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平和こそ全て
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人間にとって最大の恐怖は『死』なのだろう。僕だって死ぬことは怖い。死んだらどこに行くのだろう。天国か地獄か極楽浄土か、幼い頃から考えていた。
今年高校に入学したばかりの僕、奏大の結論、それは無だ。死んだら終わり、そこからは何も始まることはない。
人間は生まれることで始まって死ぬことで終わる。
僕が死ねば僕は終わる。
生あるもの死は必ずと訪れる。
死ぬことは怖い。1度限りの人生だ悔いを残したくない。他愛もない生活でもいいんだ。普通の一般的な普遍的な生活が出来るのなら、それで……
*****
眠っていたときに見ていた夢を覚醒すると同時にキレイサッパリ忘れる。夢を見ていたことは覚えているけど、その内容を思い出せない。まあこんなことは日常茶飯事だ。
視界がまだボヤけていた。気を緩めれば瞼が自然と落ちてきて再度眠りについてしまいそうだ。
枕元に置いていたスマホを手に取る。
画面に映る他愛もない友達とのチャット。寝落ちしてしまったようで会話は相手の「おーい寝落ちか?」というメッセージで終わっていた。
すぐに詫びのメッセージを送り返す。
登校してまず第1に彼が発する言葉を容易に予想できて思わず1人で微笑んでしまった。
さぁ、昨日が終わって今日が始まった。人生は短い、1日も無駄には出来ない。
布団を畳みカーテンを開ける。雲一つない快晴だ。太陽の光が目に染みる。
そろそろ彼女が起こしにくる時間だ。
部屋の外から微かに階段を上がってくる音が聞こえる。
足音は僕の部屋の前で止まり。そしてドアが勢いよく開く。
「……起きてた。次からは1人で起きてきて、よ」
そう無愛想に言うのは妹の代菜。僕はカエと呼んでいる。僕が高校生になるのと同時に中学生になった。
カエは毎朝、僕を起こしにくる。そして毎回、僕に真顔で1人で起きてきてよと怒る。
その割りには僕がカエが起こしにくる前に部屋から出ると頬を膨らませて拗ねるのだ。
拗ねて部屋に閉じこもった過去があるので僕はそれ以来、毎朝カエに起こしてもらっている。
パーカーを上下に揺らして階段を降りていくカエを追う形で僕もリビングへと向かった。
「おはよう」
ニュース番組を見ながらトーストを齧っていた母さんが僕に無愛想に言った。カエの性格は母さん譲りだ。
自分の席について僕もおはようと返した。
父は既に出勤していた。
隣に座っていたカエが僕の肩をツンツンと人差し指でつつく。
振り向くとバターナイフを手に持っていた。
僕は微笑んでカエにトーストを渡す。
口を三角に尖らせながらカエが僕のトーストにバターを塗る。
兄として何でもかんでも妹任せにしておいて良いのだろうかとも1度は思った。でもカエがやりたくてやってるのだから僕は何も言わない。
人生は1度限りだ。やりたいことを沢山やった方がいいに決まっている。
「ん」
「うん、ありがとう」
カエにお礼を言ってから頭を撫でてやった。
肩まで伸びたツヤツヤな黒髪を撫でるのは結構好きだ。
「九州で震度5の地震。最近多いわね。カナ、カエ、気をつけるのよ」
「分かってるよ」
いつも通りの他愛もない会話。これが僕の幸せだ。
高校で沢山学んで、大学へ行って、就職して、好きな人と結婚して、そして死んで終わる。これが僕の理想だ、
刺激なんか必要ない。普通が一番、そう普通が。
朝食を食べおえ身支度をしてカエとともに家を出る。
カエとは何も話すことなく無言で歩き続ける。
「行ってらっしゃい」
「ん」
感情の込められていなような返事の割には手を大きく振るカエの姿が見えなくなったところで歩を再度、進め始める。
数分歩いたところで僕の背中を両手で押してくる者がいた。
「よ、昨日は寝落ちか? 全くよ一言いってくれないと困っちまうぜ」
予想通りだった。彼は僕の友達の柳。高校で席が隣ということで一番最初に仲良くなったクラスメイトだ。
「ごめんごめん、いつの間にか寝ててさ」
「この前もお前、寝落ちしたぞ! 次はないんだからね」
「うん、柳のツンデレなんて誰得だよ気持ち悪い」
「まあまあ、そんなこと言うなって。ホント、カナって見た目の割には口が悪いよな」
「そうか? まあこんな態度とるのは柳だけだからね」
「え……トゥンク」
頬をかすかに赤くして、目を見開いて恋する乙女のような顔をしている柳の腰に拳をいれて黙らす。
もちろん本気ではない。ツッコミというやつだ。
傍から見たら何も面白くない男同士の会話だが、僕と柳にとってはとても楽しい時間なのだ。
「それにしてもニュース見たか?」
「まあ母さんが見てたからかじる程度には見たよ」
「九州で震度5の地震だってよ。」
ちょうど今朝母さんと話していた内容だった。
「うん、最近多いよね。この前は四国でも震度4弱の地震が起きたし、その前は近畿でも震度3だっけかが起きたね」
柳が目を輝かせた。うん、また仕様も無いことを考えついたようだ。
「これはあくまで俺の予想だけど聞くか?」
聞かないと言って柳をおちょくるのも面白そうだが、柳がとても言いたそうにしているので聞くことにした。
「九州、四国、近畿。これさ順番に地震が起きてるんだよ。それも1週間以内に。」
「いやいや偶然でしょ」
柳が器用に人差し指だけを左右に動かした。
「いいや、これは偶然じゃないって。これは何かが起こる兆候だぜきっと! 1週間以内に関東とか中部で震度6くらいの地震が起こるんだって!」
「確かに道理はかなってるかも知れないけど、まさかそんなことあるかな?」
「信じてねぇなー? よし勝負だ、俺はこれを賭けるぜ」
そう言って柳が取り出しものは1000円札だった。余程地震があるらしい。
「そこまで言うのなら僕は100円賭けるよ」
納得のいっていないような表情をしていたが勝つ気満々な柳は慈悲だからな、などと言いながら僕に白い八重歯を輝かせ笑みを向けた。
地震が起こる順番がもし、九州、四国、中国、近畿なら僕は柳の根拠の無い考えをそうかもと思っていたかもしれない。
だが地震は近畿、四国、九州という順番で起きている。僕の考えはもう地震が起きないだ。こっちの方がなんとなくあってと思う。
まあ答えがでるのは1週間以内だ。すぐに分かる。
こんな些細なことでワクワクして楽しめる今が幸せだった
今年高校に入学したばかりの僕、奏大の結論、それは無だ。死んだら終わり、そこからは何も始まることはない。
人間は生まれることで始まって死ぬことで終わる。
僕が死ねば僕は終わる。
生あるもの死は必ずと訪れる。
死ぬことは怖い。1度限りの人生だ悔いを残したくない。他愛もない生活でもいいんだ。普通の一般的な普遍的な生活が出来るのなら、それで……
*****
眠っていたときに見ていた夢を覚醒すると同時にキレイサッパリ忘れる。夢を見ていたことは覚えているけど、その内容を思い出せない。まあこんなことは日常茶飯事だ。
視界がまだボヤけていた。気を緩めれば瞼が自然と落ちてきて再度眠りについてしまいそうだ。
枕元に置いていたスマホを手に取る。
画面に映る他愛もない友達とのチャット。寝落ちしてしまったようで会話は相手の「おーい寝落ちか?」というメッセージで終わっていた。
すぐに詫びのメッセージを送り返す。
登校してまず第1に彼が発する言葉を容易に予想できて思わず1人で微笑んでしまった。
さぁ、昨日が終わって今日が始まった。人生は短い、1日も無駄には出来ない。
布団を畳みカーテンを開ける。雲一つない快晴だ。太陽の光が目に染みる。
そろそろ彼女が起こしにくる時間だ。
部屋の外から微かに階段を上がってくる音が聞こえる。
足音は僕の部屋の前で止まり。そしてドアが勢いよく開く。
「……起きてた。次からは1人で起きてきて、よ」
そう無愛想に言うのは妹の代菜。僕はカエと呼んでいる。僕が高校生になるのと同時に中学生になった。
カエは毎朝、僕を起こしにくる。そして毎回、僕に真顔で1人で起きてきてよと怒る。
その割りには僕がカエが起こしにくる前に部屋から出ると頬を膨らませて拗ねるのだ。
拗ねて部屋に閉じこもった過去があるので僕はそれ以来、毎朝カエに起こしてもらっている。
パーカーを上下に揺らして階段を降りていくカエを追う形で僕もリビングへと向かった。
「おはよう」
ニュース番組を見ながらトーストを齧っていた母さんが僕に無愛想に言った。カエの性格は母さん譲りだ。
自分の席について僕もおはようと返した。
父は既に出勤していた。
隣に座っていたカエが僕の肩をツンツンと人差し指でつつく。
振り向くとバターナイフを手に持っていた。
僕は微笑んでカエにトーストを渡す。
口を三角に尖らせながらカエが僕のトーストにバターを塗る。
兄として何でもかんでも妹任せにしておいて良いのだろうかとも1度は思った。でもカエがやりたくてやってるのだから僕は何も言わない。
人生は1度限りだ。やりたいことを沢山やった方がいいに決まっている。
「ん」
「うん、ありがとう」
カエにお礼を言ってから頭を撫でてやった。
肩まで伸びたツヤツヤな黒髪を撫でるのは結構好きだ。
「九州で震度5の地震。最近多いわね。カナ、カエ、気をつけるのよ」
「分かってるよ」
いつも通りの他愛もない会話。これが僕の幸せだ。
高校で沢山学んで、大学へ行って、就職して、好きな人と結婚して、そして死んで終わる。これが僕の理想だ、
刺激なんか必要ない。普通が一番、そう普通が。
朝食を食べおえ身支度をしてカエとともに家を出る。
カエとは何も話すことなく無言で歩き続ける。
「行ってらっしゃい」
「ん」
感情の込められていなような返事の割には手を大きく振るカエの姿が見えなくなったところで歩を再度、進め始める。
数分歩いたところで僕の背中を両手で押してくる者がいた。
「よ、昨日は寝落ちか? 全くよ一言いってくれないと困っちまうぜ」
予想通りだった。彼は僕の友達の柳。高校で席が隣ということで一番最初に仲良くなったクラスメイトだ。
「ごめんごめん、いつの間にか寝ててさ」
「この前もお前、寝落ちしたぞ! 次はないんだからね」
「うん、柳のツンデレなんて誰得だよ気持ち悪い」
「まあまあ、そんなこと言うなって。ホント、カナって見た目の割には口が悪いよな」
「そうか? まあこんな態度とるのは柳だけだからね」
「え……トゥンク」
頬をかすかに赤くして、目を見開いて恋する乙女のような顔をしている柳の腰に拳をいれて黙らす。
もちろん本気ではない。ツッコミというやつだ。
傍から見たら何も面白くない男同士の会話だが、僕と柳にとってはとても楽しい時間なのだ。
「それにしてもニュース見たか?」
「まあ母さんが見てたからかじる程度には見たよ」
「九州で震度5の地震だってよ。」
ちょうど今朝母さんと話していた内容だった。
「うん、最近多いよね。この前は四国でも震度4弱の地震が起きたし、その前は近畿でも震度3だっけかが起きたね」
柳が目を輝かせた。うん、また仕様も無いことを考えついたようだ。
「これはあくまで俺の予想だけど聞くか?」
聞かないと言って柳をおちょくるのも面白そうだが、柳がとても言いたそうにしているので聞くことにした。
「九州、四国、近畿。これさ順番に地震が起きてるんだよ。それも1週間以内に。」
「いやいや偶然でしょ」
柳が器用に人差し指だけを左右に動かした。
「いいや、これは偶然じゃないって。これは何かが起こる兆候だぜきっと! 1週間以内に関東とか中部で震度6くらいの地震が起こるんだって!」
「確かに道理はかなってるかも知れないけど、まさかそんなことあるかな?」
「信じてねぇなー? よし勝負だ、俺はこれを賭けるぜ」
そう言って柳が取り出しものは1000円札だった。余程地震があるらしい。
「そこまで言うのなら僕は100円賭けるよ」
納得のいっていないような表情をしていたが勝つ気満々な柳は慈悲だからな、などと言いながら僕に白い八重歯を輝かせ笑みを向けた。
地震が起こる順番がもし、九州、四国、中国、近畿なら僕は柳の根拠の無い考えをそうかもと思っていたかもしれない。
だが地震は近畿、四国、九州という順番で起きている。僕の考えはもう地震が起きないだ。こっちの方がなんとなくあってと思う。
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