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はじまりはじまり。小さな冒険?
321、光の精霊の頼もしさ。
しおりを挟む『ライト……カイを困らすなら、その明るさ、少し暗くしてあげようか?』
ルナはカイルザークにのしかかる勢いで抱きついていたライトの両脇に手を差し入れて、視線を合わせるように高く持ち上げると、ライトに向けてにっこりと意地の悪い笑みを浮かべた。
『ルルルルルナさまっ!!!』
『僕、そんな名前じゃないよ?』
ライトは脅え気味に手足をジタバタさせて、どうにかおろしてもらおうと頑張っている。
そう、ライトの姿は小さな女の子なのだ。
体格的には私やカイルザークより少し大きいくらい。
レオンハルト王子と比べたら、一緒か、ちょっとライトの方が大きいかもしれない。
そう考えると、4歳くらいの女の子の体型をとってるのかな?
『る、ルナさまっ!ルナさまがいらっしゃるなら、フフフ…フレアさまはっ?!』
『だからそういう名前の子はいないって……』
ちなみにフフフフレアじゃなくてフレアは、シュトレイユ王子の眠っているベッドの側の小さなテーブルセットに、王子を見守るようにずっとそばに居続ける王妃へと、お茶のセットを勧めているところだった。
少し、会話なんかもしている様子だったのだけど……失礼な事、言ってないよね?!
大丈夫だよね?
そんなフレアの姿をライトは見つけたのか『きゃああっ』と小さく奇声を上げると、パッと両手をバンザイ!と、あげてルナの持ち上げからスルリと抜け落ち、猛ダッシュでフレアの元へと向かっていってしまった。
『フレアさまぁぁぁぁぁっ!!!』
『えっ?なにっ?…っと、危なっ!』
突撃でもするんじゃないかという勢いでフレアの元へ駆けて行ったライトは、直前で両腕を広げ、感動の再会でもするようにフレアに抱きつくようなポーズになって……すんでのところでフレアに華麗に躱されていた。
(まぁ、受け止めていたら……押していたカートと、運んでいた食器が大惨事になっちゃってたもんね)
ただ、躱してしまうとライトがそのまま王妃のいるテーブルセットに飛び込みかねない状況だったので、どうなってしまうのかとヒヤヒヤしながら見つめてしまっていたのだけど。
フレアはライトを躱した上で背を掴み持ち上げると、そのまま小脇に抱えてカートともにキッチンへと戻って行ってしまった。
終始笑顔のフレアだったけど、その笑顔が少しだけ…引きつってる様に見えたのは……きっと気のせいではないと思う。
******
『……カイ、彼女が盛大に暴走状態に見えるんだけど……制御できてる?』
「微妙……ていうか、できてるように見える?」
『暴走してる自分が言うのも何だけど、出来てないよね、全く』
ルナとカイルザークが先ほどの一部始終を見つめながら、ぼそぼそと呟いていた言葉だ。
ちなみに今はキッチンから「フレア様ぁああああ!」とか「やっとお会い出来ました~!!」と言う言葉とともに、意味を持たない奇声が延々と聞こえていた。
本当に、元気な精霊さんだった。
(生まれたばかりだった時のライトも、カイルザークの命令を忠実に…どころか、張り切りすぎてやりすぎる勢いでくるくると可愛らしく飛び回っていたなぁ)
それを今のライトに当てはめても特に違和感を感じないし。
あの生まれたばかりの幼い姿の時から、こういう子だったんだと思う。
……まぁ、私は納得してしまったけれど、カイルザークはどうにも複雑みたいで。
「……ライトってあんな子だったんだ」
いつもにこにこと笑みを絶やさないカイルザークにしては珍しく、呆然とした表情のままポツリと呟く声が漏れていた。
余程ショックだったのか、頭を抱えているカイルザークの元へ、ライトが戻ってきた。
なぜかとても上機嫌で。
『マスター!なんで頭抱えてるんですかっ!ライトちゃんが来たからには大船に乗ったつもりで、どーんと構えててくださいよっ!』
「とりあえず、やかましいから。黙って?」
『む~~~!……お役に立ちたくて、いっぱい…いっぱい頑張ってきたんですよ?…まだ、力不足ですか?』
頭を抱えたままにカイルザークから放たれた言葉に、しょんぼりと悲しそうな声とともに俯くと、空気のぬけてしまった風船の様に、くたりとその場にしゃがみ込んでしまった。
ちょっと冷たすぎるんじゃないかな?と声をかけようと顔を上げると、それよりも先にカイルザークがライトの様子をじーっと観察しながら、声をかけていた。
「……じゃあさ、あの子、呪われてるんだけど、ライトは解呪できる?」
カイルザークの言葉に、シュトレイユ王子の側にいる王妃までもが祈る様にこちらを見ているのが目に入る。
『あ、これは無理です~。何でこんなにいきなり無理難題なんですか~!』
「ええと、大船はどこ行ったの……」
『えっとですねぇ~。この呪いは人やたくさんの命が材料になってるんです。だから、かけた人を捕まえて「ごめんなさい」させないと無理なんです~!』
「誰がかけたか、見つけられるか?」
『すぐわかりますよぉ~!呪いが成就するまでは、かけた人の周りを呪詛が渦巻いてるんですもん!瘴気を引きつれて歩いてるから、すっごく臭いんですよ~?』
「じゃあ、探してきて」
『はいは~い★』
まっかせてくださいよ!と、満面の笑みを浮かべると、スッと姿を消してしまった。
あとに訪れる沈黙の重さが異常に重く感じられるほどに、ライトは賑やかな子だった。
「まさかの生贄付き…か」
ライトの暴れっぷりに、固まるが如くに呆気に取られていたヴィンセント兄様がポツリと呟いた。
その言葉に、常ににこやかな母様も神妙な顔になって、小さく頷いていた。
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