魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫

文字の大きさ
34 / 75
幼少期

33~ステラの話4~

しおりを挟む
「潰えた?死なない?俺、生きられる?」
死なない。本当に?

「…おそらく」
おそらく、やめて。不安になんだろうが。

「なんで、死ぬの?」
死因大事。
事故なら防げるし。

死。
以前、俺が経験したこと。
今世こそ幸せに生きて寿命で死ぬんだと心に決めているんだ。
どんな理由であっても諦めないぞ。


「シルヴァ様のゲームでの死因は…魔力枯渇症です」

なんぞ?

「魔力枯渇症…っていうのは、つまり魔力が無くなって死ぬと?」
そういえば以前リュカに教えてもらったな。
魔力が無くなると身体機能が弱っていって死ぬんだと。
まさか、俺がそれで死ぬとは。

「何歳で死ぬって?」

「10歳です」

「げほっ、なん、え?10歳?」

今年じゃねえかっ!
もう、11歳になるよ?!俺、本当に大丈夫なの?!

「はい、ですから大丈夫なのです。ゲームでは、すでに亡くなっているので。シルヴァ様も…そして奥様も」

は?


――

彼は、その後リュカと共に暮らすことになった。
弟のような彼を今度こそ助けたいと思ったのだ。
「どうしてここで暮らしているの?」

最初はコミュニケーションがままならなかった彼も一緒に過ごすうちに慣れてきたようで今では時折話しかけてくるようになった。

「父親とこれ以上一緒にいられなくてね。あーその…僕には弟がいたんだが…弟は、生まれながらに魔力が少なくてね。おまけに成長するにつれ魔力を吸収してしまうことが分かったんだ。母親はそれでも、ともにいたいと弟の手を取った。それが悪かった。弟は魔力の制御なんて知らない。母親も、そんなに魔力が取られると思わなかったんだろう。だんだんと体が弱っていった母親は僕が13歳の頃に死んでしまった」

そこまで言って顔を覆ったリュカは「僕のせいなんだ」とつぶやいた。

「母の死を知った僕は父と共に弟を攻め立てた。父は、荒れに荒れたよ。毎日お酒ばかりで暴力も振るうようになった。使用人も次から次へいなくなって、家はもうめちゃくちゃだった。僕も悲しくて感情の制御ができなかったんだ。誰かのせいにしたかった。弟に酷いことを言ったんだ…弟は以前に増して部屋にこもるようになった。食事も取っていないみたいだった。弟は魔力が少ないんだ。それはわかっていたはずなのに」

「見ないふりをしてしまった」
最低だろう、と吐き捨てるリュカに彼は何も言えなかった。

「二か月後、あまりにも姿を見せないから使用人がドアを叩いたんだ。返答がなかったから僕のところにその使用人が来た。気配がなかった。最初は寝ているんだろうと思った。それかこの家が嫌になって逃げたんだろうと…それならどれだけ良かったか。…すでに死んでいたよ。誰も気付かなかった。誰も気にかけなかった。誰も助けようとしなかった」

「弟は、あんなに痩せていたのに。何度も助けられるタイミングはあったんだ。せめて僕だけは弟を見るべきなのに!僕は…弟を見殺しにしたんだ」

――
果たして大丈夫と言えるのか。

「大丈夫です。だって奥様、亡くなっていないですし。リュカ様との関係だって悪くないでしょう?それに今のシルヴァ様は、泣き寝入りするとは思えないです」

泣き寝入りって…いや、しないけどさぁ。全力で立ち向かう所存だけども。

だって、俺のせいじゃないし。責任はあるかもしれないけどすべてが俺の、いや僕のせいではないだろ。

「つまり、本当に大丈夫なんだな?俺、ゴホン…僕は死なないし、リュカも伯爵家を出ないと?」

「私も頑張ったんですよ?奥様がシルヴァ様に触れないようにあらかじめ伝えておいたり、シルヴァ様に魔道具をつけておいたり…」

そんなどや顔をされても…ちょっと待て。
魔道具?

「あっ!」

これ、ステラがつけたのか!
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

妖精です、囲われてます

うあゆ
BL
僕は妖精 森で気ままに暮らしていました。 ふと気づいたら人間に囲まれてました。 でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。 __________ 妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精 なんやかんやお互い幸せに暮らします。

異世界オークションで売られた俺、落札したのは昔助けた狼でした

うんとこどっこいしょ
BL
異世界の闇オークションで商品として目覚めた青年・アキラ。 獣人族たちに値踏みされ、競りにかけられる恐怖の中、彼を千枚の金貨で落札したのは、銀灰色の髪を持つ狼の獣人・ロウだった。 怯えるアキラに、ロウは思いがけない言葉を告げる。 「やっと会えた。お前は俺の命の恩人だ」 戸惑うアキラの脳裏に蘇るのは、かつて雨の日に助けた一匹の子狼との記憶。 獣人世界を舞台に、命の恩人であるアキラと、一途に想い続けた狼獣人が紡ぐ、執着と溺愛の異世界BLロマンス。 第一章 完結 第二章 完結

『悪の幹部ですが、正義のヒーローの愛が重すぎて殉職しそうです』

るみ乃。
BL
世界を脅かす悪の組織『デッド・エンド』。 その幹部として恐れられる「冷徹な死神」シャドウ…… しかしその正体は、組織壊滅を目的に潜入中の捜査官・瀬戸だった。 悪役を演じつつ任務に励む日々の中、彼の前に立ちはだかる最大の難敵は、正義のヒーロー「ルミエール」こと天道光希。 敵同士のはずなのに、なぜか光希は瀬戸を命がけで守り、 命がけで溺愛してくる。 爽やかさゼロ、純度100%、とにかく重い愛情に振り回されながら、 瀬戸は今日も正義と悪の狭間で右往左往。 これは、逃げたいのに逃げられない潜入捜査官と、愛が重すぎるヒーローが織りなす、甘くて騒がしいBLラブコメ。

平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます

クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。 『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。 何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。 BLでヤンデレものです。 第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします! 週一 更新予定  ときどきプラスで更新します!

囚われた元王は逃げ出せない

スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた そうあの日までは 忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに なんで俺にこんな事を 「国王でないならもう俺のものだ」 「僕をあなたの側にずっといさせて」 「君のいない人生は生きられない」 「私の国の王妃にならないか」 いやいや、みんな何いってんの?

魔王様の執着から逃れたいっ!

クズねこ
BL
「孤独をわかってくれるのは君だけなんだ、死ぬまで一緒にいようね」 魔王様に執着されて俺の普通の生活は終わりを迎えた。いつからこの魔王城にいるかわからない。ずっと外に出させてもらってないんだよね 俺がいれば魔王様は安心して楽しく生活が送れる。俺さえ我慢すれば大丈夫なんだ‥‥‥でも、自由になりたい 魔王様に縛られず、また自由な生活がしたい。 他の人と話すだけでその人は罰を与えられ、生活も制限される。そんな生活は苦しい。心が壊れそう だから、心が壊れてしまう前に逃げ出さなくてはいけないの でも、最近思うんだよね。魔王様のことあんまり考えてなかったって。 あの頃は、魔王様から逃げ出すことしか考えてなかった。 ずっと、執着されて辛かったのは本当だけど、もう少し魔王様のこと考えられたんじゃないかな? はじめは、魔王様の愛を受け入れられず苦しんでいたユキ。自由を求めてある人の家にお世話になります。 魔王様と離れて自由を手に入れたユキは魔王様のことを思い返し、もう少し魔王様の気持ちをわかってあげればよかったかな? と言う気持ちが湧いてきます。 次に魔王様に会った時、ユキは魔王様の愛を受け入れるのでしょうか?  それとも受け入れずに他の人のところへ行ってしまうのでしょうか? 三角関係が繰り広げる執着BLストーリーをぜひ、お楽しみください。 誰と一緒になって欲しい など思ってくださりましたら、感想で待ってますっ 『面白い』『好きっ』と、思われましたら、♡やお気に入り登録をしていただけると嬉しいですっ 第一章 魔王様の執着から逃れたいっ 連載中❗️ 第二章 自由を求めてお世話になりますっ 第三章 魔王様に見つかりますっ 第四章 ハッピーエンドを目指しますっ 週一更新! 日曜日に更新しますっ!

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

処理中です...