10 / 19
団欒
しおりを挟む
「ただいまー」
リビングで僕、カエ、母さんの3人でテーブルを囲んで晩御飯を食べていたときだった。
玄関から懐かしい声。
父さんだ。いつも残業やら何とかやらで帰りが遅いので滅多に顔を合わさない。
「おかえり、今日は早いね」
「何か近所で事件が起こったらしくてな、仕事を中断して帰宅させれたんだ」
「……事件?」
「そんなことニュースでも報道されてないわよ?」
「まあ正直のところ俺にもよく分からん。だけどまあ、こうして久しぶりに息子達に会えたしまあいいじゃないか」
「そうね」
母さんが珍しく微笑んだ。母さんにとっても嬉しいことなのだろう。
それにしても事件か、なんだろう。
まさかマキナのような人が他にもいたとか? そんな訳ないか。いずれニュースで流れるだろう。
そんなことよりも今は久しぶりに揃った家族との団欒を楽しもうか。
「父さん、最近仕事どんな感じ?」
「まずまずだな。残業ばかりで本当にすまない」
「……平気」
ボソリと呟くのはカエ。表情はいつも通り無表情に近いが、何となく嬉しそうにしているのが分かる。
僕もカエぐらいの歳の時はこんな感じだったっけ。
いや違うか、別に何とも思ってなかったっけな。お父さんが居ないのが普通だと思っているところもあったし。
「何度も言うけど単身赴任でいいのよ?」
「いや、俺が帰るときには皆寝てしまっているけど、家族の顔は毎日見たいんだ」
「あなたらしいわね」
父さんは毎日帰ってきているらしいが深夜以降なので僕とカエは起きていない。
「じゃあ僕は今日授業でやる予定だったところを勉強してくるよ」
「ん? カナタの学校も休みになったのか?」
「ううん、休んだんだ、調子が悪くてさ」
「ほう……気をつけるんだぞ」
父さんは心配そうに僕を見つめて、母さんは黙り続けていた。
階段を上がってすぐそこにある自分の部屋に入る。
数学はまだ因数分解だし、国語もやる必要はない。
まあ化学くらいかな。最近モルとかよく分からないのが出てきたんだ。今日、先生がコツを教えてくれる予定だったんだけど、まあ行けなかったものは仕方がない。教科書に目を通すだけでも違うだろう。
バッグを開けて化学の教科書を取り出そうと思ったが、僕の手はスマホを掴んでいた。
悪い癖だ。勉強する前に必ずチャットアプリを確認してしまう。
誰からもメッセージが来ていないことを確認してから今度はしっかり教科書を手に取り机の上に広げた。
モル……モル。分からない。もともと頭はいい方ではない。授業を聞かなければちんぷんかんぷん、独学が出来ない人間なのだ。
「ま、今日くらいいっかー」
大丈夫大丈夫。明日先生に聞いた方が確実に理解できるしね。そう自分に言い聞かせてベットに倒れ込んだ。
コンコン
今日は疲れたな。なんだふっ切れたって感じだ。刺激は求めてないけど今日のはワクワクしたし面白かった。
あんなものを見たことがあるのは僕だけだろう。
コンコン
ワープゲートに悪魔。どうせなら悪魔本体も見たかったかも何て……
コンコン
勉強する気も失せたし父さんと雑談でもしに行こうかな。
「あーーーーーもう! 何回私にノックさせるのよ! 1回で気づきなさいよ1回で!」
大きな女の声が外で響いた。
ギョッとして窓の外を覗くとそこにはマキナが顔を真っ赤にして今にも鼻から煙を吐きそうな顔をして立っていた。
リビングで僕、カエ、母さんの3人でテーブルを囲んで晩御飯を食べていたときだった。
玄関から懐かしい声。
父さんだ。いつも残業やら何とかやらで帰りが遅いので滅多に顔を合わさない。
「おかえり、今日は早いね」
「何か近所で事件が起こったらしくてな、仕事を中断して帰宅させれたんだ」
「……事件?」
「そんなことニュースでも報道されてないわよ?」
「まあ正直のところ俺にもよく分からん。だけどまあ、こうして久しぶりに息子達に会えたしまあいいじゃないか」
「そうね」
母さんが珍しく微笑んだ。母さんにとっても嬉しいことなのだろう。
それにしても事件か、なんだろう。
まさかマキナのような人が他にもいたとか? そんな訳ないか。いずれニュースで流れるだろう。
そんなことよりも今は久しぶりに揃った家族との団欒を楽しもうか。
「父さん、最近仕事どんな感じ?」
「まずまずだな。残業ばかりで本当にすまない」
「……平気」
ボソリと呟くのはカエ。表情はいつも通り無表情に近いが、何となく嬉しそうにしているのが分かる。
僕もカエぐらいの歳の時はこんな感じだったっけ。
いや違うか、別に何とも思ってなかったっけな。お父さんが居ないのが普通だと思っているところもあったし。
「何度も言うけど単身赴任でいいのよ?」
「いや、俺が帰るときには皆寝てしまっているけど、家族の顔は毎日見たいんだ」
「あなたらしいわね」
父さんは毎日帰ってきているらしいが深夜以降なので僕とカエは起きていない。
「じゃあ僕は今日授業でやる予定だったところを勉強してくるよ」
「ん? カナタの学校も休みになったのか?」
「ううん、休んだんだ、調子が悪くてさ」
「ほう……気をつけるんだぞ」
父さんは心配そうに僕を見つめて、母さんは黙り続けていた。
階段を上がってすぐそこにある自分の部屋に入る。
数学はまだ因数分解だし、国語もやる必要はない。
まあ化学くらいかな。最近モルとかよく分からないのが出てきたんだ。今日、先生がコツを教えてくれる予定だったんだけど、まあ行けなかったものは仕方がない。教科書に目を通すだけでも違うだろう。
バッグを開けて化学の教科書を取り出そうと思ったが、僕の手はスマホを掴んでいた。
悪い癖だ。勉強する前に必ずチャットアプリを確認してしまう。
誰からもメッセージが来ていないことを確認してから今度はしっかり教科書を手に取り机の上に広げた。
モル……モル。分からない。もともと頭はいい方ではない。授業を聞かなければちんぷんかんぷん、独学が出来ない人間なのだ。
「ま、今日くらいいっかー」
大丈夫大丈夫。明日先生に聞いた方が確実に理解できるしね。そう自分に言い聞かせてベットに倒れ込んだ。
コンコン
今日は疲れたな。なんだふっ切れたって感じだ。刺激は求めてないけど今日のはワクワクしたし面白かった。
あんなものを見たことがあるのは僕だけだろう。
コンコン
ワープゲートに悪魔。どうせなら悪魔本体も見たかったかも何て……
コンコン
勉強する気も失せたし父さんと雑談でもしに行こうかな。
「あーーーーーもう! 何回私にノックさせるのよ! 1回で気づきなさいよ1回で!」
大きな女の声が外で響いた。
ギョッとして窓の外を覗くとそこにはマキナが顔を真っ赤にして今にも鼻から煙を吐きそうな顔をして立っていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる