愛のカタチ

桃色の季節に君と

淡い桃色の光が町を染める季節、南の小さな村にある桃園で、ナオとミナは出会った。ナオは地元の果樹園で働く青年で、ミナは夏の短期間だけ村に滞在していた大学生だった。

初めての出会いは桃園の中で、ナオが木に登り落ちた桃を拾うミナを手伝っていた時だった。ミナの手に触れた瞬間、ナオは何か特別な感情を感じた。彼女の笑顔がとても自然で、その場の空気まで明るくするような魅力を持っていた。

「桃、好きですか？」ナオが尋ねると、ミナは嬉しそうに頷いた。

「大好きです。この町に来た一番の理由がこれなんですよ。」

それから、ミナは毎日のように桃園を訪れるようになった。ナオは彼女に桃の木の手入れの仕方や、美味しい桃の選び方を教えた。二人の間には自然と会話が弾み、次第に互いの日常や夢について語り合う関係になった。

ナオはミナがいると、普段の仕事が何倍も楽しく感じられた。彼女の笑顔、彼女の声、そして彼女が真剣に桃について学ぼうとする姿に、徐々に心惹かれていった。

ある日、夕暮れ時に二人で桃園を歩いていると、ナオは突然の勇気を出して、ミナに自分の気持ちを伝えた。

「ミナさん、僕、あなたのことが好きになりました。一緒にいる時間がとても幸せです。」

ミナは少し驚いたようだったが、すぐに優しい笑顔を見せて、ナオの手を握り返した。

「私もです。ナオさんの優しさに、毎日癒されていました。」

しかし、ミナの滞在期間は限られており、夏の終わりと共に彼女は都会へと戻らなければならなかった。別れの日、二人は桃園で最後の時間を過ごし、互いに約束を交わした。

「来年の桃の季節に、またここで会いましょう。それまでに、それぞれの夢を少しでも前に進めていられたらいいですね。」

「うん、約束だよ。」

ミナが去った後、ナオは一層一生懸命に働き、果樹園を盛り上げようと努力した。ミナも都会での生活の中で、常にナオのことを思い出しながら日々を過ごした。

時は流れ、再び桃の季節が訪れた。約束の日、ナオは桃園でミナを待っていた。そして、彼女が遠くから走ってくる姿を見たとき、彼の心は大きな喜びで満たされた。

再会した二人は、一緒に桃を収穫しながら、過去一年間の出来事を語り合った。ミナは大学を卒業し、新たな夢を持っていた。ナオは果樹園の管理者としてさらに成長していた。

「ミナさん、もしよかったら、ここで一緒に働かない？」

ミナは驚いたが、すぐに笑顔で応じた。

「いいですね。私もそれがいいです。」

二人は桃園で新たな生活を始め、共に桃の木々を育てながら、それぞれの夢を育てていった。桃色の季節は、彼らにとって愛を深め、新しい始まりを告げる特別な時期となった。