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第三章
竜介の事情
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紅玉は平太が居なくなって世話係が変わった。竜介と言って下僕頭の圭太の甥っ子だった。彼の妹は子だくさんだった。中でも竜介は周りの悪い友達の影響で素行が悪く高校にも行かずにぶらぶらしていて妹夫婦も手を焼いていた。それで竜介を鍛え直し悪い友達と離すために圭太の家で引き取り、下僕の仕事を覚えさせようと考えた。
竜介は、遊郭の仕事だと思って少し馬鹿にしてやって来たが、下僕の仕事は朝6時から玄関前の掃除や中庭の草挽きやラウンジの掃除あらゆるところを掃除する半端なく大変だった。昨日やったと言う言い訳は通らず毎日毎日掃除に明け暮れる。遊女のいる4階は男子禁制で年配の下女か下僕の上の侍従と呼ばれる世話係以外は入れない。侍従の平太は真面目で朝の掃除も下僕と一緒にする。竜介は、そんな平太の事が好きではなかった。彼は侍従で下僕の仕事なんてしないくても良いのにと思い彼の事が理解できなかった。圭太伯父さんも下僕頭なのに朝の掃除もこなす。竜介はいやいや掃除をするのでいつも他の下僕たちに怒られていた。
家に帰るたびに行きたくないと言い続けていたが、貧しい上の子だくさんの実家がそれを許してくれる訳はない。そんな竜介だったが、3年もたつとそこそこ下僕の仕事にも慣れ始めた。平太の下で侍従見習いなって遊女の部屋にお客様や本人が買った商品を届けるようになり見たこともないお菓子などを駄賃の代わりに貰ったりした。遊女は、どの人もきれいで乱暴にしたら骨が折れそうなくらいな人も多かった。
松の位の瑞葵、竹の位の茨棘、部屋持ちの紅玉や茜凛は別格の美しさでお客様も超一流だと聞く。そんな遊女が、夜になると妖艶に男とまぐわうのかと思うと若い竜介は自分を慰めていた。
竜介のお気に入りの紅玉がお客様と嬉しそう部屋から出てくるのを見て、自分勝手に嫉妬してしまう。自分がβで相手にならないと思っていても紅玉のほわんと高揚した薄紅の顔を見るとたまらなくなった。
夏の盆休みを利用して実家に帰った時に偶然幼馴染みの明と出会った。彼は、家が近くで面倒見の良い先輩だった。
「おい、竜介じゃん、お前今遊郭で働いているんだろ」
「あぁ、そうだよ」
「遊女ってやっぱりキレイだろうなぁ」
明は羨ましそうに竜介を見る。
「それは、みんなきれいだよ」
竜介も間抜けな顔で明を見つめる。
「お前、やったのか?」
「やれるわけないだろう、めちゃくちゃ管理されてんだぞ、あいつら。みんな借金しているし相手は南川組だぞ、手を出したら命まで取られる」
二人は、遊女の現実を思い出して身震いする。
「それは、こわいなぁ、本物のやくざは、半端ないと聞く」
「他の妓楼で足抜け騒ぎがあった時、足抜けを手助けしたやつの消息は分からないらしい。その上、足抜けした遊女は、制裁を受けてどこかで便所のように扱われているらしい」
竜介は、伯父の圭太が言ったことを思い出して震える。
「こえー」
竜介の話に明も同意して頷く。
「だから、遊女なんかに関わらない方がいい」
「オッケー、そうだ、将克さんがやっとアメリカから帰って来るらしい。かえって来たらお前も来いよ」
「俺は妓楼を簡単には離れられないから早めに教えてくれ」
「わかった」
そんな後に平太が、妓楼を急に辞めた。理由はいろいろ出たが、下っ端の竜介には本当の事はわからなかった。平太の仕事の穴は大きく、圭太も下僕頭を卒業して侍従になり、竜介も侍従見習いから侍従になった。そして、竜介が一番好きな紅玉の世話係になった。
紅玉の世話係の朝は早い、紅玉自身が朝6時に合気道の練習をして、月水金は大門の外の南川下町診療所に通う。世話係は、その送り迎えをする。きっちりと時間通りに車が迎えに来るので、竜介は大変だった。何度か遅れて支配人に怒られた。
紅玉は平太が世話係だったので、何も困ることはなかったのに新しい世話係は時間にルーズだった。紅玉は世話係の竜介を観察するうちに彼が、時計の見方をよくわかっていないことに気づいた。それで、支配人がデジタルの時計を持たせてようやく仕事が時間通りに回り始めた。
昼食に遅れることはなかったが、バタバタと茨棘に挨拶すると眉根を寄せられることもあり、紅玉は平太の穴は大きいのだとつくづく思っていた。
竜介も好きな紅玉の侍従が1日でも長く続けたいと思って、彼なりに少しずつ頑張って行くのであった。
竜介は、遊郭の仕事だと思って少し馬鹿にしてやって来たが、下僕の仕事は朝6時から玄関前の掃除や中庭の草挽きやラウンジの掃除あらゆるところを掃除する半端なく大変だった。昨日やったと言う言い訳は通らず毎日毎日掃除に明け暮れる。遊女のいる4階は男子禁制で年配の下女か下僕の上の侍従と呼ばれる世話係以外は入れない。侍従の平太は真面目で朝の掃除も下僕と一緒にする。竜介は、そんな平太の事が好きではなかった。彼は侍従で下僕の仕事なんてしないくても良いのにと思い彼の事が理解できなかった。圭太伯父さんも下僕頭なのに朝の掃除もこなす。竜介はいやいや掃除をするのでいつも他の下僕たちに怒られていた。
家に帰るたびに行きたくないと言い続けていたが、貧しい上の子だくさんの実家がそれを許してくれる訳はない。そんな竜介だったが、3年もたつとそこそこ下僕の仕事にも慣れ始めた。平太の下で侍従見習いなって遊女の部屋にお客様や本人が買った商品を届けるようになり見たこともないお菓子などを駄賃の代わりに貰ったりした。遊女は、どの人もきれいで乱暴にしたら骨が折れそうなくらいな人も多かった。
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「おい、竜介じゃん、お前今遊郭で働いているんだろ」
「あぁ、そうだよ」
「遊女ってやっぱりキレイだろうなぁ」
明は羨ましそうに竜介を見る。
「それは、みんなきれいだよ」
竜介も間抜けな顔で明を見つめる。
「お前、やったのか?」
「やれるわけないだろう、めちゃくちゃ管理されてんだぞ、あいつら。みんな借金しているし相手は南川組だぞ、手を出したら命まで取られる」
二人は、遊女の現実を思い出して身震いする。
「それは、こわいなぁ、本物のやくざは、半端ないと聞く」
「他の妓楼で足抜け騒ぎがあった時、足抜けを手助けしたやつの消息は分からないらしい。その上、足抜けした遊女は、制裁を受けてどこかで便所のように扱われているらしい」
竜介は、伯父の圭太が言ったことを思い出して震える。
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竜介の話に明も同意して頷く。
「だから、遊女なんかに関わらない方がいい」
「オッケー、そうだ、将克さんがやっとアメリカから帰って来るらしい。かえって来たらお前も来いよ」
「俺は妓楼を簡単には離れられないから早めに教えてくれ」
「わかった」
そんな後に平太が、妓楼を急に辞めた。理由はいろいろ出たが、下っ端の竜介には本当の事はわからなかった。平太の仕事の穴は大きく、圭太も下僕頭を卒業して侍従になり、竜介も侍従見習いから侍従になった。そして、竜介が一番好きな紅玉の世話係になった。
紅玉の世話係の朝は早い、紅玉自身が朝6時に合気道の練習をして、月水金は大門の外の南川下町診療所に通う。世話係は、その送り迎えをする。きっちりと時間通りに車が迎えに来るので、竜介は大変だった。何度か遅れて支配人に怒られた。
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昼食に遅れることはなかったが、バタバタと茨棘に挨拶すると眉根を寄せられることもあり、紅玉は平太の穴は大きいのだとつくづく思っていた。
竜介も好きな紅玉の侍従が1日でも長く続けたいと思って、彼なりに少しずつ頑張って行くのであった。
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