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風に乗せた想い
しおりを挟む澪は祖母の遺品整理をしている最中に、古い木箱を見つけた。箱の中にはたくさんの手紙と一冊の古い日記が入っていた。手紙の宛名は祖母宛てで、差出人は「陽介」という名前だった。澪は、その手紙が祖母の初恋の人からのものだとすぐに理解した。
手紙には淡い恋心と、時には青春の苦悩が綴られており、澪はその言葉に惹かれていった。陽介がどうしても言葉にできなかった感情、秘密があるように感じた澪は、日記を読み進めることに決めた。
日記を読むうちに、澪は祖母が陽介とどれほど深い絆で結ばれていたかを知り、二人の間に何が起こったのかを知る手がかりを求めて、陽介の故郷を訪れることにした。
故郷に到着した澪は、古ぼけたカフェで陽介の親友だった老人と出会う。彼から陽介の生涯と、澪の祖母との切ない恋の結末を聞かされる。陽介は祖母への手紙を最後に、突然失踪し、それから数年後に遠くで亡くなったという。しかし、彼の真の気持ちは誰にも語られることなく、手紙にだけ秘められていた。
老人は澪に一枚の手紙を渡した。それは陽介が生前、祖母に送ることができずに隠していた手紙だった。「これをあなたの祖母に代わり、あなたが読んでほしい」と老人は言った。
手紙を開いた澪は、陽介の最後の言葉を読む。手紙には、陽介が祖母をどれだけ愛していたか、そして、彼がその愛のためにある重大な秘密を背負って生きていたことが書かれていた。彼は病に侵されており、自分が長くは生きられないことを知り、祖母を悲しませたくない一心で自分から離れたのだった。
澪はその手紙を読み終えた後、深い感動と共に、祖母と陽介の間に流れた深い愛を感じ取ることができた。彼女はこの物語を胸に、祖母の墓前で手紙を読み上げ、二人の未来にかけられなかった想いを風に乗せた。
澪は故郷に戻ると、陽介と祖母の物語を綴った小説を書き始める。彼女のペンから生まれる言葉は、過去と現在を繋ぎ、読む人々に二人の永遠の愛を伝えることになる。それは時を超えて、失われた恋の物語が新たな命を得る瞬間でもあった。
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