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青年期
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ネロに濡れタオルを渡し、体を拭いてもらう。
服ともいえぬような、ぼろ切れが床に落ちるとその細い体が露わになった。
っ!!
目の前には、内臓が入っているのかと疑うほどに細い体。
骨まで浮いて見える。
思わず目を背けたくなる。
血が引いていく感覚がして足に力が入らない。
「…ごめんな」
思わず出たのは、それだけだった。
力なく弱々しい声がネロに聞こえたかもわからない。
不思議そうにこちらを見るネロ。
よくわかってなさそうなその姿にさえ、涙が出そうになる。
ステラに聞いただけではわからなかった、ネロの今まで。
魔力狙いだというからちゃんと食べさせてもらえているのだと思っていた。
想像すらしてなかった。放置されていたなんて。
…いや、想像はできたんだ。
初めて会ったとき、彼の瞳を見ればその瞳に何も映っていないことはわかっていた。
それを見ない振りしたのは俺だ。
俺が、どれだけ早くあの場に行こうと、ネロのことは助けられない。
無力な俺が屋敷に行ったところで俺が死ぬだけ。
それは、わかっているがこのやるせなさはどうしようもない。
以前の自分の言葉を思い出す。
伯爵家が助ければいい。 俺の知ったことではない。
罪悪感がすごい。
ネロの姿を目の当たりにしてしまったらそんなことを言って、思ってしまったことが悔やまれる。
今、抱きしめてあげられたらどれだけいいことか。
大丈夫。俺が守る。幸せにする。
そんな薄っぺらい言葉じゃなくて。
きっと、今のネロには届かないだろうから。
…それだって結局俺の自己満足なんだけどな。
スンスン鼻を鳴らしながら俺の服の中で着られそうな服を着せる。
袖で乱暴に目元を拭って笑顔を作る。
「よし、行くか!」
鼻声をごまかすように明るい声で呼びかける。
こくんと、うなずくネロ。
自身が羽織っていたマントを脱ぎ、ネロにかぶせる。
汗臭くないことを願ってネロのきれいな黒髪を隠す。
せっかく綺麗なのに勿体ないな。
されるがままなネロに笑みがこぼれる。
二人で外に出て、鍵をかける。
…振り返って思った。
あれ、もしかしなくても…こっからまた徒歩?
気付いていなかった事実に打ちのめされ膝から崩れ落ちる。
隣にいるネロが戸惑っているのを感じる。
あー、マジでごめん。
ちょっと、動けねえわ。
なんで、この世界にはスマホがないんだ!
タクシーねぇのかよ!
不便すぎるだろ!
思いのたけを心の中で叫ぶ。
…
ふぅ。よし、落ち着いた。
立ち上がろうとしたとき、地面につけていた手がわずかに震えた。
なんだ?
地震か?
立ち上がる間にも地面の震えが大きくなってくる。
おお、なんだ、なんだ。
魔物か?悪いやつか?
ビビった俺は家の裏にネロと共に潜んだ。
顔だけ出して音のする方を見ていると、音が家の前で止まった。
なんと現れたのは一台の馬車だった。
ええ?俺の願い届いた?
いやいや、そんなまさか。
敵の可能性も考慮してそのままでいると馬車の扉が開いた。
心臓がバクバクしている。
だが、予想に反して中から出てきたのは…リウ君だった。
よく見ると御者席に座っているのは、昨日のおじさんだった。
知った顔を見つけた俺はふらふらと裏から出る。
「リウ君!おじさん!昨日ぶりっ!なんでここにいんの?」
嬉しさのあまり手を振りながら駆け寄る。
「シルヴァさん?なんでそんなとこ…から」
お?リウ君とおじさんの様子がおかしいぞ。
「その子、誰ですか?」
「兄ちゃん、その髪…」
その言葉を聞いた俺は、足を止めネロを振り返った。
ネロは、突然走り出した俺の後を、ついてこようとしたのか中途半端なところで止まっていた。
ごめんな、置いてって。
いじらしい姿にニヤニヤと口元が動いてしまう。
「おいで、ネロ」
二人に紹介しようじゃないか、俺の可愛い息子を。
「この子は俺の息子のネロだ。よろしく頼む」
にんまり笑い二人の反応を窺うと、二人とも同じ顔をしていた。
ぽかんとした顔で固まっている。
ありゃ、あまりの可愛さにやられたか。
「む、息子?シルヴァさんの?え、なん…え?」
「兄ちゃん、あんた何歳なんだ。いや、それよりもその髪は…」
違うようである。
「この子は、まあ養子っていうか…拾ったっていうか?」
「拾った?そんな犬や猫じゃないんですから!」
それはそうなんだけど、事実だからなぁ。
「俺が育てることにした!」
胸を張って宣言する。
「育てるったって、経験あんのか?てか、俺の話も聞いてくれよ」
寂しいじゃねぇか、とおじさんがなんか言っている。
「経験はないけど、別に赤ちゃんを育てるわけじゃないからな。そこは不安に思ってない」
「なら、こんな辺鄙なとこじゃなくても…」
リウ君の言葉で思い出した。
「そういや、なんで二人いんの?」
そう聞くと二人は顔を見合わせた。
――
「俺が心配で来たぁ?ナイスタイミングすぎる」
以心伝心じゃん!
「いや~どうしようかと思ったんだよね。食料やら日用品やら何もないのに歩いていかなきゃか~って」
そう言うと二人は呆れたような顔をした。
「…その子、孤児院とかに預けた方がいいんじゃないですか?」
馬車に揺られながら向かい合って座るリウ君にそんなことを言われてしまった。
ちなみに俺の隣はネロだ。
うーん、確かにあの家を買ったのは、ネロをすぐに助けに行くため。
だけど、俺はすでにあの家に愛着がわいている。
家具だってあの家に合うように買ってしまったし、それに…
ネロの存在がいろんな人に見られるのは良くない気がする。
だって、ネロは将来魔王になるのに。
服ともいえぬような、ぼろ切れが床に落ちるとその細い体が露わになった。
っ!!
目の前には、内臓が入っているのかと疑うほどに細い体。
骨まで浮いて見える。
思わず目を背けたくなる。
血が引いていく感覚がして足に力が入らない。
「…ごめんな」
思わず出たのは、それだけだった。
力なく弱々しい声がネロに聞こえたかもわからない。
不思議そうにこちらを見るネロ。
よくわかってなさそうなその姿にさえ、涙が出そうになる。
ステラに聞いただけではわからなかった、ネロの今まで。
魔力狙いだというからちゃんと食べさせてもらえているのだと思っていた。
想像すらしてなかった。放置されていたなんて。
…いや、想像はできたんだ。
初めて会ったとき、彼の瞳を見ればその瞳に何も映っていないことはわかっていた。
それを見ない振りしたのは俺だ。
俺が、どれだけ早くあの場に行こうと、ネロのことは助けられない。
無力な俺が屋敷に行ったところで俺が死ぬだけ。
それは、わかっているがこのやるせなさはどうしようもない。
以前の自分の言葉を思い出す。
伯爵家が助ければいい。 俺の知ったことではない。
罪悪感がすごい。
ネロの姿を目の当たりにしてしまったらそんなことを言って、思ってしまったことが悔やまれる。
今、抱きしめてあげられたらどれだけいいことか。
大丈夫。俺が守る。幸せにする。
そんな薄っぺらい言葉じゃなくて。
きっと、今のネロには届かないだろうから。
…それだって結局俺の自己満足なんだけどな。
スンスン鼻を鳴らしながら俺の服の中で着られそうな服を着せる。
袖で乱暴に目元を拭って笑顔を作る。
「よし、行くか!」
鼻声をごまかすように明るい声で呼びかける。
こくんと、うなずくネロ。
自身が羽織っていたマントを脱ぎ、ネロにかぶせる。
汗臭くないことを願ってネロのきれいな黒髪を隠す。
せっかく綺麗なのに勿体ないな。
されるがままなネロに笑みがこぼれる。
二人で外に出て、鍵をかける。
…振り返って思った。
あれ、もしかしなくても…こっからまた徒歩?
気付いていなかった事実に打ちのめされ膝から崩れ落ちる。
隣にいるネロが戸惑っているのを感じる。
あー、マジでごめん。
ちょっと、動けねえわ。
なんで、この世界にはスマホがないんだ!
タクシーねぇのかよ!
不便すぎるだろ!
思いのたけを心の中で叫ぶ。
…
ふぅ。よし、落ち着いた。
立ち上がろうとしたとき、地面につけていた手がわずかに震えた。
なんだ?
地震か?
立ち上がる間にも地面の震えが大きくなってくる。
おお、なんだ、なんだ。
魔物か?悪いやつか?
ビビった俺は家の裏にネロと共に潜んだ。
顔だけ出して音のする方を見ていると、音が家の前で止まった。
なんと現れたのは一台の馬車だった。
ええ?俺の願い届いた?
いやいや、そんなまさか。
敵の可能性も考慮してそのままでいると馬車の扉が開いた。
心臓がバクバクしている。
だが、予想に反して中から出てきたのは…リウ君だった。
よく見ると御者席に座っているのは、昨日のおじさんだった。
知った顔を見つけた俺はふらふらと裏から出る。
「リウ君!おじさん!昨日ぶりっ!なんでここにいんの?」
嬉しさのあまり手を振りながら駆け寄る。
「シルヴァさん?なんでそんなとこ…から」
お?リウ君とおじさんの様子がおかしいぞ。
「その子、誰ですか?」
「兄ちゃん、その髪…」
その言葉を聞いた俺は、足を止めネロを振り返った。
ネロは、突然走り出した俺の後を、ついてこようとしたのか中途半端なところで止まっていた。
ごめんな、置いてって。
いじらしい姿にニヤニヤと口元が動いてしまう。
「おいで、ネロ」
二人に紹介しようじゃないか、俺の可愛い息子を。
「この子は俺の息子のネロだ。よろしく頼む」
にんまり笑い二人の反応を窺うと、二人とも同じ顔をしていた。
ぽかんとした顔で固まっている。
ありゃ、あまりの可愛さにやられたか。
「む、息子?シルヴァさんの?え、なん…え?」
「兄ちゃん、あんた何歳なんだ。いや、それよりもその髪は…」
違うようである。
「この子は、まあ養子っていうか…拾ったっていうか?」
「拾った?そんな犬や猫じゃないんですから!」
それはそうなんだけど、事実だからなぁ。
「俺が育てることにした!」
胸を張って宣言する。
「育てるったって、経験あんのか?てか、俺の話も聞いてくれよ」
寂しいじゃねぇか、とおじさんがなんか言っている。
「経験はないけど、別に赤ちゃんを育てるわけじゃないからな。そこは不安に思ってない」
「なら、こんな辺鄙なとこじゃなくても…」
リウ君の言葉で思い出した。
「そういや、なんで二人いんの?」
そう聞くと二人は顔を見合わせた。
――
「俺が心配で来たぁ?ナイスタイミングすぎる」
以心伝心じゃん!
「いや~どうしようかと思ったんだよね。食料やら日用品やら何もないのに歩いていかなきゃか~って」
そう言うと二人は呆れたような顔をした。
「…その子、孤児院とかに預けた方がいいんじゃないですか?」
馬車に揺られながら向かい合って座るリウ君にそんなことを言われてしまった。
ちなみに俺の隣はネロだ。
うーん、確かにあの家を買ったのは、ネロをすぐに助けに行くため。
だけど、俺はすでにあの家に愛着がわいている。
家具だってあの家に合うように買ってしまったし、それに…
ネロの存在がいろんな人に見られるのは良くない気がする。
だって、ネロは将来魔王になるのに。
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