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第四章
紅玉と貴文新しい門出(2)
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数日後、貴文は、紅玉に1週間後に渡米することを伝える為に『藤ノ井』に上がった。
貴文は良弥と話し合った後に両親や祖母に紅玉とのこれからを相談した。
「紅玉とは将来番になり結婚をする。だが、彼の将来を潰したくない。そして、自分の将来もしっかりと手に入れたい」
「承諾するわ、紅玉ならあなたより医者としても人間としても文句無しだから、私は賛成する」
母親は嬉しそうに話した。
「私は口を挟まない」
祖母はニコニコと笑っていた。
「しっかりとアメリカで、学んで来れば何の問題も起こらない、この2人が認めている紅玉なら大丈夫だ」
無口な職人気質の父親も微笑んでいたので、ほっとして紅玉に会いに『藤ノ井』に行った。
紅玉は、松の位になることが決まった後からが大変だった。梶山様を筆頭に旦那様毎にお祝いの宴を開いて頂いたりした。それは梅の位になった茜凛も竹の位になった茨棘も同じで『藤ノ井』はお祝いムードに包まれた。
お披露目前であったが、既に部屋を松の間に移っている。部屋は紅玉の好みで有る和風仕様になっているのだが、お客様が4、5人で来られても大丈夫なようにお座敷は広めになっていたために前の部屋よりも広くて一人でお客様を待つのに何処に座って落ち着けば良いのかわからずに雰囲気に飲み込まれてしまう。身の置き場がないように立っていた。それでも今日は貴文とは心を通じ合うようになってから久しぶりに会えることが嬉しくて仕方がなかった。
もっと会いたいと思っても彼に無理は言えない立場となった。それが、紅玉には心苦しく心の重荷のようにのしかかっていた。
「おかえりなさいませ、安堂様」
「ただいま戻りました、紅玉。松の位就任おめでとうございます」
いつもと変わらない貴文の優しさに紅玉は嬉しくなる。ただ、少し緊張をしている彼の表情が気にかかる。
「ありがとうございます」
「安堂様も良いことがありましたか?」
貴文は、今日の目的を話さないと前に進めない事を理解はしているが、のどに残る苦さを感じながら紅玉を見つめた。
「あぁ、前から希望していた、アメリカの心臓専門病院に採用されたんだ。来週末に渡米する」
一気に押し流すように言われた貴文のセリフに一瞬紅玉は、事の次第が何もわからずに言葉が出てこなかった。
「……アメリカ、ですか。遠いですね」
「……う……んそうだな、だけど日本にいてもお前に会いに来るにはそれ相応の花代は必要だけどね、お互いの事を信じていれば大丈夫だと思う、イヤ...これじゃ駄目だ…そうじゃないんだ…そう言うことじゃ…ないんだ…あぁ……」
貴文は、支離滅裂に詭弁を弄す自分を情けないと思う。『藤ノ井』の暖簾をくぐるまで考えていた言葉が出てきて焦る。自分の心の半身として思う紅玉を宥めたいと考えて発した言葉を全て取り消して仕切り直して、貴文は紅玉の前に正座してかれの目を見つめる。
「ごめん、言い直すから良く聞いて欲しい。君にはやり遂げたいことがあるんだろ。俺にもそれがある。お互いにそれを成し遂げる為に場所は違うが一緒に耐えるか、一緒に逃避行をするかとしか考えられない俺は非常に情けない。本当は君を連れてアメリカで新婚生活を送りたい。だけど俺は逃げたくないし君にも逃げて欲しいとは思わない。邪魔し合う関係にはなりたくない。新婚生活も2人だけの生活も、もう少し我慢してなぁー、ごめん」
貴文は、顔を上に向けて涙を止めようとしたが止まらない、自分の気持ちをしっかり紅玉に伝えて訴えていた。
紅玉も貴文のお荷物にはなりたくない。松の位の任期は精算迄だけど、清算の時期は松の位自身が決められる。だから、本心では、今辞めて清算したいが、それを言い出すほど紅玉は子供ではなく、彼の考える松の位の責任は非常に重い。
「それじゃ、私が自分の役目を終えたと決めた時に清算します。連絡します。お迎えに来てくれますか?」
貴文の傍に寄り顔を胸に擦り寄せて言った。
「絶対に来るよ、その時にちゃんと番っておけば大学でも勉強に集中できるから良いね」
「はい、此処でお待ちしてます。大学の勉強もがんばります」
「住むところが決まれば葉書を書く。お前も出してくれるか?」
「はい」
2人のこれからは、始まったばかりなのだからと確実に積み上げていきたいと思う。
2人は、深い口づけをした。これで今生の別れではない。お互いの未来を確実に手に入れる為の誓いの口づけだった。
貴文は良弥と話し合った後に両親や祖母に紅玉とのこれからを相談した。
「紅玉とは将来番になり結婚をする。だが、彼の将来を潰したくない。そして、自分の将来もしっかりと手に入れたい」
「承諾するわ、紅玉ならあなたより医者としても人間としても文句無しだから、私は賛成する」
母親は嬉しそうに話した。
「私は口を挟まない」
祖母はニコニコと笑っていた。
「しっかりとアメリカで、学んで来れば何の問題も起こらない、この2人が認めている紅玉なら大丈夫だ」
無口な職人気質の父親も微笑んでいたので、ほっとして紅玉に会いに『藤ノ井』に行った。
紅玉は、松の位になることが決まった後からが大変だった。梶山様を筆頭に旦那様毎にお祝いの宴を開いて頂いたりした。それは梅の位になった茜凛も竹の位になった茨棘も同じで『藤ノ井』はお祝いムードに包まれた。
お披露目前であったが、既に部屋を松の間に移っている。部屋は紅玉の好みで有る和風仕様になっているのだが、お客様が4、5人で来られても大丈夫なようにお座敷は広めになっていたために前の部屋よりも広くて一人でお客様を待つのに何処に座って落ち着けば良いのかわからずに雰囲気に飲み込まれてしまう。身の置き場がないように立っていた。それでも今日は貴文とは心を通じ合うようになってから久しぶりに会えることが嬉しくて仕方がなかった。
もっと会いたいと思っても彼に無理は言えない立場となった。それが、紅玉には心苦しく心の重荷のようにのしかかっていた。
「おかえりなさいませ、安堂様」
「ただいま戻りました、紅玉。松の位就任おめでとうございます」
いつもと変わらない貴文の優しさに紅玉は嬉しくなる。ただ、少し緊張をしている彼の表情が気にかかる。
「ありがとうございます」
「安堂様も良いことがありましたか?」
貴文は、今日の目的を話さないと前に進めない事を理解はしているが、のどに残る苦さを感じながら紅玉を見つめた。
「あぁ、前から希望していた、アメリカの心臓専門病院に採用されたんだ。来週末に渡米する」
一気に押し流すように言われた貴文のセリフに一瞬紅玉は、事の次第が何もわからずに言葉が出てこなかった。
「……アメリカ、ですか。遠いですね」
「……う……んそうだな、だけど日本にいてもお前に会いに来るにはそれ相応の花代は必要だけどね、お互いの事を信じていれば大丈夫だと思う、イヤ...これじゃ駄目だ…そうじゃないんだ…そう言うことじゃ…ないんだ…あぁ……」
貴文は、支離滅裂に詭弁を弄す自分を情けないと思う。『藤ノ井』の暖簾をくぐるまで考えていた言葉が出てきて焦る。自分の心の半身として思う紅玉を宥めたいと考えて発した言葉を全て取り消して仕切り直して、貴文は紅玉の前に正座してかれの目を見つめる。
「ごめん、言い直すから良く聞いて欲しい。君にはやり遂げたいことがあるんだろ。俺にもそれがある。お互いにそれを成し遂げる為に場所は違うが一緒に耐えるか、一緒に逃避行をするかとしか考えられない俺は非常に情けない。本当は君を連れてアメリカで新婚生活を送りたい。だけど俺は逃げたくないし君にも逃げて欲しいとは思わない。邪魔し合う関係にはなりたくない。新婚生活も2人だけの生活も、もう少し我慢してなぁー、ごめん」
貴文は、顔を上に向けて涙を止めようとしたが止まらない、自分の気持ちをしっかり紅玉に伝えて訴えていた。
紅玉も貴文のお荷物にはなりたくない。松の位の任期は精算迄だけど、清算の時期は松の位自身が決められる。だから、本心では、今辞めて清算したいが、それを言い出すほど紅玉は子供ではなく、彼の考える松の位の責任は非常に重い。
「それじゃ、私が自分の役目を終えたと決めた時に清算します。連絡します。お迎えに来てくれますか?」
貴文の傍に寄り顔を胸に擦り寄せて言った。
「絶対に来るよ、その時にちゃんと番っておけば大学でも勉強に集中できるから良いね」
「はい、此処でお待ちしてます。大学の勉強もがんばります」
「住むところが決まれば葉書を書く。お前も出してくれるか?」
「はい」
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2人は、深い口づけをした。これで今生の別れではない。お互いの未来を確実に手に入れる為の誓いの口づけだった。
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