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冬の誓い、春への願い
しおりを挟む雪が降りしきる小さな町で、高校2年生の悠斗は、クラスメイトである美雪に密かに想いを寄せていた。美雪は学年でもトップクラスの成績を誇り、スポーツも万能、見た目もクールながら、人との距離を置くツンデレキャラクターとして知られていた。
「悠斗くん、いつも一人で図書室にいるのは何で?」
ある日、美雪が珍しく悠斗に話しかけてきた。彼女の冷たい声音に、悠斗は心の中で驚きを隠せなかった。
「え、あ、うん。勉強が好きだからかな」
「ふーん、変わってるね。私はただの義務だと思ってるけど」
その後も、美雪は時折、悠斗に話しかけるようになった。学校の課題や趣味の話で、二人の距離は少しずつ縮まっていった。しかし、美雪の態度は相変わらずクールで、時には突き放すような言葉もあった。
「悠斗くんって、本当に変わってるよね。でも、それがいいかも」
美雪のそんな言葉に、悠斗は胸が締め付けられるような感情を覚えた。彼女の本心が掴めず、不安と期待が入り混じる日々が続いた。
冬が深まり、町は一層寒さが増していった。悠斗は美雪への思いを勇気に変えて、彼女に想いを伝える決意を固めた。雪の降る中、美雪を呼び止めた悠斗は、震える声で告白した。
「美雪、ずっと君のことが好きだった。付き合ってくれないか?」
美雪は一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐにいつものクールな顔に戻った。
「なんで私が、悠斗くんみたいな人と付き合わなきゃいけないの?」
悠斗の心は凍りついた。しかし、美雪は続けた。
「でも、断る理由もないかな。いいよ、付き合ってあげる」
その瞬間、悠斗は美雪の表情にわずかながら温かみを感じ取った。ツンデレな彼女の本音が、ようやく見えた気がした。
二人は手をつなぎ、雪が積もる道を歩き始めた。美雪が小さな声でつぶやいた。
「悠斗くん、寒いから…ちゃんと手、握っててね」
悠斗はその手を強く握り返した。これが、冬の終わりに交わした小さな誓い。春になれば、二人の関係ももっと暖かくなることを願いながら。
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