41 / 75
青年期
40
しおりを挟む
「この椅子を取り敢えず2つ…あとこの机。あとは…」
どんどん多くなっていく荷物に1人で持っていける気がしない。
トラックみたいなものってあるんだろうか。
「…これって配達とかってしてもらえるんでしょうか?」
恐る恐る聞くとセレフィアさんは微笑んだ。
「ええ、うちの社員に空間魔法を使えるものがおりますから、お家までお運びいたしますわ。ただ、その場合運搬料がかかってしまいますけれど。それでも大丈夫であれば」
おお、そんな便利な魔法が。
俺も使えればなぁ。
これから暮らす家は内見した感じ大体16畳くらいだった。一人で住むには広いが二人ならちょうどいいだろう。
伯爵邸のように、石材や木材が使われているわけではなく、すべて木でできた家だ。
街の家も見た感じほとんど木材。温かみのある家々が連なっている。
火災が起きたら怖いな、とは思うもののどうせ魔法が解決してくれるのだろう。
俺の家にはそんな機能はないので、彼が来るまでは間違っても火事なんか起きないでくれと願うばかりだ。
「買ったものなんですけど、明日運んでいただけますか?また、明日来ますので」
「ええ、大丈夫ですよ。明日は、ほかのものもおりますし」
結構、値段が張ったので所持金の2割が消えた。
ただ、どうせ必要になるものだ。
初期費用はかかるものである。
ほくほく顔でお店を出ると空はもうすっかり日が落ちていた。
さて、今日はどこに泊まろう。
セレフィアさんに聞けば良かったな。
お腹もすいてきたし…今日は、家を出る前に食べた朝食のみだったからな。
お腹をさすりながら頭に浮かんだのは、昼間の美味しそうな肉。
そうだっ、今度こそあれを食べなくてはっ!!
さっそく、来た道を戻り食べ損ねた串焼きの屋台へ。
「親仁っ!!まだ、肉残ってる?」
息を切らしながら尋ねると親仁は目を見開きジーっとこちらを凝視してくる。
あ、そうか認識阻害かかってるから。
かといってフードを外すのも憚られる。
「おっ、昼間の坊主だな。残ってるぜ。金は用意できたか?」
どうやら、昼間に来た客だとわかったらしい。
よくわかったな。
あんまり効果の強いものじゃないのだろうか。
お金は先ほど崩したばかりだ。
得意げに銅貨三枚を見せる。
すると、親仁はにんまり笑い「はいよ、串焼き二本な」と湯気の立つ串焼きを差し出してくる。
うまそうだ。思わずじゅるりとよだれがこぼれそうになる。
いただきますっ!
うっま!お腹がすいてるのも相まって今まで食べたご飯で一番うまい。
柔らかな肉によく合うソース。
スパイスも効いていてお酒が飲みたくなる。
一心不乱に食べていると視線を感じた。
顔を上げると親仁と目が合った。
何だろうか。
「ああ、すまん。いい食いっぷりだなぁと思ってよ」
親仁は照れたように口元をかいた。
「もう一本食うか?おまけしてやるよ」
マジで?!食う食う!!
三本目を食べながらはたと止まってしまう。
…この世界はBLゲームだと聞いたが、この親仁は関係ないよな。
親仁はにこにこしながら肉を焼いている。
うん、関係ないな。
あれは俺を子供のように思って優しくしてくれているんだろう。
心の中で謝りながら食べることに集中することにした。
あっという間に完食して、親仁に聞きたかったことを尋ねた。
「今日はこの辺りで一泊しようと思ってるんだけど、どっかいいとこない?」
「うーん。そうだな、ここらなら「蒼星のやどり木」がいいな。あそこは飯が旨いんだ」
親仁が言うなら間違いないのだろう。
今夜はそこに決まりだな。
――
親仁に聞いた場所に歩いていくと蒼色の建物が見えた。
おお、まさしく蒼星だな。
周りが茶色の建物だからよく目立っている。
一階が食堂で二階が宿屋になっているらしい。
そっと扉を開くとカウンター向こうにいる女性が「いらっしゃい」と声をかけてきた。
一泊泊まれるか聞くと、一部屋空いているというのでここに決める。
朝の食事付きで銀貨4枚。
大体、日本円でいうと四千円くらいか。
食堂の人々を見る感じ冒険者が多いな。みんな和気あいあいと食事を楽しんでいる。
明日の朝食が楽しみだ。
一階の食堂を通り過ぎ、二階へ。
部屋に入ると木製のベッドとそのわきに小さなテーブルが目に入った。
宿屋の相場は分からないが掃除も行き届いているしいいところなのだろう。
一泊するだけだしな。
そうしてとにかくもう寝てしまおうとベッドの方へふらふら歩く。
思ったより疲れていたらしい。
そこまでの記憶はあるのだが、目を開けたらもう朝だった。
やべ、体を綺麗にせず寝てしまった。
…まあ、そこまで汚れてなかったし?
ベッドも見た感じ綺麗なままだ。大丈夫だろう。
と、そこで新たな疑問が。
風呂とかってどうするんだろう。
どんどん多くなっていく荷物に1人で持っていける気がしない。
トラックみたいなものってあるんだろうか。
「…これって配達とかってしてもらえるんでしょうか?」
恐る恐る聞くとセレフィアさんは微笑んだ。
「ええ、うちの社員に空間魔法を使えるものがおりますから、お家までお運びいたしますわ。ただ、その場合運搬料がかかってしまいますけれど。それでも大丈夫であれば」
おお、そんな便利な魔法が。
俺も使えればなぁ。
これから暮らす家は内見した感じ大体16畳くらいだった。一人で住むには広いが二人ならちょうどいいだろう。
伯爵邸のように、石材や木材が使われているわけではなく、すべて木でできた家だ。
街の家も見た感じほとんど木材。温かみのある家々が連なっている。
火災が起きたら怖いな、とは思うもののどうせ魔法が解決してくれるのだろう。
俺の家にはそんな機能はないので、彼が来るまでは間違っても火事なんか起きないでくれと願うばかりだ。
「買ったものなんですけど、明日運んでいただけますか?また、明日来ますので」
「ええ、大丈夫ですよ。明日は、ほかのものもおりますし」
結構、値段が張ったので所持金の2割が消えた。
ただ、どうせ必要になるものだ。
初期費用はかかるものである。
ほくほく顔でお店を出ると空はもうすっかり日が落ちていた。
さて、今日はどこに泊まろう。
セレフィアさんに聞けば良かったな。
お腹もすいてきたし…今日は、家を出る前に食べた朝食のみだったからな。
お腹をさすりながら頭に浮かんだのは、昼間の美味しそうな肉。
そうだっ、今度こそあれを食べなくてはっ!!
さっそく、来た道を戻り食べ損ねた串焼きの屋台へ。
「親仁っ!!まだ、肉残ってる?」
息を切らしながら尋ねると親仁は目を見開きジーっとこちらを凝視してくる。
あ、そうか認識阻害かかってるから。
かといってフードを外すのも憚られる。
「おっ、昼間の坊主だな。残ってるぜ。金は用意できたか?」
どうやら、昼間に来た客だとわかったらしい。
よくわかったな。
あんまり効果の強いものじゃないのだろうか。
お金は先ほど崩したばかりだ。
得意げに銅貨三枚を見せる。
すると、親仁はにんまり笑い「はいよ、串焼き二本な」と湯気の立つ串焼きを差し出してくる。
うまそうだ。思わずじゅるりとよだれがこぼれそうになる。
いただきますっ!
うっま!お腹がすいてるのも相まって今まで食べたご飯で一番うまい。
柔らかな肉によく合うソース。
スパイスも効いていてお酒が飲みたくなる。
一心不乱に食べていると視線を感じた。
顔を上げると親仁と目が合った。
何だろうか。
「ああ、すまん。いい食いっぷりだなぁと思ってよ」
親仁は照れたように口元をかいた。
「もう一本食うか?おまけしてやるよ」
マジで?!食う食う!!
三本目を食べながらはたと止まってしまう。
…この世界はBLゲームだと聞いたが、この親仁は関係ないよな。
親仁はにこにこしながら肉を焼いている。
うん、関係ないな。
あれは俺を子供のように思って優しくしてくれているんだろう。
心の中で謝りながら食べることに集中することにした。
あっという間に完食して、親仁に聞きたかったことを尋ねた。
「今日はこの辺りで一泊しようと思ってるんだけど、どっかいいとこない?」
「うーん。そうだな、ここらなら「蒼星のやどり木」がいいな。あそこは飯が旨いんだ」
親仁が言うなら間違いないのだろう。
今夜はそこに決まりだな。
――
親仁に聞いた場所に歩いていくと蒼色の建物が見えた。
おお、まさしく蒼星だな。
周りが茶色の建物だからよく目立っている。
一階が食堂で二階が宿屋になっているらしい。
そっと扉を開くとカウンター向こうにいる女性が「いらっしゃい」と声をかけてきた。
一泊泊まれるか聞くと、一部屋空いているというのでここに決める。
朝の食事付きで銀貨4枚。
大体、日本円でいうと四千円くらいか。
食堂の人々を見る感じ冒険者が多いな。みんな和気あいあいと食事を楽しんでいる。
明日の朝食が楽しみだ。
一階の食堂を通り過ぎ、二階へ。
部屋に入ると木製のベッドとそのわきに小さなテーブルが目に入った。
宿屋の相場は分からないが掃除も行き届いているしいいところなのだろう。
一泊するだけだしな。
そうしてとにかくもう寝てしまおうとベッドの方へふらふら歩く。
思ったより疲れていたらしい。
そこまでの記憶はあるのだが、目を開けたらもう朝だった。
やべ、体を綺麗にせず寝てしまった。
…まあ、そこまで汚れてなかったし?
ベッドも見た感じ綺麗なままだ。大丈夫だろう。
と、そこで新たな疑問が。
風呂とかってどうするんだろう。
210
あなたにおすすめの小説
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
異世界オークションで売られた俺、落札したのは昔助けた狼でした
うんとこどっこいしょ
BL
異世界の闇オークションで商品として目覚めた青年・アキラ。
獣人族たちに値踏みされ、競りにかけられる恐怖の中、彼を千枚の金貨で落札したのは、銀灰色の髪を持つ狼の獣人・ロウだった。
怯えるアキラに、ロウは思いがけない言葉を告げる。
「やっと会えた。お前は俺の命の恩人だ」
戸惑うアキラの脳裏に蘇るのは、かつて雨の日に助けた一匹の子狼との記憶。
獣人世界を舞台に、命の恩人であるアキラと、一途に想い続けた狼獣人が紡ぐ、執着と溺愛の異世界BLロマンス。
第一章 完結
第二章 完結
『悪の幹部ですが、正義のヒーローの愛が重すぎて殉職しそうです』
るみ乃。
BL
世界を脅かす悪の組織『デッド・エンド』。
その幹部として恐れられる「冷徹な死神」シャドウ……
しかしその正体は、組織壊滅を目的に潜入中の捜査官・瀬戸だった。
悪役を演じつつ任務に励む日々の中、彼の前に立ちはだかる最大の難敵は、正義のヒーロー「ルミエール」こと天道光希。
敵同士のはずなのに、なぜか光希は瀬戸を命がけで守り、
命がけで溺愛してくる。
爽やかさゼロ、純度100%、とにかく重い愛情に振り回されながら、
瀬戸は今日も正義と悪の狭間で右往左往。
これは、逃げたいのに逃げられない潜入捜査官と、愛が重すぎるヒーローが織りなす、甘くて騒がしいBLラブコメ。
平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます
クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。
『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。
何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。
BLでヤンデレものです。
第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします!
週一 更新予定
ときどきプラスで更新します!
囚われた元王は逃げ出せない
スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた
そうあの日までは
忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに
なんで俺にこんな事を
「国王でないならもう俺のものだ」
「僕をあなたの側にずっといさせて」
「君のいない人生は生きられない」
「私の国の王妃にならないか」
いやいや、みんな何いってんの?
魔王様の執着から逃れたいっ!
クズねこ
BL
「孤独をわかってくれるのは君だけなんだ、死ぬまで一緒にいようね」
魔王様に執着されて俺の普通の生活は終わりを迎えた。いつからこの魔王城にいるかわからない。ずっと外に出させてもらってないんだよね
俺がいれば魔王様は安心して楽しく生活が送れる。俺さえ我慢すれば大丈夫なんだ‥‥‥でも、自由になりたい
魔王様に縛られず、また自由な生活がしたい。
他の人と話すだけでその人は罰を与えられ、生活も制限される。そんな生活は苦しい。心が壊れそう
だから、心が壊れてしまう前に逃げ出さなくてはいけないの
でも、最近思うんだよね。魔王様のことあんまり考えてなかったって。
あの頃は、魔王様から逃げ出すことしか考えてなかった。
ずっと、執着されて辛かったのは本当だけど、もう少し魔王様のこと考えられたんじゃないかな?
はじめは、魔王様の愛を受け入れられず苦しんでいたユキ。自由を求めてある人の家にお世話になります。
魔王様と離れて自由を手に入れたユキは魔王様のことを思い返し、もう少し魔王様の気持ちをわかってあげればよかったかな? と言う気持ちが湧いてきます。
次に魔王様に会った時、ユキは魔王様の愛を受け入れるのでしょうか?
それとも受け入れずに他の人のところへ行ってしまうのでしょうか?
三角関係が繰り広げる執着BLストーリーをぜひ、お楽しみください。
誰と一緒になって欲しい など思ってくださりましたら、感想で待ってますっ
『面白い』『好きっ』と、思われましたら、♡やお気に入り登録をしていただけると嬉しいですっ
第一章 魔王様の執着から逃れたいっ 連載中❗️
第二章 自由を求めてお世話になりますっ
第三章 魔王様に見つかりますっ
第四章 ハッピーエンドを目指しますっ
週一更新! 日曜日に更新しますっ!
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる