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第二章
茨棘との出会い(1)
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お昼のミーティングの前に平太が、紅玉の部屋に迎えに来てくれた。
平太が村雨の前に紅玉を連れて行くと彼は紅玉着物の着方を見て少し微笑んで言った。
「それは、遊郭の外での着方です。ここでは帯は後ろではなく前に結び目を持ってくる。着方は、あなたの先輩遊女の茨棘から指導させます。これから一か月間彼の下で遊女としてのありとあらゆる事柄を学んでください」
紅玉は緊張で、顔がこわばっていた。村雨の笑顔は紅玉の緊張をほぐすほどにはならなかったが、彼の顔に少しの笑顔が戻った。そして、少し大きめの声で紅玉は答えた。
「はい、よろしくお願いします」
『藤ノ井』は、三階が事務所、支配人、遣り手、楼主の部屋になっている、二階は、遊女の仕事場である個室の部屋があり、松の位、竹の位、梅の位の御職たちの部屋と部屋持ち遊女の部屋、その他の遊女がお客様と過ごす部屋になっている。一階は、部屋持ち以外の遊女が客待ちするラウンジがあり、そこまでは女性でも入場できると言っていた。反対側には下僕たちが仕事している部屋や休憩室と大きな台所と食堂があり、中庭の奥に下僕や侍従などの住んでいるアパートがあるらしいと聞いていた。
午後1時半に必ず遊女全員が食堂に顔を揃えることになっていると説明された。
「みんな揃っているか」
支配人がベルを鳴らして遊女たちの顔色を確認する。
「今日から、ここで新しく遊女となる紅玉だ。彼女は看護師として鮫島先生の助手として検診の時に働く。それと、南川下町診療所の看護師が、高齢のために助手として紅玉は月水金は診療所に朝手伝いに入るために朝から店を出る」
「そんな人がどうして遊女になるんだよ」
紅玉はドキっとした。
遊女の中から批判めいた言葉が漏れる。話声がさざ波のように食堂に広がる。支配人はもう一度ベルを鳴らした。
「お前たちと一緒だ。借金を払うためだ。何事もなくここにわざわざ来る人間はいない。だから、紅玉のここでの仕事に手加減を加えることはない。お客様に満足してもらうために働くことに何の変わりはない。穿った見方をしないように、紅玉、自己紹介」
支配人の言葉に文句を言う人はいない。ざわめきが収まり、静かになる。
「紅玉です。今日よりお仲間に入れていただきます。よろしくお願いします。久乃先生に命を助けていただいたので、お礼の気持ちでお手伝いすることになりました。それでも生きていくため、借金を返すためにも身を粉にして働きます。どうぞご指導ください」
「紅玉より、みんなに差し入れを贈っている。それと紅玉はこれから一か月茨棘の下で遊女見習いに入る。茨棘、よろしく頼む。梅の位の花蓮が明後日店を出る。本来梅の位が見習い遊女の面倒を見るが、今のところ空位の為に竹の位の茨棘にお願いすることになった。よろしく頼む」
「わかりました。紅玉、よろしく」
茨棘は立ち上がり、紅玉を見つめる。彼は小さくため息をつきながら、『面倒な事になったなぁ』と思った。梅の位の花蓮が、身請けされて出ていくのはわかってはいたが、遊女見習いを受け持つ梅の位の次が決まる前に新人が入るとはついていないと思う。
「茨棘さん、よろしくお願いします」
突然、下僕頭が大きな声で叫びながら食堂に入って来た。
「楼主が、お戻りです」
楼主の良弥が、食堂へ入って来た。
全員が立ち上がり、頭を下げる。
「「「おかえりなさいませ」」」
良弥は全員の挨拶を受けると彼は松の位の瑞葵に声をかける。
「ただいま、瑞葵元気にしているか」
瑞葵は笑顔で顔を上げて答える。
「楼主、おはようございます。新しい仲間を紹介させていただきます。紅玉です。可愛い仲間が増えて嬉しく思います。紅玉挨拶をするように」
「紅玉です。今日から遊女として頑張らせていただきます」
紅玉は、頭を下げたままで挨拶した。
「体に気を付けて頑張るように、茨棘指導よろしく頼む」
良弥は笑顔で茨棘の方を見ると、茨棘は頭を上げてさっきまでの鬱憤を忘れたように良弥に微笑んで答えた。
「はい、かしこまりました」
良弥は、支配人と上に上がっていった。
村雨が、食事を食べるように促してようやく昼食が始まった。
平太が村雨の前に紅玉を連れて行くと彼は紅玉着物の着方を見て少し微笑んで言った。
「それは、遊郭の外での着方です。ここでは帯は後ろではなく前に結び目を持ってくる。着方は、あなたの先輩遊女の茨棘から指導させます。これから一か月間彼の下で遊女としてのありとあらゆる事柄を学んでください」
紅玉は緊張で、顔がこわばっていた。村雨の笑顔は紅玉の緊張をほぐすほどにはならなかったが、彼の顔に少しの笑顔が戻った。そして、少し大きめの声で紅玉は答えた。
「はい、よろしくお願いします」
『藤ノ井』は、三階が事務所、支配人、遣り手、楼主の部屋になっている、二階は、遊女の仕事場である個室の部屋があり、松の位、竹の位、梅の位の御職たちの部屋と部屋持ち遊女の部屋、その他の遊女がお客様と過ごす部屋になっている。一階は、部屋持ち以外の遊女が客待ちするラウンジがあり、そこまでは女性でも入場できると言っていた。反対側には下僕たちが仕事している部屋や休憩室と大きな台所と食堂があり、中庭の奥に下僕や侍従などの住んでいるアパートがあるらしいと聞いていた。
午後1時半に必ず遊女全員が食堂に顔を揃えることになっていると説明された。
「みんな揃っているか」
支配人がベルを鳴らして遊女たちの顔色を確認する。
「今日から、ここで新しく遊女となる紅玉だ。彼女は看護師として鮫島先生の助手として検診の時に働く。それと、南川下町診療所の看護師が、高齢のために助手として紅玉は月水金は診療所に朝手伝いに入るために朝から店を出る」
「そんな人がどうして遊女になるんだよ」
紅玉はドキっとした。
遊女の中から批判めいた言葉が漏れる。話声がさざ波のように食堂に広がる。支配人はもう一度ベルを鳴らした。
「お前たちと一緒だ。借金を払うためだ。何事もなくここにわざわざ来る人間はいない。だから、紅玉のここでの仕事に手加減を加えることはない。お客様に満足してもらうために働くことに何の変わりはない。穿った見方をしないように、紅玉、自己紹介」
支配人の言葉に文句を言う人はいない。ざわめきが収まり、静かになる。
「紅玉です。今日よりお仲間に入れていただきます。よろしくお願いします。久乃先生に命を助けていただいたので、お礼の気持ちでお手伝いすることになりました。それでも生きていくため、借金を返すためにも身を粉にして働きます。どうぞご指導ください」
「紅玉より、みんなに差し入れを贈っている。それと紅玉はこれから一か月茨棘の下で遊女見習いに入る。茨棘、よろしく頼む。梅の位の花蓮が明後日店を出る。本来梅の位が見習い遊女の面倒を見るが、今のところ空位の為に竹の位の茨棘にお願いすることになった。よろしく頼む」
「わかりました。紅玉、よろしく」
茨棘は立ち上がり、紅玉を見つめる。彼は小さくため息をつきながら、『面倒な事になったなぁ』と思った。梅の位の花蓮が、身請けされて出ていくのはわかってはいたが、遊女見習いを受け持つ梅の位の次が決まる前に新人が入るとはついていないと思う。
「茨棘さん、よろしくお願いします」
突然、下僕頭が大きな声で叫びながら食堂に入って来た。
「楼主が、お戻りです」
楼主の良弥が、食堂へ入って来た。
全員が立ち上がり、頭を下げる。
「「「おかえりなさいませ」」」
良弥は全員の挨拶を受けると彼は松の位の瑞葵に声をかける。
「ただいま、瑞葵元気にしているか」
瑞葵は笑顔で顔を上げて答える。
「楼主、おはようございます。新しい仲間を紹介させていただきます。紅玉です。可愛い仲間が増えて嬉しく思います。紅玉挨拶をするように」
「紅玉です。今日から遊女として頑張らせていただきます」
紅玉は、頭を下げたままで挨拶した。
「体に気を付けて頑張るように、茨棘指導よろしく頼む」
良弥は笑顔で茨棘の方を見ると、茨棘は頭を上げてさっきまでの鬱憤を忘れたように良弥に微笑んで答えた。
「はい、かしこまりました」
良弥は、支配人と上に上がっていった。
村雨が、食事を食べるように促してようやく昼食が始まった。
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