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互角に戦うとは、なんぞや
しおりを挟むアレクの戦う方針は決まっている。
相手と互角に戦い、僅かな差で相手に勝ちを譲り、いいところだけを相手に渡す算段である。
相手と互角に戦い続ける素振りを演じることが簡単ではない。
相手よりも強くなければ互角に戦う演技はできないからである。
その相手が強ければ尚更である。
アレクと騎士団長の剣劇が闘技場に鳴り響く。
観客の一般兵は皆、感嘆しながら見入っている。
アレクが相対しているのは一国の最強騎士である。
最上位と互角に相対しているのだから、観客はアレクの実力を認めると共に、キラーベアを倒したことが本当であると皆が納得してくれるであろう。
アレクにとっての目的はそれで充分だった。
ひとしきり互角に剣劇を交え、相手の体力を適度に削ぎ落したたところで、アレクは相手に決着をつけてもらう算段に入る。
アレクは自剣の脆いところで騎士団長の大剣を受け止めたことにより、アレクの剣が折れてしまったのだ。
剣が折れた時点でアレクは騎士団長に降参を言い渡した。
これには騎士団長も仕方がないとばかりに剣を収めた。
たとえ、アレクが負けたとしても皆がアレクの実力を認めたことだろう。
やがて騎士団長が握手を求めてきた時、異変が起きた。
何かが食い破られるような音が鳴り響き、闘技場の檻に隠していた巨大生物が出現していた。
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