37 / 77
第三章
瑞葵の事情(3)
しおりを挟む
洋司は従弟の田阪大に連絡する。
「大か、良弥に連絡を取ってくれるか?」
「訳有りですね、すぐに連絡させます」
「頼む」
大の機転の良さはそつがないと思った。だから、子供の頃から可愛がっている。
『藤ノ井』の事は良弥の領分だ。これだけは洋司が頼むと言っても決めるのは、楼主である良弥が首を縦に振らなければ無理な話であった。彼が遊女に溺れることはない、常に冷静な判断で見極める。美男子でも普通のΩでも良弥の決め手は一つ妓楼『藤ノ井』の評判上げる遊女かどうかである。洋司はその点を大いに評価していた。
藤井良弥が烏丸保津巳と会ったのは、いつも世話になっている田阪洋司の別宅だった。
「こんにちは、君があの連日テレビで噂されている烏丸保津巳君ですか?」
良弥が、報道で漏れ聞いた。可哀想な子供のイメージは無く、普通の高校生だなぁと感じた。遊女は顔だけではない、強かさと覚悟だと良弥は思っていた。
「はい」
「私は、南川遊郭で妓楼『藤ノ井』の楼主の藤井良弥です。君王子様だね」
良弥はわざと嫌味を被せた。『保津巳は磨けば松の位に君臨するオーラがある』と思う反面彼の持つ圧倒的な排他性が『藤ノ井』にとって諸刃の剣になる可能性を感じた。
「ありがとうございます。それ生まれた時から言われ続けています」
「君の自信はどこから来るのか教えてくれる?」
良弥もまた他人から人を食ったような物言いをすると言われるが、彼もやはり同類の男だと思う。保津巳も『今まで洋司さんより怖い人間はいないと思っていた。この人は洋司さん違う怖さがある。人の良さげが滲み出ている分わかりづらいが相当の悪人だ。だからこの国一の妓楼『藤ノ井』を背負える楼主なんだ。嫌いではないが絶対恋人にはなれない』と思った。
「子供の頃から自信はないと言っても誰も自信がないとは見てくれないんで、Ωだと言ってもΩの学校に通っても外ではΩだと思われなかった。だから他人の評価を気にして生きるのが好きではありません」
『やはり同類だと思うが、Ωで同類は生きづらいだろう、ましてや遊女だ。媚びて生きていると言われる仕事が果たしてできるのだろうか?』と保津巳を見る。
「僕に会いたいということは、身体を売っても良いと思っていると言うことだね。そのことはどう考えている?」
「両親も姉も居ない上に親戚達も烏丸家には関わりを持ちたくないでしょう。それなら自分で稼げるものは身体しかないなら誰に差し出されるより自分で選んで進んでいく。そのために必要なスキルは自分を殺しても掴む。心残りは、初発情を過ごしてくれた人と会いたいです。その人ともう一度必ず出会えると思っています。洋司さんはそこそこ金持ちですが、あの人は見返りを要求するので、それに俺は洋司さんを好きではありません。あんな胡散臭い人はできる事なら付き合いたくありません」
保津巳は至極冷静な考えを持っている。『スキルなら積めるだろう、次の次の松の位を茨棘を据えるよりこいつの方が都合良い。悪人にはなりきれない茨棘の風除けになって、悪人として矢面になってもらう。2人は思った以上に上手くいくだろう』良弥は色々と考えながらも着々と事を進めていった。保津巳は良弥に自分自身を見透かされているような気分になった。
「フフ、失礼、洋司さんを鼻から否定するんだ、君の身体だったら喜んでお金を出すだろうに、好きなのか初発情を相手にしてくれた人の事が良いと言うのも面白い」
保津巳は、潮騒の香りがして溶けてしまったか自分を大事に扱った見ず知らずの人の方が烏丸家を陥れた人間たちより良い人間だと思う。
「好きです。会ったことはありません。ちらっとしか印象がないんです。だけど、僕の相手をしてやりっぱなしで逃げずにちゃんと身体を清めて、服まで着せて、避妊薬も飲ませて逃げるαにもう一度あってみたい」
「わかった。君の髪が後10センチ伸ばしたら、18歳だろう、そうしたら喜んで『藤ノ井』に迎えよう」
「今すぐじゃダメですか?」
「18歳じゃないと遊女にはなれない。それを覚えて置いて欲しい。それと君とは南川遊郭妓楼『藤ノ井』の楼主藤井良弥が貰い受ける。だからこれ以降その初発情を過ごした相手も洋司さんにも指一本触れさせるな、もう君は『藤ノ井』の遊女見習いである」
保津巳は、良弥の言葉を身体全体に重く感じた。
「わかりました。あの、洋司さんから精子を預かってくれるところを知っていると聞きました。お願いできませんか? 母と姉を犯した奴の物です」
「それは、良いよそれのことは私の知り合いの医師が責任を持って預かってくれるから渡してくれれば良い」
と言われて、保津巳は素直に渡した。
「大か、良弥に連絡を取ってくれるか?」
「訳有りですね、すぐに連絡させます」
「頼む」
大の機転の良さはそつがないと思った。だから、子供の頃から可愛がっている。
『藤ノ井』の事は良弥の領分だ。これだけは洋司が頼むと言っても決めるのは、楼主である良弥が首を縦に振らなければ無理な話であった。彼が遊女に溺れることはない、常に冷静な判断で見極める。美男子でも普通のΩでも良弥の決め手は一つ妓楼『藤ノ井』の評判上げる遊女かどうかである。洋司はその点を大いに評価していた。
藤井良弥が烏丸保津巳と会ったのは、いつも世話になっている田阪洋司の別宅だった。
「こんにちは、君があの連日テレビで噂されている烏丸保津巳君ですか?」
良弥が、報道で漏れ聞いた。可哀想な子供のイメージは無く、普通の高校生だなぁと感じた。遊女は顔だけではない、強かさと覚悟だと良弥は思っていた。
「はい」
「私は、南川遊郭で妓楼『藤ノ井』の楼主の藤井良弥です。君王子様だね」
良弥はわざと嫌味を被せた。『保津巳は磨けば松の位に君臨するオーラがある』と思う反面彼の持つ圧倒的な排他性が『藤ノ井』にとって諸刃の剣になる可能性を感じた。
「ありがとうございます。それ生まれた時から言われ続けています」
「君の自信はどこから来るのか教えてくれる?」
良弥もまた他人から人を食ったような物言いをすると言われるが、彼もやはり同類の男だと思う。保津巳も『今まで洋司さんより怖い人間はいないと思っていた。この人は洋司さん違う怖さがある。人の良さげが滲み出ている分わかりづらいが相当の悪人だ。だからこの国一の妓楼『藤ノ井』を背負える楼主なんだ。嫌いではないが絶対恋人にはなれない』と思った。
「子供の頃から自信はないと言っても誰も自信がないとは見てくれないんで、Ωだと言ってもΩの学校に通っても外ではΩだと思われなかった。だから他人の評価を気にして生きるのが好きではありません」
『やはり同類だと思うが、Ωで同類は生きづらいだろう、ましてや遊女だ。媚びて生きていると言われる仕事が果たしてできるのだろうか?』と保津巳を見る。
「僕に会いたいということは、身体を売っても良いと思っていると言うことだね。そのことはどう考えている?」
「両親も姉も居ない上に親戚達も烏丸家には関わりを持ちたくないでしょう。それなら自分で稼げるものは身体しかないなら誰に差し出されるより自分で選んで進んでいく。そのために必要なスキルは自分を殺しても掴む。心残りは、初発情を過ごしてくれた人と会いたいです。その人ともう一度必ず出会えると思っています。洋司さんはそこそこ金持ちですが、あの人は見返りを要求するので、それに俺は洋司さんを好きではありません。あんな胡散臭い人はできる事なら付き合いたくありません」
保津巳は至極冷静な考えを持っている。『スキルなら積めるだろう、次の次の松の位を茨棘を据えるよりこいつの方が都合良い。悪人にはなりきれない茨棘の風除けになって、悪人として矢面になってもらう。2人は思った以上に上手くいくだろう』良弥は色々と考えながらも着々と事を進めていった。保津巳は良弥に自分自身を見透かされているような気分になった。
「フフ、失礼、洋司さんを鼻から否定するんだ、君の身体だったら喜んでお金を出すだろうに、好きなのか初発情を相手にしてくれた人の事が良いと言うのも面白い」
保津巳は、潮騒の香りがして溶けてしまったか自分を大事に扱った見ず知らずの人の方が烏丸家を陥れた人間たちより良い人間だと思う。
「好きです。会ったことはありません。ちらっとしか印象がないんです。だけど、僕の相手をしてやりっぱなしで逃げずにちゃんと身体を清めて、服まで着せて、避妊薬も飲ませて逃げるαにもう一度あってみたい」
「わかった。君の髪が後10センチ伸ばしたら、18歳だろう、そうしたら喜んで『藤ノ井』に迎えよう」
「今すぐじゃダメですか?」
「18歳じゃないと遊女にはなれない。それを覚えて置いて欲しい。それと君とは南川遊郭妓楼『藤ノ井』の楼主藤井良弥が貰い受ける。だからこれ以降その初発情を過ごした相手も洋司さんにも指一本触れさせるな、もう君は『藤ノ井』の遊女見習いである」
保津巳は、良弥の言葉を身体全体に重く感じた。
「わかりました。あの、洋司さんから精子を預かってくれるところを知っていると聞きました。お願いできませんか? 母と姉を犯した奴の物です」
「それは、良いよそれのことは私の知り合いの医師が責任を持って預かってくれるから渡してくれれば良い」
と言われて、保津巳は素直に渡した。
11
あなたにおすすめの小説
交際0日婚の溺愛事情
江多之折(エタノール)
BL
死にたくはない。でも、生きたくもない。ふらふらと彷徨う根無し草は、世界の怖さを知っている。救いの手は、選ばれた者にだけ差し伸べられることも知っている。
だから緩やかに終わりを探して生きていた。
──たった数回の鬼ごっこを経験するまでは。
誠実すぎて怖い人は、4回目の顔合わせで僕の夫となる。
そんな怖がりな男と誠実な男の、結婚生活の始まり。
■現実だけど現実じゃない、そんな気持ちで読んでください。
■家庭に関してトラウマを抱えている方は読まない方が良いと思います。
落としたのは化粧じゃなく、みんなの心でした
444
BL
『醜い顔…汚らしい』
幼い頃、実母が病気によって早くに亡くなった数年後に新しい義母からそう言われたシリルは、その言葉が耳に残って16歳となった今も引きずっていた。
だが、義母のその言葉は真っ赤な嘘でシリルはとても美しかった。ただ前妻の息子であるシリルに嫉妬した結果こぼした八つ当たりの言葉であったのをシリルは知らずに、義母のいう醜い顔を隠すために化粧をする。
その結果、彼は化粧によって本当に醜い顔になってしまった。そんな彼が虐げられながらも徐々に周囲を絆す話
暴力表現があるところには※をつけております
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とスタッフ達とBL営業をして腐女子や腐男子たまに普通のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる