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青年期
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見つからないようにゆっくりとその場にしゃがむ。
バレませんように。
すぐ後ろはリリウム畑だ。もし、追いかけられたらダッシュで逃げればいい。
大丈夫だよな?あの魔物には効きません、とかないよな。
魔物の動向を見るために目だけで魔物の姿を確認する。
何をしているんだろうか。
リュカに教わった話だと、魔物というのは魔力を餌にしているらしい。
魔物によって集団で動くだとか、夜に強いとかいろいろ習性はあるらしく魔物によってまちまちだ。
あの魔物はたしか『レイヴァス』だったか。
鷲のような姿をして獰猛な性格、夜目が利いて空から襲撃されるので冒険者たちからも嫌われてるらしい。
まったく、ゲームならもう少し覚えやすい名前にしてくれよ。
覚えにくくてしょうがない。
そんなレイヴァスが空から地上へ向けて攻撃しているようだ。
魔物はみんな魔力を餌にする。
ということはその下に何かある。
…考えて鳥肌が立つ。
小動物かなんかだったらまだいい。
もし、もしもだ。
下にいるのが「彼」だったら?
もう手遅れじゃないか?
だって先ほどから屋敷の方ではすごい音がするんだ。
煙はどんどん黒くなっていくし空からは本でしか見たことのないような魔物が集団で集まっている。
きっと地上にもたくさんいるんだろう。
いろんな魔物の声がここまで聞こえる。
人の叫び声なのか魔物の声なのか区別がつかない。
どうやら屋敷に張ってあった結界が崩れたようだ。
穏やかな森の中が急に騒がしくなって俺の心臓もばくばくと鳴っている。
どうすればいい?確かめるべき?
俺は魔法が使えないんだぞ?
――
「その「彼」を見つけたらどうすればいい?」
「ですから、保護を…」
「じゃなくて、ゲームでは魔力も切れそうで魔物に襲われそうなところを兄上が助けるんだろ?」
「はい、その時のリュカ様のスチルがとってもかっこよくて…」
「それは良いけど、俺は魔力吸い取るんだよね?魔物から守ることもできないし、彼に触れたらそれこそ死んでしまうんじゃ」
すると、ステラはハッとしたように目を瞬いた。
まるで今気づいたみたいな反応だ。
「っ確かに!」
確かに、じゃねぇわ。
「…そうですね。なら、こうしましょう。シルヴァ様が旅立って一か月ほどしたら私もそちらに行きます。魔物は私が追い払えばいいですし、彼を家に連れて行くのも私がしましょう」
本当は関わりたくないのに、という声が聞こえ思わず睨んでしまう。
お前は…人にこんだけ頼んどいて自分のことしか考えてないのかっ!
俺の顔を見たステラはすぐに「任せてください!」と大声を出した。
まったく、しっかりしてくれ。
――
今にも鋭い爪を地面に向け急降下しようと空中を旋回している。
ごくりと唾をのんで恐る恐る頭を出す。
冷や汗がやばい。喉もカラカラだ。
よし、いくぞ…
意を決して下に視線を向ける。
っっ!!!
そこにいたのは…子供だった。
嘘だろう。誰か嘘だと言ってくれ。
「彼」だ。
長い黒の髪が倒れ伏す体の周りに散らばってその存在を主張する。
ピクリとも動く様子がない。
誰かいないのか?あれだけ魔物が集まっているんだ。
冒険者とかは来ないのか?おじさん、リウ君。ステラ。
誰でもいい。誰か、誰か。
目を閉じる。
その時にはきっと…
俺が助けないと…死ぬ。
震える足を叱咤して、空を睨む。
ステラめっ!!時期がズレまくってんだよ!
視界がゆがんでいる。
くっそぅ。
こういうのは迷ったら終わりだ。動けなくなる前にっ!!
走る!!
「うおおおおおおおっ!!」
走る。前だけを見て。
俺の声に反応したレイヴァスと一瞬目が合う。
羽の風圧でよろけそうになる体を踏ん張って前に進む。
威嚇するように叫ぶレイヴァスにビビりながら「彼」の元まで進む。
ここまで来たのはいいものの、作戦なんてまるでない。
目の前まで来るとその大きさは博物館で見た恐竜を前にしているようだ。
足元に「彼」の存在を感じる。下なんか見る余裕はない。
冷や汗が止まらない。体はがたがたと震えるし、歯もガチガチと音を立てている。
真っ白になる頭で考える。
俺が囮になる?石でも投げて挑発してみようか。
…?
目の前まで来て数十秒。さすがの俺も異変に気付いた。
なぜかレイヴァスは襲ってこない。
どうして襲ってこないのだろうか。
先ほどは目だってあったのに、まるで見失ったようにきょろきょろとあたりを見渡している。
目の前にいるのにだ。
空中と地面という高さはあれど、そこまで目は悪くないはずだ。
襲われないことで幾分か落ち着いてくる。
こいつが仲間ってことは…ないよな。
なら、考えられるのは…本当に見失った、か?
そんなことある?
と、唐突に気が付いた。
魔物は魔力を餌にする。
魔物が見ていたのは「彼」自身ではなく″魔力″?
「彼」を襲うのも魔力を豊富に持っていたからだ。
だが、今「彼」を襲っているのはレイヴァス一体のみ。
道中はステラの話していた通り「彼」が倒していったんだろう。
だから、「彼」の魔力は今空に近い。
残ったのがこいつだけだったら?
見るとレイヴァスの体には複数の切り傷が見える。
俺の声や音に反応して目を離したレイヴァスは「彼」を見失った。
そして俺にも魔力はほとんどない。
だから見つけられない。
…これが正しいなら。
助けられる。
バレませんように。
すぐ後ろはリリウム畑だ。もし、追いかけられたらダッシュで逃げればいい。
大丈夫だよな?あの魔物には効きません、とかないよな。
魔物の動向を見るために目だけで魔物の姿を確認する。
何をしているんだろうか。
リュカに教わった話だと、魔物というのは魔力を餌にしているらしい。
魔物によって集団で動くだとか、夜に強いとかいろいろ習性はあるらしく魔物によってまちまちだ。
あの魔物はたしか『レイヴァス』だったか。
鷲のような姿をして獰猛な性格、夜目が利いて空から襲撃されるので冒険者たちからも嫌われてるらしい。
まったく、ゲームならもう少し覚えやすい名前にしてくれよ。
覚えにくくてしょうがない。
そんなレイヴァスが空から地上へ向けて攻撃しているようだ。
魔物はみんな魔力を餌にする。
ということはその下に何かある。
…考えて鳥肌が立つ。
小動物かなんかだったらまだいい。
もし、もしもだ。
下にいるのが「彼」だったら?
もう手遅れじゃないか?
だって先ほどから屋敷の方ではすごい音がするんだ。
煙はどんどん黒くなっていくし空からは本でしか見たことのないような魔物が集団で集まっている。
きっと地上にもたくさんいるんだろう。
いろんな魔物の声がここまで聞こえる。
人の叫び声なのか魔物の声なのか区別がつかない。
どうやら屋敷に張ってあった結界が崩れたようだ。
穏やかな森の中が急に騒がしくなって俺の心臓もばくばくと鳴っている。
どうすればいい?確かめるべき?
俺は魔法が使えないんだぞ?
――
「その「彼」を見つけたらどうすればいい?」
「ですから、保護を…」
「じゃなくて、ゲームでは魔力も切れそうで魔物に襲われそうなところを兄上が助けるんだろ?」
「はい、その時のリュカ様のスチルがとってもかっこよくて…」
「それは良いけど、俺は魔力吸い取るんだよね?魔物から守ることもできないし、彼に触れたらそれこそ死んでしまうんじゃ」
すると、ステラはハッとしたように目を瞬いた。
まるで今気づいたみたいな反応だ。
「っ確かに!」
確かに、じゃねぇわ。
「…そうですね。なら、こうしましょう。シルヴァ様が旅立って一か月ほどしたら私もそちらに行きます。魔物は私が追い払えばいいですし、彼を家に連れて行くのも私がしましょう」
本当は関わりたくないのに、という声が聞こえ思わず睨んでしまう。
お前は…人にこんだけ頼んどいて自分のことしか考えてないのかっ!
俺の顔を見たステラはすぐに「任せてください!」と大声を出した。
まったく、しっかりしてくれ。
――
今にも鋭い爪を地面に向け急降下しようと空中を旋回している。
ごくりと唾をのんで恐る恐る頭を出す。
冷や汗がやばい。喉もカラカラだ。
よし、いくぞ…
意を決して下に視線を向ける。
っっ!!!
そこにいたのは…子供だった。
嘘だろう。誰か嘘だと言ってくれ。
「彼」だ。
長い黒の髪が倒れ伏す体の周りに散らばってその存在を主張する。
ピクリとも動く様子がない。
誰かいないのか?あれだけ魔物が集まっているんだ。
冒険者とかは来ないのか?おじさん、リウ君。ステラ。
誰でもいい。誰か、誰か。
目を閉じる。
その時にはきっと…
俺が助けないと…死ぬ。
震える足を叱咤して、空を睨む。
ステラめっ!!時期がズレまくってんだよ!
視界がゆがんでいる。
くっそぅ。
こういうのは迷ったら終わりだ。動けなくなる前にっ!!
走る!!
「うおおおおおおおっ!!」
走る。前だけを見て。
俺の声に反応したレイヴァスと一瞬目が合う。
羽の風圧でよろけそうになる体を踏ん張って前に進む。
威嚇するように叫ぶレイヴァスにビビりながら「彼」の元まで進む。
ここまで来たのはいいものの、作戦なんてまるでない。
目の前まで来るとその大きさは博物館で見た恐竜を前にしているようだ。
足元に「彼」の存在を感じる。下なんか見る余裕はない。
冷や汗が止まらない。体はがたがたと震えるし、歯もガチガチと音を立てている。
真っ白になる頭で考える。
俺が囮になる?石でも投げて挑発してみようか。
…?
目の前まで来て数十秒。さすがの俺も異変に気付いた。
なぜかレイヴァスは襲ってこない。
どうして襲ってこないのだろうか。
先ほどは目だってあったのに、まるで見失ったようにきょろきょろとあたりを見渡している。
目の前にいるのにだ。
空中と地面という高さはあれど、そこまで目は悪くないはずだ。
襲われないことで幾分か落ち着いてくる。
こいつが仲間ってことは…ないよな。
なら、考えられるのは…本当に見失った、か?
そんなことある?
と、唐突に気が付いた。
魔物は魔力を餌にする。
魔物が見ていたのは「彼」自身ではなく″魔力″?
「彼」を襲うのも魔力を豊富に持っていたからだ。
だが、今「彼」を襲っているのはレイヴァス一体のみ。
道中はステラの話していた通り「彼」が倒していったんだろう。
だから、「彼」の魔力は今空に近い。
残ったのがこいつだけだったら?
見るとレイヴァスの体には複数の切り傷が見える。
俺の声や音に反応して目を離したレイヴァスは「彼」を見失った。
そして俺にも魔力はほとんどない。
だから見つけられない。
…これが正しいなら。
助けられる。
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