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はじまりはじまり。小さな冒険?
342、魔術師団と寝物語と。
しおりを挟むちなみに『監獄』へと飛ばされたメンバーは守護龍アナステシアス、ルーク、父様。
父様のフォローということで傍にいた水の乙女と、私の異変に気付いて咄嗟に戻ってきてくれていたルナ。
フレアは薄情だな~ってわけではなく。
フレアにはシュトレイユ王子への対応を1番にして貰ってるから、これで良いの。
(うん、確かにこうやって見てみると、壮々たるメンバーって事になるね)
魔術師団長2人、実働と事務方とか言い分けちゃってるけど、ルークの率いている第二師団は事務方って呼ばれ方をしているけど、実際は技術部門。
つまり、父様の第一師団が戦闘特化で、ルークの第二師団が技術特化。
名称からして実践が苦手なように聞こえてしまうけど『得意としている魔法の種類が違う』と思ってもらえたら、わかりやすいかもしれない。
魔術師という時点で、後方支援が得意だと思われがちだけど、騎士と同じように前衛に立って棒術と魔法を併用して戦える者がいる一方で、中衛で魔法を中心的に使って戦う者、後衛に立っての支援の魔法や大型の魔法を得意とする者がいる。
(父様はどう見ても、前衛の魔術師だよねぇ。あ、ルークもじゃん!)
それぞれの得意分野は平等に、比較的、攻撃が得意な者と防衛が得意な者とで分けられている。
なので正確には攻撃部隊と防衛部隊という事になる。
実際、魔物の討伐依頼に関しても、防衛がメインとなるものであれば……第二師団である技術部門の団員が派遣されることも少なくはない。
討伐するだけではなく、その後のケアもするためだ。
なぜ襲撃を受けたのか?その原因を突き止めて、被害を繰り返さないために。
逆に、定期討伐が必要な物であれば第一師団の出番だ。
まぁ実際は、騎士団の戦力とバランスを考えつつの複合部隊となるわけだけど。
(だから、技術部門だから、戦力外ってわけじゃないんだよねぇ。逆に言えば、第一師団だからって、ただただ戦闘ができればいいってわけでもないし)
そういう意味で攻守の師団長が揃っているのが、豪華としか言いようがない。
……そもそもルークが基本的に、表舞台に登場してくることが無かったから、というのもあるんだけどね。
ほら、部下ですらルークの一挙一動に見惚れてうっとりと見てたりとか、自分の上司の顔をまともに見たことがないような態度だったでしょう?
それくらいに、人前に姿を晒すようなことが無かったみたいなのよね。
(見栄え、という意味でも世の女性方にしてみたら眼福…いや、完全に癒しの極致みたいだったけど)
セシリアから見れば父様だから、色気も何もあったもんじゃないし、最近に至っては私の件で色々と苦労かけてしまって、眉間にシワシワ~っとどうにも決まらない場面が多かったのだけど、実際の父様は精悍さもさることながら、一種のカリスマ性すら感じる年齢不詳の美貌の人だ。
燃えるような短髪の赤髪に、切れ長の理知的な翠の瞳はとても目を引く存在で、既婚者であることが惜しまれるほどに、いまだにモテモテなのだった。
対してルークはエルフ特有とも言える美貌の持ち主だから……。
父様が動の美しさであれば、ルークは静の美しさと言った感じで、ひたすらに綺麗。
父様の鮮やかな外見、そして表情とは対照的に、ルークの艶やかな黒上の長髪と琥珀の瞳は、冷たさすら感じる。
大きな感情を表すことが少ないが、もとより完成された美しさが、ともすれば不思議なオーラとなって、その全てを最上の芸術品のように際立たせていた。
(ルークに関してはシシリーとは幼なじみだ。幼い頃から一緒だったから見慣れてしまって、どれだけ美しいのか?と言われると、どうにも形容しがたいのだけど……同族のエルフですら見惚れるくらいなのだから、かなりの美人さんなのだと思う)
そこに守護龍のアナステシアスでしょう?
龍の人化はとにかく麗しい。
問答無用でどんな人間でも見惚れてしまうほどだ。
なんだろうね?魔力の高い生き物の人化は、とにかく美貌の人になる気がする。
人化はそもそも『人間としての』の本人の姿だから、整形しているとかではないんだけどね。
「レイ、私はね、友達が欲しいんだよ。一緒に考えて、一緒に行動できる友達が。種族的に厳しいことはお互いに助け合えばいいと思うけど、何をするにも私が全てをお膳立てしてあげなきゃ何もできない、私が確実にフォローするのが当たり前っていうのは、それは対等な友達って言えるのかな?」
そんな美貌の麗人がふわりと笑みを浮かべる。
俯きながらも首を小さく横に振るシュトレイユ王子を見つめて、少しだけ嬉しそうに口角を上げて。
「レイの好きなお話の王子も『共に守り育てるための友が欲しい』そう言って龍に自らの考えや力を…示していたでしょう?その点は同じだと思うんだけど、どうかな?」
こくりと、小さく頷く。
そうなんだ『龍と王子』の物語中の王子は、龍が住んでいると言われている山々を冒険していって、何頭もの龍と会って「私の国を守護して欲しい」とお願いをしてまわるんだ。
だけど、龍達にも事情があって。
とても立派な龍にも断られてしまって、一度挫けそうになったときに、その龍に言われた言葉で今一度自分を見直して、また頑張って龍探しを続けていく。
『私がもう少し若かったのなら、喜んで守護を担おう。君の成長に期待もしよう』
──そう、余命幾ばくもない、とても高齢な龍だったんだ。
そして『成長』という言葉に『君も、龍と釣り合う人間にならないといけないよ』とヒントまでくれていた。
(きっともう少し若かったのなら、本当に守護龍となってくれていたのだと思う)
紆余曲折あって、王子は無事に友となってくれる龍と巡り会えた。
その報告をと、1番にこの龍の元へとお礼に向かうんだけど、その時にはもう……。
……母様やセリカに寝物語として読み聞かせてもらった中でも、一番好きなくだりだった。
このシーンは吟遊詩人達の間でもよく歌われる演目になっているのだと知ると、聞いてみたい!とせがんでいた記憶がある。
とにかくかっこいい!と思っていたシーンだけども、これはセシリアが転生していると気づく前の記憶だから、今、吟遊詩人に歌われたら……世界に入り込みすぎて大泣きしそうな気がする。
今は、突然の別れを経験してしまった王子の気持ちよりも、その老いた龍の気持ちに感情移入をしてしまうから。
自分の寿命はわかっている、でも、この王子の行く末を見てみたいと思ってしまった。
……見るには自分の時間が足りないことは、当然、わかり切っているのに。
考えただけでも胸がギュッとなって、泣きそうになってしまう。
うん、考えが暴走してるのはわかるんだ、でもね…龍から見ればさ、人間なんて正直、王子だろうが一般人だろうが、魔力では足元にも及ばない存在だ。
それでも友であろうと頑張る姿に手を差し伸べてくれる、その優しさにシュトレイユ王子も気づけたらなと、思ってしまった。
それくらいに龍は、優しい。
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