぁ)


そんなことを気にした様子もなく、サンドイッチ用の厚さにきれいに切り分けられている。
周囲には薄切りのハムやチーズ、トマトにオニオンサラダ、なんかもう好きな具材を挟んで食べてくださいといった風に、いろいろな食材が置かれていた。

これにはエルネストも目をキラキラと輝かせて、どれにしようかと具材を眺めている。
うん、家族でよくやってた手巻き寿司の風景っぽい。
子供達、喜ぶんだよねぇ。

『いただきます』の挨拶が待ち切れないくらいに、ね。


いつの間にかに10代いつもの姿に戻ったユージアが、ほかほかと湯気をあげる優しい香りのコンソメスープを配り始める。
スープが全員の前に行き渡ると自然と食事開始となった。


「美味いが……不思議な…味付けだな」


ジャーマンポテトを口にしたルークが不思議そうな顔をしていた。
こっちの世界にもあるメニューだけど、不思議な味付けだったのかな?
ちょっと違うといえば、私はニンニクが大好きなのでニンニクが多めに使ってあると位じゃないかな?

食べる時はニンニクの香ばしさがきついくらいに強いけど、でも、しっかりと火を通してあるから、食後の口臭と言う意味ではほとんど残らないんだ。
ニンニク大好きだからね。
食後に惑がかからないのであれば、がっつり入れちゃいます。

あ……そうそう、なぜ私の好みかというと、この料理を作ったのはセシリアわたしの契約精霊だから。
そして、精霊はその姿を見てもわかるように、何よりも契約主の好みを優先するから、ね。


『ニンニクと胡椒にパセリでしょ、オレガノとバジルと……あと何だっけな?』

「チーズも入れてたよね!」


うんうん!とルナの説明に、あれも使ってた!これも入れてた!とレオンハルト王子とシュトレイユ王子が嬉しそうに身振り手振りで一生懸命説明している。
その姿が可愛すぎて、ごめん、ちょっと言葉が頭に入ってこない。


「食材としてはこれと言って特別なものが入ってるようには聞こえないけど?」


フィリー姉様も同じ気持ちなのか、目を細めるようにして笑みながらの会話となっている。


「ハーブと言うより薬草のような効果も感じるが」

『それはそうでしょう。森から摂ってきたし』

「森から…って、本当に薬草なのね」

『ふふふ……すごいでしょう?まだちょっと小ぶりなものが多かったけどね。あったかくなってきて、結構生えてるんだよ』


そうだった、一般的に天然物と呼ばれるものは、街中や畑で育てたものではなく、森から採ってくるから……つまり微量な魔素を含んでいるので、香草なのに薬草としても効能が期待できる高級品のハーブになる。

思ってたより高級な食事になっていることに気付いて、びっくりしてしまう。
……呪いや毒の治療中なシュトレイユ王子やユージアのことを考えてくれているのだとしたら、ありがたい。
あ、私もか。


(滋養強壮や疲労回復の効果が、薬草として効力が上乗せされた状態での料理だから、レイもユージアもきっとすぐに元気になっちゃうね!)


このジャーマンポテト、かなり大きめのベーコンの切れ端がゴロゴロ入っているんだけど、その割には珍しくカイルザークの食事の進みが良くて、なんとなく見ていたら目が合ってしまった。

一瞬、キョトンとされてしまったが、私が不思議そうに見ている理由に気づいたのか、ふわりと優しげな笑みを浮かべる。


「僕、脂っこいものがあまり得意ではないんだよね。でもこれはかなりいける。おいしいね」

「カイは肉、苦手なのか?」


私と同じようにエルネストが不思議そうに聞いていた。
ちなみにエルネストの手には、ジャーマンポテトではなくて、これでもかと大量のハムやベーコンが挟まれたサンドイッチが握られていた。


(いや、もうそれ、分厚すぎだし、野菜全然挟まってないし、パンとの比率おかしいからね?!パンにバターを塗りまして。じゃなくて、バターにパンを付けましてって感じになってるよ?)


エルネストの手にある、とんでもない肉の量のサンドイッチに気づいたのか、カイルザークはふっと楽しそうに笑いだす。


「燻製肉の風味が強調されてすごく良い。この燻製肉なら好きかも」

「僕は……野菜より肉だけどな」

「それは見ればわかる。ていうか肉挟みすぎ」

「やって見たかったんだ。うまいぞ?」


満足げなエルネストの様子に、ちょっとだけ乾いた笑いが混じっていたような気もしなくはなかったけど、そうだよね。
カイルザークは魔導学園でも、いつもサラダばっかり食べてたもんね?

獣人って人族と比べて歯とかも肉食!って感じに鋭利な人が多いから、カイも肉食だとばっかり思ってたのに、私よりも肉を食べない。
むしろ避けまくってて、偏食なのかな?と、心配した記憶がある。


「なんだろうね?油もお肉もしっかり使われているんだけど、脂っこい感じのしつこさが無い。なんかさらっとしてて、とても美味しい」

『あぁ、油が少し違うかも。オリーブっていう木の実から取った植物性の油なんだ』


こちらの世界でも、植物性油は一応使われてるんだけどね。
ただ、機械で簡単に油が採れる!そんな環境ではないので、流通量が少ない。
貴族の料理にも、サラダの隠し味的に使われたり、もしくは化粧品として使われることの方が多い。
それくらいに貴重だし、高級品なんだよ。


(一般的には動物の脂身を使って油を作るから、炒め油と言えば前世にほんでいう、牛脂やラードみたいなものかな?チャーハンあたりは、むしろラードの方がパラッと出来上がる気がして、美味しそうなんだけどね)


確かにそれらと比べると、植物油の方がサラッとしていて、臭みが少ないような気がする。
カイルザークに至っては獣人だし、この獣臭さを敏感に感じとってしまっているのかもしれないね。

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