私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

文字の大きさ
265 / 455
はじまりはじまり。小さな冒険?

265、ご飯の後はデザートと。

しおりを挟む



「木にも動物のように油が含まれてるんだね…不思議」

『まぁ、肉の脂身から抽出するよりも恐ろしく少量しか取れないから、商品として手に入れるには、かなりの高級品になっちゃうかも……ええと、確かバケツいっぱいの実からコップ1杯くらいしか採れないんだよ。少ないでしょう?』


ルナが面白おかしく、身振り手振りでオリーブオイルの搾り方を説明し始めると、王子たちが興味津々な様子で聞き入っていて……あれ?セグシュ兄様まで真剣に聞き入っている。
公爵家の食事にもオリーブオイルが使われた料理が結構出てたと思うんだけど…あんまりこういうのは気にしたことが無かったのかな?


『オリーブ以外にも胡桃とか向日葵とか…種子には油分が含まれてたりするよ』


ちなみにオリーブの実は、油を搾るだけじゃなくて、塩漬けやお酒に漬け込んだりして食すことも可能です。
……まぁ梅の実みたいに、そのまま食すには少々難があるのだけれど。


(というか、梅もオリーブも生は美味しくないどころか、エグミがね……苦い!渋い!ぎゃーってなるよ!)


子供達が真剣にルナとフレアの食材談議に目を輝かせているうちに、大人たちは食事終了して……子供達の食事のフォローをしてくれていた。
ヴィンセント兄様は王子たちの給仕…やたらと楽しそうにサンドイッチを作っていて、フィリー姉様はエルネストに肉を大量に勧めていた。
……やっぱり『獣人=肉好き』のイメージ、あるよね。

それと一緒に、カイルザークにも肉類を勧めるのだけど、すごい勢いで遠慮しまくっていた。


「肉も美味しく感じるけど、それよりこのニンニクが塩気が効いてて、すごく美味しい…」


無言になって黙々とジャーマンポテトを頬張っていたユージアが、やっと喋った。
人心地着いたのかな?


「そうだな。シャキシャキしてるのに生じゃないから辛くないし、でもモソクソしてなくて食べやすい」

「エル……モソクソって…まぁ言いたいことはわかるけど」


くすくすと笑いながらセグシュ兄様が、サンドイッチ用に盛られていた野菜を小皿に取ると、ドレッシングをかけてサラダを作っていた。


「……そこはせめて、ボソボソとか、モソモソとか…そういう表現じゃないかな?」

「どっちも、さして変わらないじゃない」


セグシュ、あなたまだ食べるの?と、呆れた視線を送りつつ、フィリー姉様がため息を吐く。


「……ほんと、羨ましいわ。セシリア、この子たちのどちらか、私に頂戴」

「えっ!?」

「料理もできるし、優秀だし、ハンス先生の精霊並みじゃない。私も一人欲しいわ」

「えっと……」


2人で1つの精霊だから……別々に動いているけど分離はできないんだよな…とか真面目に考えてしまったのがルナたちに伝わってしまったのか、私を見る2人の表情が思いっきりジト目になっている……。


「フィリー、無理言うんじゃないよ。その精霊達はセシリアを好いて契約してるだけで、その兄妹だからといって同じように精霊に好かれるってわけじゃないんだから」

「わかってるわよ……でも羨ましすぎるわ。こんなに可愛い子が二人もなんて」


ヴィンセント兄様がフォローしてくれているけど、そうなんだよね。
精霊との契約って、相手の人柄を気に入っての契約だから、その契約を自分の子や兄弟たちに引き継がせることはできないんだ。

あくまで対等の契約だから、って言うのもあるんだけど……。
そうだなぁ、精霊と契約主は『ペットと主人』ではなくて『お友達』の関係だから、簡単に相手を変えられないし、変えたいと思わないよね。
契約主が納得して『今日からこの子とお友達になってね?』なんて契約主の変更をいきなり押し付けられても、精霊だって困っちゃうだろうし。


「……私の風の乙女シルヴェストルは、料理はしない…」

「うそっ……じゃあ」

「得意かどうかの問題ではなくて…私に料理の知識がない、からだ。精霊と契約者は知識の共有をするから…な。どちらかが知っていればいいが、知らなければ…扱えない」

「そう考えるとセシリアの精霊は2人いる分、知識の吸収が早いんだね?」


ユージアが何かを確認するように、聞いていた。


「そういうことになる。ただ、セシリアの場合は、そもそも制御できていないからな。大方どちらかが放浪中にでも覚えてきたんだろう」


あ、はい、そういうことにしておいてください。
思わず、うんうんと肯くと、ふっと笑われてしまったけど。

よくよく考えたら、今の時点でセシリアわたしが料理を知ってること自体がおかしすぎる。

前世にほんでよく口にしていた食材や調理法が、エルネストの出身である地方の郷土料理として存在していたことは嬉しかったけど、セシリアは3歳児で、箱入り娘で、ここ数日で初めて外出をしたという立場だ。
その外出だってトラブルに巻き込まれての遠出であって、物見遊山ではない。
つまり、遠方の食文化を学ぶタイミングなんてあるはずが無いのだから。


(でも、すごく懐かしい味だったし、美味しかったなぁ)


そうだ、この騒動が落ち着いたら、梅干しを漬けよう。
実は初夏くらいになるから、それまでにはきっと落ち着いてるよね?


「ごちそうさまでした!」


私が食べ終わる頃には、みんな既にお茶だったり、じゃれついてたりしてるわけですが……えー私ってそんなに食事のペース遅いのかしら……。

遠目にレオンハルト王子が、シュトレイユ王子に指輪を渡しているのが見える。
あのあと、シュトレイユ王子の分も渡しておいたんだ。

護身用と言う意味では、飾りどころではなく、早急に必要そうだったし。
まさか呪われてるとか、近いうちに命を失うとか言われるほどに、やばいところまで危険が迫ってたなんて夢にも思わなかったし。

これで少しでも安心が手に入ればいいのだけど。

ちなみにじゃれついてるのはカイルザークがエルネストに、だよ。
食後の腹ごなしなのかしらね?
カイがすごい勢いで躱されたり投げられたりしてるんだけど、よく怪我しないよなぁ。

ユージアはルナとフレアの手伝いをしてるのが見える。
食器洗ったりしまったりと忙しそう。


『はい、デザート』

「おおお~うしゃぎしゃん!」


目の前に林檎のウサギ。
ルナが持ってきてくれていた。
いつ見ても懐かしい!そう思いながらリンゴに齧り付いていると、ルナは向かい側の椅子に座りながら、ため息を吐いた。
ルナの紫を帯びた漆黒の髪が肩先に触れてさらりと広がる。


『あらら…完全に滑舌が戻っちゃったねぇ……』

「うん、もどっちゃった」

『……これから、よろしくね。「監獄」は精霊ぼく達でも、許可がないと通れない作りになってたよ』

「がんばりゅ。がんばって、かえしてあげよう」

『じゃあ、頑張るセシリアに…先にご褒美あげちゃう』


そう言うと、ルナは私の頭を撫でるとにこりと笑って、その手に魔力を集めだした。
金色の瞳が怪しげな魔力を帯び始める。


『解呪まではできないけど…ちょっとだけ。……呪いを誤魔化してあげる』

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

家族に捨てられたけど、もふもふ最強従魔に愛されました

朔夜
ファンタジー
この世界は「アステルシア」。 魔法と魔物、そして“従魔契約”という特殊な力が存在する世界。代々、強大な魔力と優れた従魔を持つ“英雄の血筋”。 でも、生まれたばかりの私は、そんな期待を知らず、ただ両親と兄姉の愛に包まれて育っていった。

聖女の力を妹に奪われ魔獣の森に捨てられたけど、何故か懐いてきた白狼(実は呪われた皇帝陛下)のブラッシング係に任命されました

AK
恋愛
「--リリアナ、貴様との婚約は破棄する! そして妹の功績を盗んだ罪で、この国からの追放を命じる!」 公爵令嬢リリアナは、腹違いの妹・ミナの嘘によって「偽聖女」の汚名を着せられ、婚約者の第二王子からも、実の父からも絶縁されてしまう。 身一つで放り出されたのは、凶暴な魔獣が跋扈する北の禁足地『帰らずの魔の森』。 死を覚悟したリリアナが出会ったのは、伝説の魔獣フェンリル——ではなく、呪いによって巨大な白狼の姿になった隣国の皇帝・アジュラ四世だった! 人間には効果が薄いが、動物に対しては絶大な癒やし効果を発揮するリリアナの「聖女の力」。 彼女が何気なく白狼をブラッシングすると、苦しんでいた皇帝の呪いが解け始め……? 「余の呪いを解くどころか、極上の手触りで撫でてくるとは……。貴様、責任を取って余の専属ブラッシング係になれ」 こうしてリリアナは、冷徹と恐れられる氷の皇帝(中身はツンデレもふもふ)に拾われ、帝国で溺愛されることに。 豪華な離宮で美味しい食事に、最高のもふもふタイム。虐げられていた日々が嘘のような幸せスローライフが始まる。 一方、本物の聖女を追放してしまった祖国では、妹のミナが聖女の力を発揮できず、大地が枯れ、疫病が蔓延し始めていた。 元婚約者や父が慌ててミレイユを連れ戻そうとするが、時すでに遅し。 「私の主人は、この可愛い狼様(皇帝陛下)だけですので」 これは、すべてを奪われた令嬢が、最強のパートナーを得て幸せになり、自分を捨てた者たちを見返す逆転の物語。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

処理中です...