オーデンスのΩの物語《I》

風鈴

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《第二部》一途なΩの新しい旅立ち

ルナとアルフレッド 〔アン王妃視点〕(2)

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 仕立て職人が帰って、アン王妃とお茶をしながら、リュウールは思い切って両親の事を聞いた。
「アン王妃にお聞きしたい。母様は父様を愛していたんだよね」
「改まって聞きたいのね、わかったわ。そうよ前も言ったでしょう。熱烈なアピールだったわ、ルナは特に」
アン王妃は、即答する。
「どうして父様は母様の気持ちを素直に受け入れなかったんだろうと思って」
「それは、前にも話をしたけど、あなたは200年前の因縁については知っている?」
「『オーデンスのΩ』の次代を襲って無理やり番にした事件は知っている」
「そうね、小説版もあるから知っているか」
「小説版は読んでいないけど」
「あら、結構脚色がひどくて喜劇だと思って読むと面白いわよ、では、現実的な話、主犯はブロック侯爵家の子息だけど、それを脅さたと言えども加担して加害者の1人として名を連ねた者の末裔であるアルフレッドとしてはできれば被害者のオーデンス伯爵家とは関わり合いにはなりたくなかったのに、トルベール学園の中庭で偶然にルナと出会ってしまった。運命的な出会いをしてしまった彼は本当に狼狽えた。運命的な出会いをしてしまったルナは、歓喜した。アルフレッドは、冷静にルナとの事を考えて真面目に接して真摯に付き合っていたと思う」
「そうっか」
リュウールは、アン王妃の言葉を聞いて少し安心した。アン王妃は、クッキーを摘んでお茶を飲む。
「シモンズ伯爵家って一族の長はギル・ブロック侯爵家だと言うのは知っているよね」
「僕は一度も一族の集まりに行った事ないけど」
「ルナがオーデンス伯爵を継承して以降は関係がないから行く事ないか、アルフレッドもここには連れて行く訳ないか」
 アン王妃はどこまで話をするのか迷っていたようだが、逡巡して話し出した。
「これから話すのは私の憶測も含んでいて違っていたらと思うんだけどまぁ、噂話程度で良いなら知っている事は話しあげるわ。多分あなたの両親については周りの人それぞれに見方が違うから一概にこれって言う確証はないし、本人たちしか知らない事も多分にあるから」
「僕の第一の疑問は、どうして父親が素直じゃないのがわからない」
「彼事はルナが、常々言っていた、『アルはとても天邪鬼だけど、僕や子供達をすごく愛してくれている』って、それは私も思っていたわ、彼が、ルナの事を常に一番に愛していたのは疑う余地はないの、その事をあなたは疑わないで欲しい。周りに積極的に仲良くしていることをアピールしたくてもできない事情があったの。
 ブロック侯爵家一族って本当に足の引っ張り合いが多くてとぼやいていたあの一族の関係者である知人の話だけど、聞いた事を言うね。
『あの一族ではブロック侯爵家が王様のように振舞っていてちやほやしないと有る事無い事の噂話を世間に流されてしまう、特にブロック侯爵家より力を持つ家や商人との結婚は出来なくなったりする、一族の長が噂を流す根本だから抵抗ができない。変な噂を流されるよりブロック侯爵家に媚びへつらう方が良い。一族の集まりには顔を出す事はするけど、始めの挨拶の後に急用や病気を理由に帰る人もいるし、娘やΩが生まれたら、自分の子供としては届けないで下女や下僕の子供や私生児扱いにして、領地がある者はそちらに移したりして育てる者達もいる。結婚さえ秘密裏にして、独身者を装う人までいる。これは特にギルが、当主になった辺りからそう言う傾向がある』
 すごいでしょ、触らぬ神に祟りなしの状況なの。女やΩは、当主に合わせて不幸に会うなら、始めから離れて暮らして幸福になるってと思う者がいるって聞いた時には信じられないって驚いたのを覚えている。だから、侯爵家より下の伯爵家のアルフレッドが、今は伯爵家だけど実質は公爵家であるルナと番になり、結婚し、子供がいるとどんなに酷い誹謗中傷を言われたか、面と向かってではないけど陰口は大変なものだったと聞くわ」
「そうなんですね。それでも二人は愛し合っていたんだ」
「勿論よ、トーマスとあなたの間の歳が離れているのは、ルナが、子育てに振り回されたりするのは大変だと思うからって言う話だったわ。常にアルフレッドはルナの事を1番に考えていた」
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