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人魚を殺すには
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初めて人魚を殺したのはもう一年も前のことになる。
やると決めたは良いものの、その日は朝から緊張して散々だった。首は寝違えるし、髪は焦がすし、体育着は忘れるし、牛乳はこぼすし、数学の問題は間違えて笑われるし。でもそんなこと少しも気にならなかった。
帰り道、ホームセンターに寄ってスコップを買った。私の肩くらいまでの大きさで、剣スコップという名前の一番先の尖ったものを選んだ。七八五五円だった。財布の中身がほとんど空になってしまったのを覚えている。
外に出てから学校の近くで買ったのは失敗だと思った。誰かに見つからないかと怯えながら走った。きっと側から見てとても滑稽だっただろう。でもあの時の私は必死だったから、そんなこと気にしている余裕はなかった。
岩場についてシャベルを取り出して、これじゃ駄目だと思った。遠くから見ただけでも人魚の体は鱗に覆われているのが分かった。きっとこれでは刺さらない。
本当は専用の道具があるらしいのだけど、そんなものを買うお金はなかった。幸い、周りには岩と石がたくさんあった。刃先を石でなぞる。金属と石が擦れ合う音は不快で、強く握りしめた手には細かい傷がたくさんついた。何度も何度もそうしていると、刃物のように研がれていった。
瑠璃ちゃんが立っていた場所と同じところに行った。瑠璃ちゃんは火曜日と木曜日に隣町のカフェでバイトをしているから来ないはずだ。岩の上からじっと水面を見つめる。瑠璃ちゃんは魚で誘き寄せていたみたいだったから、私も真似することにした。お弁当に入っていた鯖の切り身を放り投げた。切り身は沈んだまま浮かんではこなかった。ここから瑠璃ちゃんはどうしていたっけ。そうだ、名前を呼んでいた。確か、
「うる?」
その瞬間、海が大きく揺れた。足元まで波が押し寄せ、飛沫に思わず目を瞑る。きゅう、と何かが鳴く声がした。いや、何かではない。人魚だ。急いで下を覗き込む。予想は的中していた。向こうもこちらを見上げて揺蕩っていた。口角を上げると牙が見えた。人間の顔に肉食動物のような口が不似合いで気持ち悪かった。
「……うる、おいで。もっと、こっちに」
手招きをする。青い手がべちゃりと重なった。嫌だったけど両手で掴んで引っ張った。自分より一回りも小さく華奢な肩幅の人魚は海の底に鎖で繋がれているのかと思うほど重かった。
岩場に引き摺り出した人魚は頭から尾鰭まで多分二メートルくらいあった。スコップを構え胸の中心を狙い、思いっきり振り下ろした。ぐちゅ、という音とともに青い液体が溢れ出した。血だ。人魚の血は青いのだ。古い刺身を至近距離で嗅いだときの臭いがした。柄を掴み直し左回転させる。心臓が潰れる手応えがした。そこからはもう夢中で刺しては抜き、抜いては刺しを繰り返した。いつの間にか日が暮れて空が赤くなっていた。人魚は目を閉じたままぴくりとも動かなかった。
これで瑠璃ちゃんはこの化け物から解放されるはずだ。私は達成感でいっぱいになった。最高の気分だった。死体は海に投げ捨てて、スキップしながら帰った。ベッドの上のイルカのぬいぐるみにキスして眠った。
二日後、私はまた海に行った。瑠璃ちゃんの様子があまりにも変わらなくて不安になったのだ。そんなわけない、いるわけない。確かに殺したのだ。うる、と海面に呼びかけた。小さくて震えた声。水面が揺れて人魚が笑った。最悪の気分だった。
それから、何度あいつを殺しただろう。
ある時は縄で首を絞めた。頭を踏みつけて、思い切り縄を引っ張った。それでも首にはアザ一つ残らなかった。
ある時は頭をトンカチで殴った。女の顔に傷をつけるのは嫌だったけど、我慢して何度も殴った。それでも鼻血が出る以上の傷は負わせられなかった。
ある時はバラバラにして山に埋めた。新品の包丁と砥石を用意した。人間を解体するのはかなり大変らしい、というのは知っていたが、人魚には当てはまらなかった。ぐにょぐにょと肉に刃が沈んで簡単にスパスパ切れた。そして放っておくとすぐにくっついた。水に濡れた紙粘土のようだった。岩場で一つ一つ解体しながらラップに包んだ。ビニール袋にすれば良かったと思った。リュックに詰められるだけ詰めて急いで山に行った。あらかじめ掘っておいた五箇所の穴に放り入れて埋めた。朝から学校をサボって作業をしたのに、オレンジ色の夕日が見えるまでかかってしまった。二日後、やはり人魚は海で生きていた。
化け物退治とはやはり一筋縄ではいかないみたいだ。どうしたら良いんだろう。あれは生命力が強いとかそういう問題ではなく、何か妖怪じみた概念的なものを感じる。人魚って妖怪か? よく知らないが普通の生き物には当てはまらない理の中にいるんだろう。
私はイライラしていた。焦っていた。疲労で頭がおかしくなっていた。そうでなきゃ、あんなトチ狂ったことするわけない。今なら分かる、馬鹿だったと。でも、あの時の私は本気で素晴らしいアイディアだと思っていた。
絞めてもダメ。殴ってもダメ。刺してもダメ。切ってもダメ。バラバラにして埋めてもダメ。じゃあ、もう溶かすしかないんじゃない? それも跡形もなくドロドロに。でもそんなことができる薬品を手に入れられるだろうか。あるんだよ、それが。誰にでもある強力な酸。胃液があるじゃない。
私は人魚を食べることにした。親の帰らない日を狙って準備する。山に埋めた時と同じようにバラバラにしてラップで包んでリュックに詰めて、でも今度は家に持ち帰った。とりあえず一番食べやすそうな腹の肉。人魚に臍はない。つるんとしたおよそ人間とは異なるペールオレンジの肌に包丁を突き立てる。柔らかい。皮と肉とは簡単に剥がせた。鍋いっぱいに水を入れる。切る前に沸かしておくべきだった。次からはそうしよう。三摘みの塩を溶かしてぼこぼこ泡を吹く熱湯に赤身を投げ入れる。血は青いのに肉は赤いのだ。どんな生き物なんだろう。
しばらく煮込むと白く固まった。箸を使って取り出すと、まるで鶏のささみを茹でたみたいな塊が出てきた。ちょっと舐めてみる。無味だ。塩胡椒を振って、一口。かけすぎてちょっと咽せた。でも、美味しい。すごく美味しい。サッパリしていて抵抗なく喉を通っていく。牛肉の、部位の名前は忘れたけど昔食べた高いやつ、どこにも引っかからずに口の中に旨みだけを置いてさっと謙虚に立ち去っていくあの感じ。人魚の肉って美味しいんだ。私は夢中になって食べた。軽く五十キログラムはあっただろう肉を次々煮ては食べ、食べては煮続けた。
私は満足した気分で眠りについた。これで全ての懸念は解消されると心から信じて。それが愚かな考えであったことが分かるのはそれから数時間後、とんでもない腹痛で飛び起きた時だった。私はここで初めて、人魚に毒があったらどうしようと心配した。真っ先に気にするべきだったのに、私はこの画期的でユーモラスな作戦を実行することしか頭になかった。そのせいで便器を抱えて死にかけることになるとは。自分の短慮さが恐ろしい。死にたくなかった。お腹の中でぐるぐる蠢くものを感じた。喉の奥に思いきり指を入れて吐き戻した。口から黒紫色のヘドロか便器から溢れ出す前に流して周囲に飛び散った液体をトイレットペーパーで拭き取った。そんなことを何十回も繰り返してもう出すものは胃液すらない、と思ったところでようやく腹痛は治った。私はもう命があることにひたすら感謝して涙を流した。
人魚はやはり生きていた。ケロッとした顔でいつものように私に微笑みかける。海底にリスポーン地点でもあるのだろうか。強くなってニューゲームか。それじゃあ、私のやってることって逆効果?
「もうやだ……お前ってどうやったら死ぬんだよ」
「にんぎょはねえ、こいをうしなったらしぬよ」
自分が情けなくて涙が出てくる。幻聴まで聞こえ始めた。もう私はダメかもしれない。神様、死ぬならせめてこいつを道連れにさせてください。
「ね、おはなししよ。おなまえなあに?」
現実逃避をしても無駄だった。こいつ、喋ってる。今までキュウキュウ動物の鳴き声みたいなのしか出せなかったくせに。木琴の柔らかさと鉄琴の煌めきが混ざったような声だった。油断すると聞き惚れてしまいそうだ。人間を籠絡する人魚の歌ってこういうことか。
「うるさ。いきなり喋るじゃん。今まで馬鹿みたいに鳴いてたのは何? 私を騙してたの?」
「ちがうよお。おにく、たべたでしょ。だからおはなしできるの。うれしいなあ」
なんてことだ。失敗したどころかとんでもない呪いまで受けてしまった。どういうシステムなんだよ、気色悪いな。
「ね、ね、つぎはいつきてくれる? もうまちきれないよ」
「……」
「うるね、ずっとね、たのしみにしてるよ。こくはくされたのはじめてで、どきどきしたの」
「…………」
「てれてる? かわいいね。だいすき」
「私は嫌い」
「うそお。いっぱいあいにきてくれるの、すきだからでしょ」
「違う。大体、私より会いにきてる子いるじゃん」
「しらなあい。あおいいがいのにんげんのかお、わかんないもん」
「死ね」
名前知ってるのかよ白々しい。つまりこいつは、大した興味もないくせに瑠璃ちゃんを弄んでるんだ。何様だ。腹が立つ。舌足らずな喋り方だが馬鹿なわけではないようだ。狡猾なこの女狐は、魚に狐というのも変だが、この声と顔ともしかしたら身体で人間を誑かしているのだ。虫唾が走る。殺そう。
「……また明後日来るから。首を洗って待ってろ」
「んふふ、やったあ。またね!」
やると決めたは良いものの、その日は朝から緊張して散々だった。首は寝違えるし、髪は焦がすし、体育着は忘れるし、牛乳はこぼすし、数学の問題は間違えて笑われるし。でもそんなこと少しも気にならなかった。
帰り道、ホームセンターに寄ってスコップを買った。私の肩くらいまでの大きさで、剣スコップという名前の一番先の尖ったものを選んだ。七八五五円だった。財布の中身がほとんど空になってしまったのを覚えている。
外に出てから学校の近くで買ったのは失敗だと思った。誰かに見つからないかと怯えながら走った。きっと側から見てとても滑稽だっただろう。でもあの時の私は必死だったから、そんなこと気にしている余裕はなかった。
岩場についてシャベルを取り出して、これじゃ駄目だと思った。遠くから見ただけでも人魚の体は鱗に覆われているのが分かった。きっとこれでは刺さらない。
本当は専用の道具があるらしいのだけど、そんなものを買うお金はなかった。幸い、周りには岩と石がたくさんあった。刃先を石でなぞる。金属と石が擦れ合う音は不快で、強く握りしめた手には細かい傷がたくさんついた。何度も何度もそうしていると、刃物のように研がれていった。
瑠璃ちゃんが立っていた場所と同じところに行った。瑠璃ちゃんは火曜日と木曜日に隣町のカフェでバイトをしているから来ないはずだ。岩の上からじっと水面を見つめる。瑠璃ちゃんは魚で誘き寄せていたみたいだったから、私も真似することにした。お弁当に入っていた鯖の切り身を放り投げた。切り身は沈んだまま浮かんではこなかった。ここから瑠璃ちゃんはどうしていたっけ。そうだ、名前を呼んでいた。確か、
「うる?」
その瞬間、海が大きく揺れた。足元まで波が押し寄せ、飛沫に思わず目を瞑る。きゅう、と何かが鳴く声がした。いや、何かではない。人魚だ。急いで下を覗き込む。予想は的中していた。向こうもこちらを見上げて揺蕩っていた。口角を上げると牙が見えた。人間の顔に肉食動物のような口が不似合いで気持ち悪かった。
「……うる、おいで。もっと、こっちに」
手招きをする。青い手がべちゃりと重なった。嫌だったけど両手で掴んで引っ張った。自分より一回りも小さく華奢な肩幅の人魚は海の底に鎖で繋がれているのかと思うほど重かった。
岩場に引き摺り出した人魚は頭から尾鰭まで多分二メートルくらいあった。スコップを構え胸の中心を狙い、思いっきり振り下ろした。ぐちゅ、という音とともに青い液体が溢れ出した。血だ。人魚の血は青いのだ。古い刺身を至近距離で嗅いだときの臭いがした。柄を掴み直し左回転させる。心臓が潰れる手応えがした。そこからはもう夢中で刺しては抜き、抜いては刺しを繰り返した。いつの間にか日が暮れて空が赤くなっていた。人魚は目を閉じたままぴくりとも動かなかった。
これで瑠璃ちゃんはこの化け物から解放されるはずだ。私は達成感でいっぱいになった。最高の気分だった。死体は海に投げ捨てて、スキップしながら帰った。ベッドの上のイルカのぬいぐるみにキスして眠った。
二日後、私はまた海に行った。瑠璃ちゃんの様子があまりにも変わらなくて不安になったのだ。そんなわけない、いるわけない。確かに殺したのだ。うる、と海面に呼びかけた。小さくて震えた声。水面が揺れて人魚が笑った。最悪の気分だった。
それから、何度あいつを殺しただろう。
ある時は縄で首を絞めた。頭を踏みつけて、思い切り縄を引っ張った。それでも首にはアザ一つ残らなかった。
ある時は頭をトンカチで殴った。女の顔に傷をつけるのは嫌だったけど、我慢して何度も殴った。それでも鼻血が出る以上の傷は負わせられなかった。
ある時はバラバラにして山に埋めた。新品の包丁と砥石を用意した。人間を解体するのはかなり大変らしい、というのは知っていたが、人魚には当てはまらなかった。ぐにょぐにょと肉に刃が沈んで簡単にスパスパ切れた。そして放っておくとすぐにくっついた。水に濡れた紙粘土のようだった。岩場で一つ一つ解体しながらラップに包んだ。ビニール袋にすれば良かったと思った。リュックに詰められるだけ詰めて急いで山に行った。あらかじめ掘っておいた五箇所の穴に放り入れて埋めた。朝から学校をサボって作業をしたのに、オレンジ色の夕日が見えるまでかかってしまった。二日後、やはり人魚は海で生きていた。
化け物退治とはやはり一筋縄ではいかないみたいだ。どうしたら良いんだろう。あれは生命力が強いとかそういう問題ではなく、何か妖怪じみた概念的なものを感じる。人魚って妖怪か? よく知らないが普通の生き物には当てはまらない理の中にいるんだろう。
私はイライラしていた。焦っていた。疲労で頭がおかしくなっていた。そうでなきゃ、あんなトチ狂ったことするわけない。今なら分かる、馬鹿だったと。でも、あの時の私は本気で素晴らしいアイディアだと思っていた。
絞めてもダメ。殴ってもダメ。刺してもダメ。切ってもダメ。バラバラにして埋めてもダメ。じゃあ、もう溶かすしかないんじゃない? それも跡形もなくドロドロに。でもそんなことができる薬品を手に入れられるだろうか。あるんだよ、それが。誰にでもある強力な酸。胃液があるじゃない。
私は人魚を食べることにした。親の帰らない日を狙って準備する。山に埋めた時と同じようにバラバラにしてラップで包んでリュックに詰めて、でも今度は家に持ち帰った。とりあえず一番食べやすそうな腹の肉。人魚に臍はない。つるんとしたおよそ人間とは異なるペールオレンジの肌に包丁を突き立てる。柔らかい。皮と肉とは簡単に剥がせた。鍋いっぱいに水を入れる。切る前に沸かしておくべきだった。次からはそうしよう。三摘みの塩を溶かしてぼこぼこ泡を吹く熱湯に赤身を投げ入れる。血は青いのに肉は赤いのだ。どんな生き物なんだろう。
しばらく煮込むと白く固まった。箸を使って取り出すと、まるで鶏のささみを茹でたみたいな塊が出てきた。ちょっと舐めてみる。無味だ。塩胡椒を振って、一口。かけすぎてちょっと咽せた。でも、美味しい。すごく美味しい。サッパリしていて抵抗なく喉を通っていく。牛肉の、部位の名前は忘れたけど昔食べた高いやつ、どこにも引っかからずに口の中に旨みだけを置いてさっと謙虚に立ち去っていくあの感じ。人魚の肉って美味しいんだ。私は夢中になって食べた。軽く五十キログラムはあっただろう肉を次々煮ては食べ、食べては煮続けた。
私は満足した気分で眠りについた。これで全ての懸念は解消されると心から信じて。それが愚かな考えであったことが分かるのはそれから数時間後、とんでもない腹痛で飛び起きた時だった。私はここで初めて、人魚に毒があったらどうしようと心配した。真っ先に気にするべきだったのに、私はこの画期的でユーモラスな作戦を実行することしか頭になかった。そのせいで便器を抱えて死にかけることになるとは。自分の短慮さが恐ろしい。死にたくなかった。お腹の中でぐるぐる蠢くものを感じた。喉の奥に思いきり指を入れて吐き戻した。口から黒紫色のヘドロか便器から溢れ出す前に流して周囲に飛び散った液体をトイレットペーパーで拭き取った。そんなことを何十回も繰り返してもう出すものは胃液すらない、と思ったところでようやく腹痛は治った。私はもう命があることにひたすら感謝して涙を流した。
人魚はやはり生きていた。ケロッとした顔でいつものように私に微笑みかける。海底にリスポーン地点でもあるのだろうか。強くなってニューゲームか。それじゃあ、私のやってることって逆効果?
「もうやだ……お前ってどうやったら死ぬんだよ」
「にんぎょはねえ、こいをうしなったらしぬよ」
自分が情けなくて涙が出てくる。幻聴まで聞こえ始めた。もう私はダメかもしれない。神様、死ぬならせめてこいつを道連れにさせてください。
「ね、おはなししよ。おなまえなあに?」
現実逃避をしても無駄だった。こいつ、喋ってる。今までキュウキュウ動物の鳴き声みたいなのしか出せなかったくせに。木琴の柔らかさと鉄琴の煌めきが混ざったような声だった。油断すると聞き惚れてしまいそうだ。人間を籠絡する人魚の歌ってこういうことか。
「うるさ。いきなり喋るじゃん。今まで馬鹿みたいに鳴いてたのは何? 私を騙してたの?」
「ちがうよお。おにく、たべたでしょ。だからおはなしできるの。うれしいなあ」
なんてことだ。失敗したどころかとんでもない呪いまで受けてしまった。どういうシステムなんだよ、気色悪いな。
「ね、ね、つぎはいつきてくれる? もうまちきれないよ」
「……」
「うるね、ずっとね、たのしみにしてるよ。こくはくされたのはじめてで、どきどきしたの」
「…………」
「てれてる? かわいいね。だいすき」
「私は嫌い」
「うそお。いっぱいあいにきてくれるの、すきだからでしょ」
「違う。大体、私より会いにきてる子いるじゃん」
「しらなあい。あおいいがいのにんげんのかお、わかんないもん」
「死ね」
名前知ってるのかよ白々しい。つまりこいつは、大した興味もないくせに瑠璃ちゃんを弄んでるんだ。何様だ。腹が立つ。舌足らずな喋り方だが馬鹿なわけではないようだ。狡猾なこの女狐は、魚に狐というのも変だが、この声と顔ともしかしたら身体で人間を誑かしているのだ。虫唾が走る。殺そう。
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