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あの日の光景
しおりを挟むこの事態には王妃と騎士団長も想定していなかったようだ。
「これはいったい何事だ。アレはまだ、実験途中であったはずであろう。すぐに、檻に戻しなさい。」
王妃の発言により、一般兵と騎士団長は謎の巨大生物に立ち向かう。
目の前に現れたのは合成獣だった。
王国が秘密裏に研究しているであろうそれは、暴走しているところから、制御できていない実験段階なのだろう。
これは王宮内での問題であるため、アレク殿はお逃げください。
騎士団長が気を遣って逃げるように促した。
王宮内の兵隊が総動員で鎮圧に向かっている。
アレクは騎士団長のお言葉に甘えて、戦闘を背に踵を返した。
手柄を立てて目立つことはしたくないので、王宮内での処理に任せることにしたのだ。
その途端、背後で少女の悲鳴が聞こえた。
振り返ると、王妃と王女に向かって合成獣が口に火炎の塊を蓄えていたのだ。
今にも吹き出しそうなそれは、騎士団の防衛では間に合わない。
アレクはその場を見過ごすことができるかどうかを考えていた。
怯えている王女の姿を見た時、その脳裏にエリスの姿が重なった。
もう、迷いはなかった。
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