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焼き土を食う

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 人間って食べ物がないときは土を食う。

 ただ、土っていうのは食べられるけど、大量の細菌を繁殖させる天然の苗床だから、

 土を食べる農民とは、フェラチオもキスもしない方がいい。

 やるなら、焼き土を食べる農民で、農民っていうのは基本的に食べられなくなったら焼き土を食べるべきだ。

 焼き土は徹底的にこがしまくってチョコレートみたいになったおこげの土を食うのがいい。

 生乾きの焼き土は食べてはならない。細菌が怖いから。

 そこで、僕は神殿をシアルフィに建てようと思った。

 クソというのもシアルフィのすべての人間たちは平気で四方に散らしてしている。

 領主である父も野グソもしょんべんもするし、母も野グソをしてしょんべんをする。

 それは賢い野生の生物の知恵を持った生き物の姿だし、野生動物が生きられる理由はここにあると思う。

 むやみやたらに同じところにしょんべんをするんじゃなく、しょんべんは散らしてするのが正解で、

 クソも散らしてするのが正解だ。

「あだー。あだー」

 僕はシアルフィの町で散ってる野クソを集めようと思った。

 野クソの中でも乾いて、日に当たってずいぶん長いこと放置された野グソだ。

 それは、日の光で細菌やウィルスが滅菌されて、天然の資源となる。

「あだー。あだー」

「おや。ぼっちゃん。何を野クソを指差してるんです。そんなクソ、何の役にも立ちませんよ」

 だけど、僕はしつこくばあさんで、僕の子守役のマーサに背負われながら、マーサに命じる。

「日で長いこと放置されてかぴかぴになった野グソを集めるんですか? そんな臭いものどうするんです」

 マーサは半身半疑ながら、日でかぴかぴになった野グソを集め始めた。

 ただ、僕が気をつけないとまだ乾いていない、危険な野グソを集めようとする。

「あだーーーー!!!! あだーーーーーーーー!!!!」

 僕は大声で怒って、マーサに野グソを拾うのをやめさせる。

「なんでやめさせるんです? ちょっと黒っぽいけど、これ集めちゃダメなんですか? ぼっちゃん」

 まだ柔らかい野グソを集めようとして止めたマーサは、

 そのうちに要領を掴んだようで、乾いてカピカピになった野グソだけを集めて行く。

 それを、町で一番離れたでかい木の場所に集めさせて、僕はマーサに言った。

「あだー! あだー!」

 家から火を持って来させて、そこで枯れた綿みたいな草を集めさせて野グソを燃やす。

 じゅわああああああ

「へええええ。野グソって燃えるんですねぇ。坊ちゃん」

 マーサはそこからノグソをじわじわ燃やして行く。

「あだー。あだー」

 そこから、子どもに乾いた野グソを常に集めさせるように命じた。

 そこで子供たちが野グソを集めると、火で燃やしたノグソから、さらに綿みたいな枯草に火を移させて、

 土を焼いて食わせる。

「へえええ。こりゃ便利だ。焼き土がいつでも食えますぜ」

 それを観ていたシアルフィの農民が喜んで、焼き土を子供から奪って行く。

「あだー! あだー!」

 僕は野グソを常に燃やすことを子供たちに命じて、その夜の番に近所の足の取れた騎士をつけることにした。

 戦場で怪我をした騎士は、戦えなくなって、レイプもできなくなって、暴力も振るえなくなって、

 シアルフィの邪魔物でしかなかったが、火の番を夜中から朝までやる仕事ができて、

 シアルフィで必要な人材になった。

 人間っていうのは、数がいるならば、どんなに役に立たないと言われる人間でも、

 徹底的に役に立つ仕事を見つけてさせるべきなんだ。

 人間が役に立たなくなると破棄される状況になると、強いものだけしか生きられなくなり、

 それで平気で殺し合いの世界になって、町なんて平気で絶滅するから。

 役立たずになるのに怯えた人間って平気で殺し合いをして、洒落にならなくなるということを

 世界は知る必要があるんだ。

「あだーーー!!!! あだーーーーー!!!!」

 今、近所の子どもが野グソから直接焼き土を焼いて食おうとした。

 それは絶対ダメだ! 野グソは危険なウィルスを持ってる場合もあるんだ。

 だから、野グソから火を取ってなにかを食べるときは、火だけをうまく他のものに移して、

 それから、焼き土を食べる必要がある。

「焼き土ってチョコレートの味がちょっとするわ。こんがりして」

 母がのんきによく焼けた焼き土を食べて言った。

「そうだなぁ。ただ、アークはよく色々考えるガキだな。ただ、俺は思った。火をシアルフィ中にいつも至らしめるために、このはずれの木のあるところをシアルフィの神殿として、干からびてかぴかぴの野グソを集めさせて、そこをシアルフィで必ず守ろう。そうすれば、シアルフィは火がない世界になることはない」

 父の言葉で、僕が野グソを集めた地はシアルフィの野グソ神殿となって、騎士が必ず守るようになった。

 シアルフィでは野グソはひとところに集めない。

 集中すれば、それは必ずウィルスの元になるから。

 野グソの細菌は、長い太陽の光と、他の土に住む弱い細菌と、それから、寒さと雨で、分散されながら分解されて、ウィルスを発生しないようにするから。

 ひとところに野グソと、しょんべんを集めていた日本の昔を思った。

 日本の為政者は昔から頭がおかしい。

 しょんべんを集中して同じところにすると、雑草も生えない。それを集中して、病原体の元のクソとしょんべんを集めて、きれいな振りをした上で、湿ってジメジメとした環境の中で育てたら、どれほど大変な病原菌と疫病が発生するだろう。

 海でクソをして、海がウィルスだらけにならないのは、広い海の中で、色々な影響を受けて海がウィルスを、さまざまな力で分解して行くから。

 それを中和と言う。

 だから、野グソを適当に放置。同じところに野グソはしない。

 シアルフィの野グソ神殿では、今日も放置されてかぴかぴになった野グソだけ燃えている。

 野グソの火は恐れながら使ってほしい。

「あらあら。アーク。お乳を飲む時間ですよ。いっぱい飲んでね」

 母さんからお乳をもらって今日も僕は腹いっぱいになった。

 土を食べ過ぎてなくなるということもあるので、人の増やし過ぎで、土をなくすのは注意したいと僕は思う。

 人間って土を食べ始めるとそれだけでやたらと繁殖して際限がなくなって土をなくすから。

 早く大きくなって、僕は母が育ててる蕎麦を育てたい。人間が土を食べなくて済むように。

 蕎麦は水がなくても育つ最高の食材だから。その味をシアルフィの人間に広めたいと思う。
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