愛のカタチ

新しい窓から見える景色

都会の喧騒を離れ、小さな海辺の町への引っ越しを決めたアミは、新たな生活にわくわくしていた。アパートの一室で箱を解きながら、彼女は新しい環境での変化に心を躍らせていた。

引っ越しの翌日、アミは隣の部屋に挨拶に行くことにした。ドアをノックすると、そこに住むのはソウタという名の青年だった。彼は地元の小さなカフェで働きながら、風景写真を撮るのが趣味だという。

「海がきれいなんですよ、ここは。よかったら、一緒に散歩しませんか？」ソウタの誘いに、アミは快く同意した。二人で海岸を歩きながら、アミはソウタの温かい人柄と彼の写真に映る美しい風景に惹かれていった。

日々が過ぎるにつれて、アミはソウタとの時間を楽しみにするようになった。彼はアミに地元の隠れたスポットを教え、二人の距離は徐々に縮まっていった。ソウタの写真を見るたびに、アミは新しい町への愛着を強く感じていた。

ある日、アミが部屋で写真の整理をしていると、ソウタが訪ねてきた。彼は手に一冊のアルバムを持っていて、それをテーブルに広げた。

「アミさん、これ、最近の僕の写真です。この町で撮ったものばかり。一緒に見ませんか？」

アルバムをめくる手と手が触れ合うたびに、アミはソウタの優しさに心を動かされていた。彼の写真からは、彼がこの町をどれだけ愛しているかが伝わってきた。

「ソウタさん、この写真すごく素敵...。町も、あなたの写真も、どんどん好きになっていくんです。」

その言葉を聞いたソウタは少し照れながらも、アミの目を真剣に見つめた。

「アミさん、実は...僕、アミさんのことが好きです。一緒にこの町で、もっと多くの景色を見ていきたいです。」

アミは驚いたが、すぐに彼の手を握り返し、笑顔を見せた。

「私もです、ソウタさん。この町も、あなたも。」

その日から二人は正式に恋人としての関係を始めた。アミの新しい生活は、ソウタと共に町を探索する日々で彩られ、彼の写真に写る風景のように、次第に明るい色合いを増していった。

時間が経つにつれて、アミも写真を趣味にするようになり、ソウタと一緒に様々な場所を訪れては二人の写真を撮り続けた。彼らのアパートの壁は、共に過ごした日々の記録でいっぱいになっていった。

引っ越しという一つの大きな変化が、アミにとっては最高の出会いをもたらしていた。ソウタとの毎日が、彼女にとって新しい家、新しい窓から見える世界を、より鮮やかなものに変えていった。彼らの共有する時間と、彼らが愛する町は、彼らの愛の証として、日々新しいページを紡いでいくのだった。