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さらば愛しい家族よ
しおりを挟む「と、いうわけで、お父さん、お母さん。 これが証明よ!」
「…な、なるほどな…。 お前の話、よく分かったよ…。」
3日後、新聞は私の話題でもちきりだった。
『ロト11、何故100口購入出来たのか!?』
『謎の人物、一夜にして大富豪に!!』
『購入者は神通力の持ち主だった?!』
ロト11で大金を手にする予定の私は、早速次の日、上司に辞表を叩きつけ、両親に事情を説明し、悠々自適なニートライフをエンジョイした。
はじめは、烈火のごとく怒っていた両親だったが、いざロト11の発表日に、目玉が飛び出るほどの大金を見せつけられ、流石に納得せざるをえなかったらしい。
「この途方もない金と、お前のその、どこか神秘的な雰囲気…。 信じるより他、無いんだろうな…。」
「あ、あなた!?」
「さっすが~、お父さんは話が分かるッ!」
「あ、あたしは反対ですよ! 魔神のいる異世界なんて! そんな危険なところ、女の子1人行って、何になるっていうの!」
「でも、お母さん。 私に『人の役に立つ人間になれ』って、昔から…。」
「揚げ足をとるんじゃありません! 次元が違うでしょう!
し
死んでしまうかもしれないのよ!」
家中の、時が、止まった。
お母さん、泣いてる…。
お父さんも、涙ぐんでる…。
違う。
違うんだよ。
そんな顔、させたかったわけじゃなかったんだよ。
だって私、たっくさんお金、持ってきたじゃん?
それで悠々自適な、夢のような老後、送れるじゃん?
お父さんも、お母さんも、笑って見送ってくれるって、思ってたのに………。
あ、あの柱のキズ。
私の背の高さ、測って付けてたものだ…。
あの台所は、お母さんが、毎朝お弁当作ってくれた場所だ。
朝も夜も、その日あった出来事を、面白おかしく、家族揃って、ごはん食べて、お喋りした場所だ…。
あの縁側は、私がまだ小さい頃、家族揃って花火した場所だ。
お昼は、お母さんがそーめんとスイカを切ってくれて、お父さんと、種の飛ばしッこ、した場所だ…。
気づけば、私も泣いていた。
泣くなんて、可愛いもんじゃない。
鼻水垂れ流しの、号泣だ。
いい歳して、みっともない。
お母さんが、抱きしめてくれた。
お父さんも、抱きしめてくれた。
しばらく3人で、涙が枯れるほど泣いた…。
………どのくらい、たったんだろう…。
もう、外は夕暮れだ…。
「…私だって、本当は、行きたくないよ………。」
お父さんと、お母さんが、頷く。
「…せっかく、大金持ちになったんだもん。
このまま、ニートライフ満喫したいよ………。」
バカやろう。
お父さんが呟く。
「でも、でもさ! 私が行かなかったら、何千、何万の、命がさ………!」
いのちが。
「………行ってこい…。」
「…あなた…。」
「行って、魔神とやらを倒して、人々を幸せにしてこい。 人の役に立ってこい。」
「……うん!」
「ほら。 母さんも…。」
「……身体には、気をつけるのよ…。」
「うん。」
「治安の悪い所には、1人で行かないのよ…。
好き嫌いせず、何でも食べて…」
「お母さん、私、もう、子供じゃないよ。」
「親にとって、子供はいつまでたっても子供です!
……とにかく、気をつけて! お母さん、あんたが、元気でさえいれば、幸せなんだから……!」
「うん…。 うん…。」
あなたがた かぞくを ひきはなしてしまい
こころぐるしく おもいます………。
そして ありがとう…。 アキラ………。
わたしたちの せかいを そんなに おもんばかってくれて………。
あなたがたに めがみの しゅくふくが あらんことを………。
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