愛のカタチ

ちちまる

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新年の願い

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新年の鐘が鳴り響き、雪が静かに街を包む中、小さなレストラン「ルミエール」は、新年会のために賑わっていた。この日、多くの常連客や友人たちが集まり、新しい年の始まりを祝っていた。中でも、ひときわ目立つ若い男女がいた。彼は、陽気な性格で人気のある小説家、秋人。彼女は、静かで落ち着いた雰囲気のある写真家、紗英だ。

二人の出会いは、ひと月前の「ルミエール」での偶然だった。紗英が個展の打ち合わせで訪れたその日、秋人もまた、次の小説のインスピレーションを求めていた。お互いに他人の世界に生きる二人だったが、何故かすぐに打ち解け、話が弾んだ。それからというもの、二人はよく「ルミエール」で会うようになった。

新年会の夜、秋人は特別な思いを胸に紗英を誘った。二人で過ごす初めての新年。店内は暖かな光で満たされ、笑い声と楽しい会話が飛び交っていた。しかし、秋人と紗英にとって、周りの喧騒は遠い世界のことのようだった。彼らの間には、特別な空気が流れていた。

食事が進むにつれて、秋人は紗英に自分の気持ちを打ち明けることに決めた。「紗英、実はね、君に会えて、僕の世界が変わったんだ。君のことが…好きだよ。」紗英は一瞬言葉を失ったが、その後、穏やかに微笑んで答えた。「秋人さん、私もです。あなたと過ごす時間が、私にとってとても大切です。」

その瞬間、外の雪景色がさらに美しく輝き、二人は手を取り合った。新年の鐘が、彼らの新たな始まりを告げるかのようだった。

新年会が終わり、二人は手を繋いで雪の中を歩いた。紗英は秋人に向かって、「新年の願いってありますか?」と尋ねた。秋人は笑顔で、「君と一緒にたくさんの思い出を作ることだよ。それが僕の願い。」と答えた。紗英もまた、「私も同じです。二人で新しい年を歩んでいきたい。」と心から願った。

新しい年の始まりは、秋人と紗英にとって、ただの時間の経過ではなく、お互いに対する深い愛情と共に歩む未来への第一歩だった。二人が「ルミエール」で交わした言葉は、寒い冬の夜を温かく照らし、新年の願いをかなえる魔法のような力を持っていた。

そして、彼らは知った。恋人たちの心をつなぐのは、新年の願いや約束ではなく、共に過ごす時間と、お互いへの深い理解と信頼だということを。
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