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氷の王女と炎の騎士
しおりを挟む昔々、遥か北の国に、心が氷のように冷たいと言われる王女がいました。彼女の名はセリア。しかし、その冷たさは、幼い頃に両親を失い、国を守るために強くならなければならなかったからでした。セリアは自分の感情を隠し、国民からは「氷の王女」と呼ばれて恐れられていました。
一方、南の国には、炎のように情熱的で勇敢な騎士、レオンがいました。彼は名誉と正義を重んじ、困っている人がいれば、どんな危険も顧みず助けることで知られていました。
ある日、両国の間に争いが生じ、レオンは和平の使者として北の国へと旅立ちました。セリアは当初、レオンの明るく開放的な性格に警戒心を抱きます。彼女はレオンに対して厳しく接し、彼の提案や意見を一蹴することもしばしばでした。
「なぜ、そんなに心を閉ざすのですか?皆、あなたのことを理解したいと思っているのに。」
「私がどう思われようと、それは私の問題ではない。私の使命は、国を守ることだけだ。」
しかし、レオンは諦めませんでした。彼はセリアの冷たい外壁を溶かそうと、日々努力を重ねます。彼の真摯な姿勢が徐々にセリアの心を動かし始めたのです。
ある冬の夜、国を脅かす大きな危機が迫っていました。セリアは、国を守るためにはレオンと協力するしかないと悟ります。二人は共に戦い、困難を乗り越えていきます。その過程で、セリアは徐々に本当の自分をレオンに見せるようになりました。
「あなたは... いつもそうやって、人の心を温かくするんですね。」
「それは、あなたの心が開いてくれたからこそ、僕も力を発揮できるんだ。」
戦いが終わり、平和が訪れたとき、セリアは自分の感情を隠さずに済むことに気づきます。レオンと過ごした時間が、彼女を変えたのです。セリアはレオンに対して初めて、素直な感謝の気持ちを表現します。
「あなたのおかげで、私はもう一度、心を開く勇気を持つことができました。ありがとう、レオン。」
レオンは微笑み、二人の間にはもはや障壁はありませんでした。セリアの心の氷は完全に溶け、彼女は国民にもその変化を見せることができました。そして、セリアとレオンの間に生まれた信頼と愛は、二つの国の間にも新たな絆を築きました。
この物語は、心の壁を乗り越え、互いを理解し合うことの大切さを教えてくれます。そして、誰もが内に秘める温かさを見出し、それを大切にすることの重要性を伝えています。
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