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第六章:鏡合わせの真実
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リゼの魔力に呼応し、寝室の背後にある飾り壁が、重々しい音を立ててスライドした。そこは皇帝であるヴィルヘルムさえ知らなかった、皇后エレナの隠し書斎だった。
埃一つないその部屋の中央には、一通の手紙と、一つの魔晶石が置かれていた。
「これは……エレナの……?」
ヴィルヘルムが震える手で魔晶石に触れると、部屋いっぱいに皇后エレナの優しい、けれどどこか悲痛な声が響き渡った。
『ヴィルヘルム様。これを聞いているということは、あの子が……私の愛したもう一人の娘が、ここへ戻ってきたのですね』
リゼは息を呑んだ。殺したいくらい憎い男を、愛おしげに呼ぶその声。それは、自分を育ててくれたマーサとは違う、けれど血が沸き立つような懐かしさを覚える声だった。
ヴィルヘルムはその場に崩れ落ちるように膝をついた。リゼは冷ややかな視線を彼に向けるが、彼の肩は激しく震えていた。
「……リゼ。私は、お前を殺そうとした」
絞り出すような声だった。
「建国以来、我が一族には『黒い魔力を持つ子は、帝国に終末をもたらす』という呪わしい予言があった。神官たちは騒ぎ立て、民の不安を煽った。私は……弱かったのだ。皇帝として、生まれたばかりのお前を守るよりも、帝国の安寧を優先しようとした」
リゼの瞳に、激しい嫌悪が走る。
「……たった一人の赤子を殺して、安寧? 皇帝なんて、そんなに偉いものなの?」
「いいや、違う! 私は臆病だっただけだ。お前のその力が、私自身を、そしてエレナを傷つけることを恐れた……。お前を愛することよりも、失うことの恐怖に負けたのだ。だから、処分を命じた」
ヴィルヘルムは顔を覆った。
「だがエレナは、私を欺いてでもお前を救った。彼女は、私を信じてはいなかったのだ。お前から父親を奪ったのは、他の誰でもない……この、私自身の愚かさだ」
埃一つないその部屋の中央には、一通の手紙と、一つの魔晶石が置かれていた。
「これは……エレナの……?」
ヴィルヘルムが震える手で魔晶石に触れると、部屋いっぱいに皇后エレナの優しい、けれどどこか悲痛な声が響き渡った。
『ヴィルヘルム様。これを聞いているということは、あの子が……私の愛したもう一人の娘が、ここへ戻ってきたのですね』
リゼは息を呑んだ。殺したいくらい憎い男を、愛おしげに呼ぶその声。それは、自分を育ててくれたマーサとは違う、けれど血が沸き立つような懐かしさを覚える声だった。
ヴィルヘルムはその場に崩れ落ちるように膝をついた。リゼは冷ややかな視線を彼に向けるが、彼の肩は激しく震えていた。
「……リゼ。私は、お前を殺そうとした」
絞り出すような声だった。
「建国以来、我が一族には『黒い魔力を持つ子は、帝国に終末をもたらす』という呪わしい予言があった。神官たちは騒ぎ立て、民の不安を煽った。私は……弱かったのだ。皇帝として、生まれたばかりのお前を守るよりも、帝国の安寧を優先しようとした」
リゼの瞳に、激しい嫌悪が走る。
「……たった一人の赤子を殺して、安寧? 皇帝なんて、そんなに偉いものなの?」
「いいや、違う! 私は臆病だっただけだ。お前のその力が、私自身を、そしてエレナを傷つけることを恐れた……。お前を愛することよりも、失うことの恐怖に負けたのだ。だから、処分を命じた」
ヴィルヘルムは顔を覆った。
「だがエレナは、私を欺いてでもお前を救った。彼女は、私を信じてはいなかったのだ。お前から父親を奪ったのは、他の誰でもない……この、私自身の愚かさだ」
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