ホラー小説のお話

影の棲む館

深い森の奥、人里離れた場所に立つ古びた館。その館には、誰も足を踏み入れないという不吉な伝説があった。そんなある日、好奇心旺盛な大学生グループが、この伝説を検証するために館を訪れることになった。

「ここがその館か…。気味が悪いな。」リーダー格のカイトが、重い鉄の門を押し開けながら呟いた。

館に一歩足を踏み入れると、一行は厳かな空気に包まれた。館の中は予想以上に広く、薄暗い廊下が続いている。壁には古い肖像画がかけられ、どれもが訪問者をじっと見下ろしているようだった。

「うわぁ、この絵、目が追ってくる気がする…。」一人が恐怖に震えながら言った。

彼らは勇敢にも館の探索を続けた。しかし、奥に進むにつれ、不可解な現象に遭遇するようになる。扉が勝手に閉じたり、冷たい風が吹き抜けたり、遠くで子供の笑い声が聞こえたり…。

「おい、さっきから誰かが俺たちを見てる気がするんだけど…。」カイトが不安げに仲間たちを見回した。

探索を続けるうちに、彼らは館の中心にある大広間にたどり着いた。広間の中央には大きな鏡が置かれており、その鏡には何故か彼らの姿が映っていなかった。

「これは…どういうことだ？」カイトが鏡に手を触れようとした瞬間、館は突如として激しい揺れに見舞われた。そして、鏡からは無数の影が現れ、彼らに襲いかかる。

影たちは形を変えながら、彼ら一人一人の恐怖を映し出し、心を乱す。カイトたちは恐怖に駆られながらも、何とか影から逃れようとするが、館は彼らを容易には逃がさない。

「ここから出る方法を見つけないと…！」カイトが叫ぶも、その声は館の奥深くに吸い込まれていく。

一行は必死に館を逃げ回り、ついには一つの古い文書を見つけ出す。それは館にかけられた呪いと、その解き方について記されていた。彼らは文書に従い、呪いを解くための儀式を行うことに。

儀式が進むにつれ、館の異変は次第に収まり、影たちは一つずつ消えていった。そして、全ての影が消え去った瞬間、館は平穏を取り戻し、外は明るい朝日が差し込んでいた。

カイトたちは無事に館を脱出し、深い安堵の息をついた。しかし、彼らが背後を振り返ると、館は霧に包まれ、再びその姿を消していた。

「あれは一体、何だったんだ…？」彼らの心に残る疑問は深く、しかし、彼らは二度とその館に足を踏み入れることはなかった。