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旅の仲間達
しおりを挟む「お、お父様っ!」
ダッと、黄金色の髪の女の子が、壁際でのびている男の人に向かって駆け出した。
…ひどい出血…。
私は2Lの『清水』と『アルコール消毒液』、『ガーゼ』と『包帯』を『創造そうぞう』して、女の子に渡した。
「あ、ありがとうございます…!」
「あの…。」
私と女の子が、男性を介抱していると、くだんのマルス様が話しかけてきた。
「ありがとうございました。 君のおかげで、助かりました。」
そう言って、屈託の無い笑顔を見せる彼。
髪と瞳は、光りに透かした珈琲色。
松明の火に照らされる度に、琥珀色の遊色が綺麗に遊んでいた。
髪と同色の大きな瞳は琥珀の光彩が輝き、引き締まった唇が印象的な、象牙色の顔立ちは、あどけなさの中にも凛々しさもかいまみえて、少年と大人の境目の、一種独特な雰囲気をたずさえていた。
身体も、幼いながらもがっしりと鍛えあげられていて、逞しく隆起している。
「おい、オレからも礼を言うぜ。 ありがとよ。
こいつ、根っからのお人好しの、とんだ甘ちゃんときたもんだからな。 助かったぜ。」
「あ、彼はリュイン。 東の武族で、武術の達人なんだ。 こんなこと言って、少し、世間ずれしてるけど、優しい人だよ。 パーティーの兄貴分なんです。」
「よろしくなっ。」
快活に話しかけてきた青年は、黒髪を、いや、正確には、刃やいばの切っ先に、銀翠色が溶け込んだ様な、不思議な髪色をしている。
見ようによっては翠みどりにも光るサラサラの髪を背中まで伸ばし、一纏めに括っていた。
スッと筋の通った鼻筋に、薄い唇。
猛禽類を想わせる、鋭い眼光の光彩はやはり、銀翠色を溶かした刃。
しなやかな筋肉を纏った、均整のとれた身体には、無駄な脂肪など、一欠片も無い。
「………俺からも…、礼を言わせてもらおう………。」
「彼の名前はクロウリー。 今は、魔封じの呪いで、呪文を封じ込められているけれど、凄腕の魔法使いなんだ。
ちょっと、無口で、何を考えてるか、解んないと思うけど、大丈夫! 真面目な性格なんだ。
ただ、傷つきやすいから、気をつけてあげてね…?」
「………。」
今の説明で、早速若干傷ついたご様子の彼は、これ以上ないほど、整った容貌をしていた。
二重の切れ長の目、高く通った鼻筋、甘やかな唇…。
まさに、神が造りだした芸術品だ。
それは、彼が、『ホムンクルス』という、人の手で『創』られた、理想像足る『物もの』だからなのか…。
髪は、咲き初めのラベンダー。
瞳も同色で、下に向かうに従って、花弁が積もってゆくように、その色を深く、濃くしていった。
まるで、ミロの彫刻の様に、その肢体迄もが完全なる美の雛型だった。
しかし、その顔と肢体に、無数に刻み込まれている縫い傷が、彼がどうしようもなく、人ではないことを物語り、また、彼の病的な魅力を際立たせてもいた。
それまで、壁際で延びていた父親を介抱していた、さっきの女の子が、笑顔で此方に走りよってきた。
肌は大理石のように白く、唇はルビーのように紅く、髪は黄金色に輝き、上品にくるくると巻かれている。
アクアマリンと、ピンクダイヤモンドの光彩が、優雅に舞い美しい。
瞳は、サファイア、マリンブルー、アクアマリン。
顔立ちは、小動物じみた、どこまでも可愛らしい。
これぞ、絶世の美少女。
傾国の愛くるしさだった。
「あの、先程は助けていただいて、ありがとうございます。 ご挨拶が、遅れて、申し訳ございませんでした。
おかげさまで、お父様も、たいしたことは、なさそうです。
わたくしの名は
「随分と楽しそうではないか…。」
彼女の鈴を転がすように愛くるしい声を遮って、地の底を這うようなバリトンボイスが耳に響く。
背筋に、ヒヤリと、厭な汗が流れるのが解った。
この、圧倒的存在感。
この、圧倒的威圧感。
奴だ。
魔神アスタロトーーー。
◆◆◆
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