巫女の恋愛小説

ちちまる

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神様の祝福

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瑠璃色の空が広がる神社の境内で、若い巫女の柚希は静かに神事の準備をしていた。彼女はその地域の古い神社で生まれ育ち、自然とその場所の巫女としての役割を担うようになっていた。柚希は人々の願いを神様に届けることに生きがいを感じていたが、個人的な願い事は決して神様には伝えなかった。自分のことよりも他人の幸せを願うのが巫女の使命だと信じていたからだ。

ある日のこと、都会から若い画家の翔太がこの神社を訪れた。彼は自然に囲まれた環境で新しいインスピレーションを求めていた。柚希と翔太の出会いはまさに偶然だったが、二人はすぐに意気投合し、翔太は神社の美しさに魅了された。柚希もまた、翔太の自由な精神と芸術に対する情熱に惹かれていった。

日が経つにつれて、翔太は神社に通うことが多くなり、柚希も彼のために特別な神社の案内をするようになった。翔太は神社の風景を描くたびに、柚希をモデルに選び、彼女の神秘的な美しさをキャンバスに収めた。柚希は巫女としての自分が外の世界とどのようにつながっているのかを、翔太との交流を通じて感じ始めた。

しかし、柚希は自分の感情に戸惑いを覚えていた。巫女としての生活は一般的な恋愛感情を超越したものであるべきだと育てられてきたため、翔太への思いが神様への裏切りではないかと悩んだ。ある夕暮れ、柚希は神社の境内でひとり祈りを捧げた。「神様、どうか私に正しい道を示してください。」

その夜、夢の中で神様が柚希に語りかけた。「柚希よ、真の幸せは心の声に耳を傾けることにある。お前の幸せは、神社の神様も望んでおるぞ。」

目覚めた柚希は、自分の感情に正直になる決意を固めた。翌日、彼女は翔太に自分の思いを伝えた。「翔太さん、私はあなたのことを心から愛しています。もしもこの気持ちが神様の望むところでなければ、私は巫女を辞める覚悟です。」

翔太は柚希の手を強く握り返し、「柚希、君の勇気に心から感謝する。僕も君を愛している。二人で新しい生活を築こう」と答えた。二人は神社の神様に深く感謝し、柚希の新たな人生を歩み始めた。

二人の結婚式はその神社で行われ、柚希は最後に一度だけ巫女の装束を纏い、翔太と共に結婚の誓いを交わした。式の最中、風が通り抜け、桜の花びらが舞い上がり、それはまるで神様が二人の結びつきを祝福しているかのようだった。

柚希と翔太の物語は、彼女が巫女としての役割を超えて、自分自身の心に従うことの大切さを教えてくれる。愛する人と共に新しい道を歩むことで、彼らは神様の最大の祝福を受け、幸せに満ちた生活を送ることになった。
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