39 / 77
第三章
瑞葵の事情(4)
しおりを挟む
遊女として少しずつ売れ出した瑞葵は、父親の残した資料を整理してそこに記載してあった事柄や人物を丁寧に調査させた。誰がどのように動きどのような役目をして父親を陥れたかを調べた。そして、母親と姉の膣に残った精液のデータは久乃の方で預かってもらっていた。
3年後、瑞葵は妓楼『藤ノ井』の松の位に就いた。
『藤ノ井』では、松の位は看板で実質遊女をまとめるのは遣り手が行った。お客様に見受けされても夫夫間で話し合い通いで勤める人もいたり、瑞葵の時は、前の遣り手が妊娠したので梅の位の村雨が兼任していた。
瑞葵と松の位になって思ったことは、それまで以上に外のお座敷や会合のパートナーなど仕事の幅が広がった。出会う人も多くなり、様々な情報が入ってくる。父親の知り合いで瑞葵も知っている人もいたりするが、瑞葵が保津巳だとバレたことはなかった。それは保津巳の死亡は確定されていたし、人々の記憶から烏丸家自体が薄れていた。
徳田秀樹姉の婚約者を見た時、胸がドキドキした。姉を捨てた男だった。彼もまたその中のひとりだと思っていたから急に話しかけられて驚いた。
「間違いなら謝るが、君は保津巳君だよね」
秀樹は部屋の外れにいた瑞葵に小声で言った。秀樹は自分が唯一愛した女性の烏丸保奈美とそっくりな遊女に目が離せずにいた。親戚の反対で表面上別れて1年後に海外に行って暮らす予定だった彼女の弟に思わず声をかけた。
「えっ」
「大丈夫だよ、ここには商談の関係者以外の日本人は入れない。僕も徳田の家とは別に相手側の企業のボスに同行して久しぶりに日本に帰って来た。君が生きているなら保奈美が生きているのか?そんなことはないのは知っている。高校の友人の手引きで彼女の遺体は警察の遺体安置所で確認した。だけどその時に君だと言われた死体の確認もさせられたんだ。その時は報道が凄くて違うと思ったが、わからないと言ったそれで良いのか凄く悩んだ」
瑞葵は、保奈美が生きていた頃に彼女と笑いながら揶揄って可愛いがってくれた秀樹を見つめた。
「そうなんですか?秀樹さんお久しぶりです。姉さんの遺体を見たのですか?結構損傷が酷くて見られた物ではないと聞いていたんですが」
「あぁ、酷かったけど顔が下を向いていたから顔は酷くはなかった。君が生きていてくれて良かったよ。君から一発は殴られないと思っていた。保奈美をあの前の日に連れて家を出たら良かったと後悔している。お義母さんが、落ち着くまではお父様がいた家に居たいと言う保奈美を説得出来なかった。だから1年後に再会するのを楽しみにアメリカに渡った」
「1年後?」
「そう、1年後に僕の両親もアメリカで挙式することを認めてくれた。だってお義父さんがあんな風な事をするなんて思っていなかった、時間がかかるが、お金を貸す予定でいた田阪氏が詳しく調査できるまで融資を止めたその事はお義父さんも了承していたと言って田阪氏が烏丸保高の自殺に異議を裁判所に申し立てた。だからそのうちに真相を明かすだろうと考えていた。マスコミ回避すためと我が家のうるさ方の親戚を黙らせるために保奈美とは相談して決めていた」
「そう、俺秀樹さんを信じれなかった。姉さんが、機嫌が良いのを少し疑って見ていたんです」
「そうだよね、保奈美は君を守ると言っていたから君には心配かけないよう頑張っていたんだ」
「秀樹さん、今日の事はどうか内密にして欲しい」
「わかった。俺は明日から後3年はアメリカだ。その後もそのままアメリカで働くから心配しないで」
「秀樹さんご結婚は?」
保津巳は、秀樹の手に光る指輪を見て聞いた。
「うん、これ遺体につけてあげて、帰る時に外した。一応犯罪被害者だからって友人に言われたから」
秀樹の左手には結婚指輪と胸にも同じ指輪がネックレスに通してあった。
「ありがとうございます」
「いいや、俺は保奈美が好きだった。2人で義父さん義母さんの様な慎ましい家庭を作りたかった。それだけだよ。何か有れば連絡してくれれば嬉しいから」
「わかりました。お元気で」
瑞葵が支配人に呼ばれて別れた。『姉様の秀樹さんと会ったよ。今でも姉様を愛しているって言ってたよ。まっさらな白いウェディングドレスを着たいって言っていたね。やっぱり真相は絶対暴く』陥れた者達を許せないと思い、瑞葵は復讐を誓った。
3年後、瑞葵は妓楼『藤ノ井』の松の位に就いた。
『藤ノ井』では、松の位は看板で実質遊女をまとめるのは遣り手が行った。お客様に見受けされても夫夫間で話し合い通いで勤める人もいたり、瑞葵の時は、前の遣り手が妊娠したので梅の位の村雨が兼任していた。
瑞葵と松の位になって思ったことは、それまで以上に外のお座敷や会合のパートナーなど仕事の幅が広がった。出会う人も多くなり、様々な情報が入ってくる。父親の知り合いで瑞葵も知っている人もいたりするが、瑞葵が保津巳だとバレたことはなかった。それは保津巳の死亡は確定されていたし、人々の記憶から烏丸家自体が薄れていた。
徳田秀樹姉の婚約者を見た時、胸がドキドキした。姉を捨てた男だった。彼もまたその中のひとりだと思っていたから急に話しかけられて驚いた。
「間違いなら謝るが、君は保津巳君だよね」
秀樹は部屋の外れにいた瑞葵に小声で言った。秀樹は自分が唯一愛した女性の烏丸保奈美とそっくりな遊女に目が離せずにいた。親戚の反対で表面上別れて1年後に海外に行って暮らす予定だった彼女の弟に思わず声をかけた。
「えっ」
「大丈夫だよ、ここには商談の関係者以外の日本人は入れない。僕も徳田の家とは別に相手側の企業のボスに同行して久しぶりに日本に帰って来た。君が生きているなら保奈美が生きているのか?そんなことはないのは知っている。高校の友人の手引きで彼女の遺体は警察の遺体安置所で確認した。だけどその時に君だと言われた死体の確認もさせられたんだ。その時は報道が凄くて違うと思ったが、わからないと言ったそれで良いのか凄く悩んだ」
瑞葵は、保奈美が生きていた頃に彼女と笑いながら揶揄って可愛いがってくれた秀樹を見つめた。
「そうなんですか?秀樹さんお久しぶりです。姉さんの遺体を見たのですか?結構損傷が酷くて見られた物ではないと聞いていたんですが」
「あぁ、酷かったけど顔が下を向いていたから顔は酷くはなかった。君が生きていてくれて良かったよ。君から一発は殴られないと思っていた。保奈美をあの前の日に連れて家を出たら良かったと後悔している。お義母さんが、落ち着くまではお父様がいた家に居たいと言う保奈美を説得出来なかった。だから1年後に再会するのを楽しみにアメリカに渡った」
「1年後?」
「そう、1年後に僕の両親もアメリカで挙式することを認めてくれた。だってお義父さんがあんな風な事をするなんて思っていなかった、時間がかかるが、お金を貸す予定でいた田阪氏が詳しく調査できるまで融資を止めたその事はお義父さんも了承していたと言って田阪氏が烏丸保高の自殺に異議を裁判所に申し立てた。だからそのうちに真相を明かすだろうと考えていた。マスコミ回避すためと我が家のうるさ方の親戚を黙らせるために保奈美とは相談して決めていた」
「そう、俺秀樹さんを信じれなかった。姉さんが、機嫌が良いのを少し疑って見ていたんです」
「そうだよね、保奈美は君を守ると言っていたから君には心配かけないよう頑張っていたんだ」
「秀樹さん、今日の事はどうか内密にして欲しい」
「わかった。俺は明日から後3年はアメリカだ。その後もそのままアメリカで働くから心配しないで」
「秀樹さんご結婚は?」
保津巳は、秀樹の手に光る指輪を見て聞いた。
「うん、これ遺体につけてあげて、帰る時に外した。一応犯罪被害者だからって友人に言われたから」
秀樹の左手には結婚指輪と胸にも同じ指輪がネックレスに通してあった。
「ありがとうございます」
「いいや、俺は保奈美が好きだった。2人で義父さん義母さんの様な慎ましい家庭を作りたかった。それだけだよ。何か有れば連絡してくれれば嬉しいから」
「わかりました。お元気で」
瑞葵が支配人に呼ばれて別れた。『姉様の秀樹さんと会ったよ。今でも姉様を愛しているって言ってたよ。まっさらな白いウェディングドレスを着たいって言っていたね。やっぱり真相は絶対暴く』陥れた者達を許せないと思い、瑞葵は復讐を誓った。
10
あなたにおすすめの小説
交際0日婚の溺愛事情
江多之折(エタノール)
BL
死にたくはない。でも、生きたくもない。ふらふらと彷徨う根無し草は、世界の怖さを知っている。救いの手は、選ばれた者にだけ差し伸べられることも知っている。
だから緩やかに終わりを探して生きていた。
──たった数回の鬼ごっこを経験するまでは。
誠実すぎて怖い人は、4回目の顔合わせで僕の夫となる。
そんな怖がりな男と誠実な男の、結婚生活の始まり。
■現実だけど現実じゃない、そんな気持ちで読んでください。
■家庭に関してトラウマを抱えている方は読まない方が良いと思います。
落としたのは化粧じゃなく、みんなの心でした
444
BL
『醜い顔…汚らしい』
幼い頃、実母が病気によって早くに亡くなった数年後に新しい義母からそう言われたシリルは、その言葉が耳に残って16歳となった今も引きずっていた。
だが、義母のその言葉は真っ赤な嘘でシリルはとても美しかった。ただ前妻の息子であるシリルに嫉妬した結果こぼした八つ当たりの言葉であったのをシリルは知らずに、義母のいう醜い顔を隠すために化粧をする。
その結果、彼は化粧によって本当に醜い顔になってしまった。そんな彼が虐げられながらも徐々に周囲を絆す話
暴力表現があるところには※をつけております
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とスタッフ達とBL営業をして腐女子や腐男子たまに普通のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる