魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫

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青年期

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「この椅子を取り敢えず2つ…あとこの机。あとは…」
どんどん多くなっていく荷物に1人で持っていける気がしない。
トラックみたいなものってあるんだろうか。
「…これって配達とかってしてもらえるんでしょうか?」
恐る恐る聞くとセレフィアさんは微笑んだ。

「ええ、うちの社員に空間魔法を使えるものがおりますから、お家までお運びいたしますわ。ただ、その場合運搬料がかかってしまいますけれど。それでも大丈夫であれば」

おお、そんな便利な魔法が。
俺も使えればなぁ。


これから暮らす家は内見した感じ大体16畳くらいだった。一人で住むには広いが二人ならちょうどいいだろう。

伯爵邸のように、石材や木材が使われているわけではなく、すべて木でできた家だ。
街の家も見た感じほとんど木材。温かみのある家々が連なっている。

火災が起きたら怖いな、とは思うもののどうせ魔法が解決してくれるのだろう。
俺の家にはそんな機能はないので、彼が来るまでは間違っても火事なんか起きないでくれと願うばかりだ。


「買ったものなんですけど、明日運んでいただけますか?また、明日来ますので」

「ええ、大丈夫ですよ。明日は、ほかのものもおりますし」

結構、値段が張ったので所持金の2割が消えた。
ただ、どうせ必要になるものだ。
初期費用はかかるものである。


ほくほく顔でお店を出ると空はもうすっかり日が落ちていた。


さて、今日はどこに泊まろう。

セレフィアさんに聞けば良かったな。
お腹もすいてきたし…今日は、家を出る前に食べた朝食のみだったからな。
お腹をさすりながら頭に浮かんだのは、昼間の美味しそうな肉。

そうだっ、今度こそあれを食べなくてはっ!!

さっそく、来た道を戻り食べ損ねた串焼きの屋台へ。



「親仁っ!!まだ、肉残ってる?」
息を切らしながら尋ねると親仁は目を見開きジーっとこちらを凝視してくる。

あ、そうか認識阻害かかってるから。
かといってフードを外すのも憚られる。

「おっ、昼間の坊主だな。残ってるぜ。金は用意できたか?」
どうやら、昼間に来た客だとわかったらしい。
よくわかったな。
あんまり効果の強いものじゃないのだろうか。



お金は先ほど崩したばかりだ。

得意げに銅貨三枚を見せる。

すると、親仁はにんまり笑い「はいよ、串焼き二本な」と湯気の立つ串焼きを差し出してくる。

うまそうだ。思わずじゅるりとよだれがこぼれそうになる。

いただきますっ!

うっま!お腹がすいてるのも相まって今まで食べたご飯で一番うまい。
柔らかな肉によく合うソース。
スパイスも効いていてお酒が飲みたくなる。
一心不乱に食べていると視線を感じた。

顔を上げると親仁と目が合った。
何だろうか。

「ああ、すまん。いい食いっぷりだなぁと思ってよ」
親仁は照れたように口元をかいた。

「もう一本食うか?おまけしてやるよ」

マジで?!食う食う!!

三本目を食べながらはたと止まってしまう。
…この世界はBLゲームだと聞いたが、この親仁は関係ないよな。

親仁はにこにこしながら肉を焼いている。

うん、関係ないな。
あれは俺を子供のように思って優しくしてくれているんだろう。
心の中で謝りながら食べることに集中することにした。


あっという間に完食して、親仁に聞きたかったことを尋ねた。

「今日はこの辺りで一泊しようと思ってるんだけど、どっかいいとこない?」

「うーん。そうだな、ここらなら「蒼星のやどり木」がいいな。あそこは飯が旨いんだ」

親仁が言うなら間違いないのだろう。
今夜はそこに決まりだな。

――
親仁に聞いた場所に歩いていくと蒼色の建物が見えた。
おお、まさしく蒼星だな。

周りが茶色の建物だからよく目立っている。

一階が食堂で二階が宿屋になっているらしい。

そっと扉を開くとカウンター向こうにいる女性が「いらっしゃい」と声をかけてきた。

一泊泊まれるか聞くと、一部屋空いているというのでここに決める。

朝の食事付きで銀貨4枚。
大体、日本円でいうと四千円くらいか。
食堂の人々を見る感じ冒険者が多いな。みんな和気あいあいと食事を楽しんでいる。
明日の朝食が楽しみだ。

一階の食堂を通り過ぎ、二階へ。
部屋に入ると木製のベッドとそのわきに小さなテーブルが目に入った。
宿屋の相場は分からないが掃除も行き届いているしいいところなのだろう。

一泊するだけだしな。
そうしてとにかくもう寝てしまおうとベッドの方へふらふら歩く。
思ったより疲れていたらしい。

そこまでの記憶はあるのだが、目を開けたらもう朝だった。
やべ、体を綺麗にせず寝てしまった。

…まあ、そこまで汚れてなかったし?
ベッドも見た感じ綺麗なままだ。大丈夫だろう。

と、そこで新たな疑問が。
風呂とかってどうするんだろう。
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