過去からの手紙

時を超えた手紙

エリカは春の空気を胸いっぱいに吸い込みながら、古びた郵便ポストに手紙を投函した。その手紙は彼女が一生の間、心に秘めていた告白だった。彼女の指はわずかに震えており、手紙の角がくしゃりと音を立てた。

何年も前、エリカはルカという名の青年と深い愛に落ちた。彼は彼女の初恋であり、彼女の世界全体だった。しかし、運命は彼らを引き裂き、ルカは遠くへ行ってしまった。連絡を取ることはなかったが、エリカは毎年、彼の誕生日に手紙を書いては、送ることなく抽斗にしまっていた。

この日、エリカはある決断を下した。彼女は自分の気持ちをルカに伝えるため、過去20年間の手紙をすべて送ることにした。ポストに手紙を入れると、心の中でルカに別れを告げた。

数週間後、エリカの元に一通の返事が届いた。封筒から見慣れない筆跡の手紙が現れると、彼女の手が止まった。手紙を開くと、そこには予想外の言葉が綴られていた。

「エリカ様、

私はルカの妹、マリアです。兄が数ヶ月前に亡くなったことを、悲しいことに伝えなければなりません。彼は最後の日まで、あなたのことを想い続けていました。兄が亡くなる前に、あなた宛の手紙を書いていました。彼の最後の願いとして、これを送ります。」

手紙には、ルカがエリカに宛てた愛の言葉が溢れていた。彼は彼女を決して忘れず、彼女の幸せを願い続けていた。エリカは手紙を胸に抱き、涙が止まらなかった。彼の言葉は、時間を超えて彼女の心に届き、彼女を温めた。

エリカはその後、ルカが眠る小さな墓地を訪れた。墓石に手を触れながら、彼女は静かに話しかけた。「ルカ、あなたの言葉をありがとう。私たちの時間は短かったけれど、あなたの愛は私の人生を形作ったの。これからも、その愛を胸に生きていくわ。」

夕暮れ時、エリカはゆっくりと墓地を後にした。心には切なさが残るものの、彼との思い出と、彼からの最後の言葉が新たな力を与えてくれた。過去からの手紙は、時を超えた愛の証として、彼女の心に永遠に刻まれた。