魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫

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青年期

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さっさと行ってこい、という言葉に見送られ、停留所から街の入り口まで二人で歩いていく。

「ここだな」

街の入り口の両側に門番が二人立っていた。

そのすぐ近くの地面に魔法陣が光っていた。
え?こんな目立つの?
これと同じのが家の庭にあるんだろうか。

ちょっとヤダ。

「ネロ、できるか?あそこに立って魔力を流せばいいらしいが」

こくんとうなずくネロ。

ネロが俺のそばから離れ、光る魔法陣の上に立つ。

魔法陣が一層強く光りだした。
その瞬間、門番二人に声をかけられその光が急速に弱まった。

「お兄さんたち、身分証は?」

右側に立っていた門番にそう声をかけられた。
え、身分証?それが必要なん?

見ると、門番二人は同じ顔をしていた。
双子のようだ。この世界で初めて見た。


双子のイケメンとかさぁ。ね?ダメだろ。
絶対、ゲームに出てくるだろ。

「冒険者カードとか、持ってないの?」
近くにいたネロに右の門番が聞くがネロは答えない。
魔法陣から後ずさりするように離れ俺の後ろに来た。
かわいい。

「身分証とかでもいいよ」
同じ顔で左の門番が投げやりに聞いてくる。

顔はそっくりだけど、性格は違うようだ。

「ないと転移陣には登録できないよ」

まじかよ。

「もってないです。どこでもらえます?」

マジで!
そういうことなんで教えてくれないのかな?
貴族にはないの?

てか、身分証くらいあるんでは。
母上に何ももらわなかったんだが…

調べなかった俺も悪いけどさ。

「「…お兄ちゃん(さん)たち、どっから来たの?」」
二人の門番が顔を見合わせ俺たちに近づいた。

なんか、怪しまれている気がする。

「えと、生まれも育ちもこの国ですけど…」

「ふーん、そっちは」
顎でしゃくるようにネロを指す。

「この子も一緒です」
生まれは知らんけど。

「家族?…もしかして魔法かかってる?その子供認識しづらいんだけど」
ネロを訝しげに見つめながら俺たちの前に立つ左にいた門番さん。

…なんかやばいかも。

「あの、俺たち別に怪しいものではなくて」

「…証明できるものとかあるかな?」
右の門番さんは優しそうだけど、圧があるな。

「えっと、俺たち、田舎から出てきたばっかで何もわからなくて…今から、もらってきます」

「それはいいけど、すぐは無理だよ。ギルドに行っても発行されるのは明日になるよ」
にこりと笑いながら右の門番さん。

「えっ、今日は転移陣使えないってことですか?」

「だから、そう言ってんだろ。頭弱いんか白髪の兄ちゃんよぅ」
ヤンキーのようだ。

「こら、レイド失礼だよ」
ばこっと、音がしたと思ったら、ヤンキーの門番を殴ったぞ、この人。
こえー。
全然、優しくない。腹黒系だ、この人。
「すみません、お兄さん。実は昨日ちょっとした問題がありまして…上の方が騒がしいんですよ」
「イテテ、殴んな」
それでいいの?
もっと怒っていいと思うよ?

けろっとしている、レイド?さんにも怯えつつも「問題」という言葉に意識を奪われる。

問題って…あの屋敷のことだよなぁ。
おかしいと思ったんだよ。
いくらここから離れたって魔物の姿だって見えるだろうし、煙だって見えただろう。

逆にこの街が何も変わらない方がおかしいんだ。

「お詫びに…登録していいですよ。お困りのようですし」
え、マジ?いいんすか?

「おい、何言ってんだよ。兄貴、規約違反だろ」

ヤンキーのくせに根はまじめなようだ。

そうだ、騙されないぞ。
こういう時は、絶対なんか要求されるんだよ。
俺、知ってる。
美味しい話には裏があるってね。

警戒しながら右の門番さんの言葉を待つ。
「…ただし」

ほらな。だと思ったよ。

「見る限り初めて見る顔ですし、外から来たのは本当なのでしょう。そこで、先ほども言った「問題」の内容を教えていただけませんか?」

え、そうくる?

「問題と言われても…それを知ってどうするんですか?」
言えるわけないだろ。そんなの。

「そうですね。情報というのは、生きていくのにとても大事なのです」

それはそう。今、それを身をもって体験してる。

「私たちも、今困っておりまして。人助けだと思って…お願いします」
「兄貴…」

えー。なんかサブクエみたいなの来たんだけど。
どうするべき?

嘘…は良くないよな。
だけど、ネロのことを言って感づかれるのも怖い。

「探って来いってことですか?ギルドに頼んではどうですか?」

「いえ、そこまでは。ギルドに頼んでは意味がないんです。探っているのがバレますし」

情報を売るのが目的なのか、屋敷について知りたいなにかがあるのか。
それが分かれば、こちらも動きやすいんだが。

「断ったらどうなります?」

「どうもしませんよ」
うわ、断りずれぇ。
困っている。助けてほしいなんて言っておきながら断るという選択肢も与える。

罪悪感を持たせる気だ。

くっ、前世の俺がそういうのに弱いと知ってのことか?

「分かりました。でも、期待はしないでください」

「本当ですか?ええ、冒険者でもないあなたに頼んでいる時点で期待は…あ、いえ、なんでも」

おおい!だいぶ失礼だぞ。
さすがにむかつくんだが?

俺は答えをすでに持ってるんだからな?
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