スズノハの約束

秋月とわ

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4章

第23話 みんなには見えない!?

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「──夏海ちゃん。さすがにダメだよ、それ!」
「店のおっちゃんが、大丈夫って言ってるから大丈夫だよ。それより、しっかり押さえといてね!」

 私たちは射的をしていた。夏海は台から身を乗り出して腕を伸ばし、鉄砲を構える。そんな彼女を台から落ちないように私はしっかり押さえていた。

 完全にルール違反だと思うのだけれど、店のおじさんに確認したら「いいよ。取れるもんなら取ってみな!」となぜか自信満々に胸を張っていた。

「えいっ!」

 発射された弾が、お菓子の箱のすぐ横をかすめる。夏海は、残りの弾を連射した。けれど、そのどれもが的から外れてしまった。夏海はがっくりと肩を落とす。

「あそこまでしたのに、何で当たらないんだろう……?」

 射的を終えた私たちは、綿飴を食べながら境内をブラブラ散歩していた。もう間もなく、篤志くんが太鼓を叩く盆踊り大会が始まる。

 盆踊りには私は参加するつもりはなかった。だって踊れないだもん。それなのにいざ、始まると夏海に有無を言わせずに列の中に連れ込まれてしまった。

 太鼓がリズムを刻み、踊りの列が動き出す。今さら戻ることもできず、私は夏海の動きを見よう見まねで踊る。多分、ヘンテコな動きになっていたと思う。

 私は終始キョロキョロしながら、ぎこちない踊りを踊った。

 それから数分間踊り続けたあと太鼓の音が鳴り止み、私はようやく息をつく。そしてその瞬間、大切なことを思い出した。

 動きを合わせることに夢中になりすぎて、せっかくの篤志くんの晴れ舞台は見れなかった。期待していただけに、ショックも大きい。今日ばかりは夏海を恨めしく思った。

 そのあとは篤志くんも合流して3人で花火を見た。私は花火より、法被を着た篤志くんが気になってしかたなかったけれど。
 
 花火の間中、篤志くんの横顔を見ていた。せっかくの花火なんだから見ないともったいないと思いつつもどうしても視線が彼の方に行く。

 それがとっても不思議だった。

 帰りに篤志くんの提案で、みんなでスズノハの木を見ていくことになった。どうやら彼は以前私がした適当な言い訳を律儀に覚えていたらしい。

 裏参道は、お祭りだというのにひっそりとしていた。それでもいつもよりは人出がある。

「これがスズノハの木だ」

 篤志くんが、大きな切り株を指す。その上にはスズノハさんがどっしりと座っている。それなのにまるで彼は気づいていない風だ。

「ねえ。切り株の上、何かいない?」

 尋ねると、篤志くんは切り株を一瞥し首を傾げる。

「別に何もいないけど?」

 同じことを夏海にも尋ねたが、答えは篤志くんと同じだった。やっぱり見える人と見えない人がいるらしい。

 スズノハさんは、何も言わずに私たち3人を眺めている。この状況で何か声をかけることもできず、私はアイコンタクトを送った。伝わっているかはわからないけれど。
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