愛のカタチ

ちちまる

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思い出の貝殻

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夏の終わりは、いつも切なさを帯びてくる。海辺の町で過ごしたあの夏も、例外ではなかった。私たちは、その夏にすべてを賭けたような恋をした。彼は、海を愛する画家で、私は、夏の間だけその町を訪れていた。

私たちの出会いは、海辺の小道で偶然だった。彼が海の絵を描いているところを、私は見つけたのだ。彼の絵は、まるで海そのものが画布に息づいているかのようで、私はその瞬間から彼に魅了された。

彼と私は、海辺を散歩するのが日課になった。波の音を聞きながら、未来の夢や、好きなことについて語り合った。彼はいつも、私に海の不思議や美しさを教えてくれた。そして、その夏のある日、彼は私に一つの貝殻を拾ってくれた。それは、小さくて繊細な貝殻で、太陽の光に透けるような美しさがあった。「君との思い出をいつまでも大切にしたいから」と彼は言い、その貝殻を私にプレゼントしてくれた。

しかし、夏は終わりを告げ、私は町を離れなければならなくなった。別れ際、彼は私に言った。「この貝殻が君をまたここへ連れ戻してくれるように。」涙を堪えながら、私は彼に約束した。いつかまた、この町で再会しようと。

年月が流れ、私たちはそれぞれの道を歩んだ。私は都会で忙しい日々を送り、彼は画家としてさらに才能を開花させていった。時々、彼の展示会のニュースを耳にするたびに、私はあの夏と、彼がくれた貝殻を思い出した。

そして、約束から数年後、私は再び海辺の町を訪れることになった。変わらぬ景色が広がる中、私は彼を探した。そして、彼のアトリエを見つけた時、私の心は高鳴った。ドアを開けると、彼がそこにいた。時間が流れたことを感じさせないほど、彼は変わらない温かさで私を迎えてくれた。

彼は、私が持ってきた貝殻を見て、優しい笑顔を見せた。「君がまたここに戻ってくると信じていたよ。」彼と再会して、私たちはあの夏の日々を振り返りながら、長い時間を過ごした。私たちの間には、時間や距離によって薄れることのない、深い絆があった。

『思い出の貝殻』は、夏の終わりに芽生えた一つの恋と、時間を超えて結ばれた二人の絆の物語である。彼がくれた貝殻は、ただの物ではなく、私たちの愛と思い出を永遠につなぎ止める魔法のようなものだった。それは、いつまでも私の心の中で、大切にされ続ける。
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