愛のカタチ

初雪の約束

冬の訪れを告げる初雪が、静かに街を白く染め上げていく。その夜、小さなカフェ「ココア」の窓からは、外の雪景色が見えていた。店内には、あたたかい灯りと、コーヒーの香りが満ちている。そんな中、ふたりの若者、悠真と絵里が、窓際の席で向かい合って座っていた。

悠真と絵里は、大学の同じサークルで知り合った。悠真は文学部の学生で、絵里は美術学部に所属していた。二人は共通の趣味である読書を通じて仲良くなり、しだいにお互いに特別な感情を抱くようになっていった。

初雪の夜、悠真は絵里を「ココア」に誘った。二人が初めて出会ったのも、このカフェだった。悠真は、この特別な日に絵里に思いを伝える決意をしていた。

「絵里、実はね、僕…」悠真が話し始めた瞬間、外から突然の風が吹き、カフェのドアが小さく揺れた。絵里は悠真の言葉に耳を傾けながらも、外の初雪に目を奪われていた。

「悠真くん、見て。初雪だよ。」絵里が指差す窓の外には、幻想的な雪景色が広がっていた。悠真は一瞬、言葉を失ったが、やがて深呼吸をして、心を決めた。

「絵里、初雪が降るこの夜に、僕の気持ちを伝えたくて。僕は絵里のことが好きだよ。一緒にいると、すごく心が温かくなる。絵里とこれからも、たくさんの思い出を作っていきたい。」

絵里は少し驚いたように悠真を見つめたが、やがて優しい笑顔を浮かべた。「悠真くん、ありがとう。私も、悠真くんと一緒にいる時間がとても幸せ。こんなに素敵な初雪の夜に、気持ちを伝えてくれて…私も悠真くんのことが好き。」

窓の外では雪が静かに積もり続けていた。二人は手を取り合い、初雪の下、未来への歩みを始めた。その夜、初雪はただの天候の変化ではなく、二人にとって新たな始まりを象徴するものとなった。

時が流れ、初雪の日が毎年訪れるたびに、悠真と絵里はその日の約束を思い出した。二人は難しい時も、楽しい時も共に過ごし、お互いを支え合った。そして、彼らは知った。初雪のように、突然訪れた出会いが、人生にとってかけがえのないものになることを。

「ココア」のカフェで始まった悠真と絵里の物語は、初雪のように純粋で、そして、時間と共に深まる愛情の物語だった。