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かき氷の記憶
しおりを挟む暑い夏の日、街の小さなかき氷屋『氷結の夢』は、色とりどりのかき氷で賑わっていた。この店の特別なかき氷は、見た目だけでなく、その味も人々の心を掴んで離さない。店の主人は、かき氷を通じて多くの人々の心を温かくする魔法を持っていたと言われていた。
ある日、この店にふたりの若者が訪れた。一人は、明るく社交的な性格の陸、もう一人は、静かで内向的な美穂だ。二人は大学で出会い、友人として時を過ごしていたが、陸は密かに美穂に想いを寄せていた。
「美穂、何色にする?」
陸の質問に、美穂は店内を見渡し、静かに答えた。
「青いレモンがいいな。」
青いレモンのかき氷は、この店の名物で、見た目の美しさと爽やかな味で知られていた。二人は店の奥の席に座り、かき氷を待ちながら、夏の風物詩について話をした。
やがて、かき氷が運ばれてきた。鮮やかな青い氷に、レモンのスライスがトッピングされている。美穂は目を輝かせ、初めて見る色のかき氷に感動した。
「わあ、綺麗…!」
陸は美穂の反応に心を弾ませ、自分も同じかき氷を注文していたことを嬉しく思った。二人は静かにかき氷を楽しみながら、夏の日差しを感じていた。
食べ進めるうちに、美穂は陸に向かって言った。
「陸、ありがとう。こんなに素敵な場所を教えてくれて。」
陸は少し照れくさい笑顔を浮かべながら、美穂の方を見つめた。
「美穂、実はね、ずっと言いたかったことがあるんだ。」
美穂は陸の真剣な眼差しに、心の中で何かが動いたのを感じた。
「美穂、僕は…僕はずっと君のことが好きだったんだ。」
この言葉に、美穂は驚き、そして、何かを悟ったように優しい笑顔を見せた。
「陸、私も…私もずっと、あなたのことを…」
かき氷の冷たさとは対照的に、二人の間には暖かな空気が流れていた。青いレモンのかき氷は、彼らの特別な記憶となり、これからもずっと彼らの心の中で輝き続けるだろう。
かき氷を囲んで始まった新たな物語は、『氷結の夢』の小さな奇跡の一つとして、町の人々に語り継がれることになった。
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