3 / 6
甘いポッキーと初恋の予感
しおりを挟む夕陽が校舎をオレンジ色に染める放課後、賑やかな教室内で、文化祭の準備が進められていた。クラスの中心には、実行委員を務める佐々木ハルカと、幼なじみの高橋ユウがいた。二人は小さい頃からの親友で、何をするにも一緒だった。
「ハルカ、こっちの飾り付けどう思う?」ユウが掲げたカラフルなガーランドを見せると、ハルカはにっこり笑って「いい感じ!でも、もう少し右かな」と指示を出した。
クラスメイトたちは、文化祭の準備を楽しみながらも、どこか和やかな雰囲気に包まれていた。突然、クラスの人気者であるミカが大きな声で提案した。「ねえ、ちょっと休憩してゲームしない?ポッキーゲームとかどう?」
ミカの提案に教室内はざわついた。特にユウは驚いた表情で周囲を見渡した。ポッキーゲームは、二人一組になってポッキーの両端を咥え、どちらが最後まで食べられるかを競うゲームだ。しかし、二人の唇が触れ合う可能性もあり、少しドキドキするものだった。
「いいね!誰が最初のペアに挑戦する?」クラスメイトたちが次々と声を上げる中、ミカがユウとハルカに目を向けた。「ユウとハルカ、どう?」
ユウとハルカは顔を見合わせ、少し赤面しながらも頷いた。「いいよ、やってみる。」ハルカは笑顔で応えた。
ポッキーの箱が回され、ハルカが一本を取り出してユウに差し出した。ユウが片端を咥え、ハルカが反対側を咥えると、周りのクラスメイトたちは息を呑んで見守った。
「始め!」ミカの合図で二人はゆっくりと顔を近づけていった。最初は笑いながらも、ポッキーが短くなるにつれて真剣な表情に変わっていった。
「ユウ、負けないよ!」ハルカが挑戦的な笑みを浮かべる。
「僕だって!」ユウも負けじと答える。
ポッキーが短くなるにつれ、二人の心臓は高鳴り、距離がどんどん縮まっていった。ついに、唇が触れ合うか触れないかの瞬間、ポッキーがパキッと折れ、二人は唇が軽く触れ合った。
周りから歓声が上がり、ハルカとユウは顔を赤らめながらも笑い合った。「なんか、すごくドキドキしたね。」ハルカが照れ笑いを浮かべる。
「うん。でも、楽しかった。」ユウも同意し、二人は自然と手を握り合った。
その夜、文化祭の準備が終わり、教室を出た二人は、夕焼けが広がる校庭を歩いていた。静かな空気の中で、ハルカがふと口を開いた。「ユウ、今日のポッキーゲーム、ちょっと特別だったよね。」
ユウは頷きながら答えた。「そうだね。でも、なんで特別だったんだろう?」
ハルカは少し考え込んだ後、笑顔で言った。「たぶん、私たちがずっと一緒にいたからだよ。いつも一緒にいるけど、今日はなんか違った感じがした。」
ユウはその言葉に驚きつつも、心の中で同じ気持ちを抱いていることに気づいた。「ハルカ、実は僕も同じことを思ってた。」
ハルカは驚いた顔をしながらも、すぐに笑顔になった。「やっぱりね、私たちって本当に気が合うんだね。」
二人は夕陽が沈むまで校庭で語り合い、そのまま一緒に帰宅した。心の中でお互いの気持ちを確認し合い、新たな一歩を踏み出すことを感じていた。
文化祭当日、学校は活気に溢れ、様々な催し物が行われていた。ハルカとユウのクラスのカフェも大盛況で、多くの生徒たちが訪れていた。忙しいながらも楽しい一日が過ぎ、最後にはクラス全員で打ち上げをすることになった。
打ち上げの席で、再びミカが提案した。「ねえ、またポッキーゲームしない?今度はみんなで!」
全員が賛成し、再びポッキーの箱が回された。ハルカとユウも再びペアになり、ポッキーを咥えて顔を近づけていった。前回よりもさらに緊張感が漂う中、二人は再び唇が触れ合う瞬間を迎えた。
その瞬間、ハルカがそっと目を閉じ、ユウも自然と目を閉じた。唇が触れ合い、甘いポッキーの味と共に、二人の心は一つになった。
打ち上げが終わり、ハルカとユウは一緒に校庭を歩いていた。「ユウ、今日は本当に楽しかったね。」
「うん、僕も。ハルカと一緒に過ごせて、本当に幸せだよ。」
ハルカはユウの手を握り返し、微笑んだ。「これからも、ずっと一緒にいようね。」
ユウも微笑み返し、心の中で確かに感じた。ハルカとの時間が、これからもずっと続くことを。
その後、二人は互いに支え合いながら、学校生活を楽しみ続けた。ポッキーゲームが二人を結びつけた特別な思い出となり、時折その話題を振り返りながら、未来に向けて共に歩んでいくことを誓った。
文化祭の夜空の下、二人は手を取り合い、新たな一歩を踏み出すことを決意した。その決意は、これからの未来に向けた大切な一歩であり、二人の心に永遠に刻まれることとなった。
ポッキーゲームから始まった二人の恋物語は、甘くて切ない初恋の予感と共に、新たな未来へと続いていった。ポッキーの魔法がもたらしたこの瞬間を、二人はずっと大切にしていくことを心に誓い、これからも共に歩んでいったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
知りませんでした?私再婚して公爵夫人になりました。
京月
恋愛
学生時代、家の事情で士爵に嫁がされたコリン。
他国への訪問で伯爵を射止めた幼馴染のミーザが帰ってきた。
「コリン、士爵も大変よね。領地なんてもらえないし、貴族も名前だけ」
「あらミーザ、知りませんでした?私再婚して公爵夫人になったのよ」
「え?」
没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。
亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。
しかし皆は知らないのだ
ティファが、ロードサファルの王女だとは。
そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
毒姫の婚約騒動
SHIN
恋愛
卒業式を迎え、立食パーティーの懇談会が良い意味でも悪い意味でもどことなくざわめいていた。
「卒業パーティーには一人で行ってくれ。」
「分かりました。」
そう婚約者から言われて一人で来ましたが、あら、その婚約者は何処に?
あらあら、えっと私に用ですか? 所で、お名前は?
毒姫と呼ばれる普通?の少女と常に手袋を着けている潔癖症?の男のお話し。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。
四季
恋愛
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる